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2007.05.31
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カテゴリ: 萌え映画
queen.jpg


雨とはいえ、水曜はレディースデイで1000円だからなのか、既に全席完売。でも前もって指定席とってあったので、ありがたく拝見させていただく。

映画館で映画見るのなんて、数年ぶりだ。シャンテもいつのまにか全席指定、座席もクオリティもよくなってカップホルダーとか付いていて、快適なのね。こういう映画館なら不快にならないかもしれないな。

で、噂のクイーンである。主役のヘレン・ミレンは、これで今年のアカデミー主演女優賞を受賞。品があるのに淫乱という役が多かった彼女は、美女の少ないベテラン英国女優の中では、飛び切りの美女でもあった。そんな彼女も、すでに老境。あの髪型はまったく似合っていないけど、なんか見ているうちに、現女王そっくりに思えてくるから不思議だ。

それにしても、久々に格調高いロイヤルイングリッシュを耳にした。もうなに言ってんのかさっぱりだ(笑)。あの、口を「オ」の字に開けたまましゃべると似てくる英国英語をさらにアクセント極端にしたクイーンのカットグラス・アクセント! ちょっとデンマークとかスウェーデンあたりの言語っぽく聞こえるよ。ノルマンつながりで、そっち近いのかな。
耳で聴く擬古文調みたいな。
私の英語は、ヒアリングもスピーチもBBCイングリッシュ(いわゆるスタンダード)だから、むしろブレア首相とその仲間たち(笑。実際アメリカの大学生の政党ごっこみたいに馴れ合っていて、あのなれなれしさが儀礼に則った王室の人々と比べると腹が立つほど幼稚にみえる)の話している英語のほうが、自然に耳に入ってくる。いやはや。
イギリスにはアッパー、スタンダード、ミドル、ロウアーの、少なくても4通りの英語が存在するな。ロンドンの高級ホテルでかろうじてアッパーに近い英語が聴けるけど、ブレアはミドルとスタンダードの中間。だから首相より美しいクイーンズイングリッシュ話す侍従のほうが格が上に見える。

イギリスは何度も行っているぐらい好きな国だけど、やんごとなき方々の私生活とか知りようがないから、この映画、どこまでフィクションなのか知らないけど、寝室の女王とか、マザコン王子とか、「マミー」とエリザベス皇太后に甘える女王とか、「私語を話すロイヤルファミリー」だけでもめちゃくちゃツボだった。



10年前のダイアナの悲劇の夜から1週間ほどの出来事を、ドキュメントフィルムを織り込みながら描き出しているんだけど、もともと共和性を信奉するブレアが、ほんの数度電話でクイーンと話しただけで、彼女の孤独を知り、国の母たる威厳に悩殺されちゃうところに笑った。伝統を受け継ぐ義務を負った人々というのは、どの世界でもものすごい重圧に耐えながら生きていることに気づいちゃう瞬間。でもってクイーンも相当狸でさ、首相就任の挨拶のためにブレアが宮殿に行くと、滔々とチャーチルの話なんか始めちゃうんだよね。すげえ嫌味(笑)。

チャールズ皇太子と離婚して、アラブの王子とラブラブの挙句事故死しちゃったダイアナを、「あんな嫁」呼ばわりして(そりゃそうだ。王室の名誉は著しく傷ついたはずだ)、死後も国葬どころか公式声明も出さず、バルモラル城に引きこもって鹿狩りしちゃってる女王一家。これは映画ではウインザー公が強行に実行に移したことになっているけど、この領地での生活がすんごい。
自らジープのレンジローバーのハンドル握って山に分け入る女王って、すごいわ。日本の皇后は運転なんてできないだろう。しかも鹿狩りなのにスカート姿! 当然ウインザー公はキルト穿いてたし。狩衣姿で流鏑馬やるようなもんかな。
で、日々イエロージャーナリズムの心無い報道にうんざりしていたクイーンは、森で一頭の大鹿に遭遇し、その気高さと威厳に心打たれる。そして、かたくなな心が氷解していく。このあたりの流れが見事だね。わかりやすく、しかも俗っぽくなく。イギリス映画らしい演出。
どんなに誹謗中傷にあおうと、涙どころか感情を顔にも出さない人々って、きっとすごい強いんだろうな。

ところで、バルモラル城だけど。あの広大な領地と城が女王の私物で、そこには何十人も使用人がいて、年に何日も滞在しない主人のために常に準備万端整えている。狩猟小屋(といっても城の一部だから立派)に男たちが何人も詰めていて、狩った獲物を吊るしておく小屋(これも立派!)まであって、その経費も税金だもんなあ。労働党のブレアさんとしてはだまっていられない。
それでも、レンジローバー乗り込む際に、ウインザー公が「この車、そろそろ新しいのに乗り換えたら?」とか言うと「あら、まだ走るわよ」とかすっとぼけるクイーンもいい。
ウインザー公は結構短気な人物に描かれていて、しょっちゅう世論に腹を立てていて、常に冷静なクイーンとは好対照。

ダイアナの葬儀が国葬に決まったとき、そのプロトコルを伝える侍従への、エリザベス皇太后の反応。「それは私の葬式の暗号よ!」といきり立って、「でも、現時点ですぐに実行に移せる、練習済みの葬儀の方法はこれしかありません」「当たり前よ。私が自分で考えた葬儀の方法だもの」って、笑った。エリザベス皇太后、この時御年95歳である。

クイーンの、Duty first, self second という言葉は印象的。「義務が第一、自分は二の次」。かっこいい~。女王萌え(笑)。そしてオーダーメイド以外にありえない、半世紀はデザインの変わらない珍妙な王室ルック! 

ああ、これも書いておこう。出てくる人間が見事にみんな細くて長い。男どもがほとんど馬面で筋肉のなさそうなのっぽ体型。スーツが憎らしいほどよく似合う。上流階級は本当に体型までそっくりなんだな。これで顔の造形が美しければ言うことないんだが、残念ながら英国上流階級の血筋に美男はいないようだ。あ、美女も(笑)。ブレア首相がいちばん珍竹林に見えちゃったよ。







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Last updated  2007.05.31 09:09:41
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