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2011年08月05日
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カテゴリ: カテゴリ未分類

昭和29年(1954年)8月

目標は 立山 。そして信州側へ入って、 後立山 (うしろたてやま)連山 をできるだけ登ってみようと思いました。

富山から登山口まで電車。まだケーブルは出来てなくて、 美女平 (びじょだいら)まで 称名 (しょうみょう) の滝 を垣間見ながら、つづら折の坂を登りました。続く広い 弥陀 (みだ) ヶ原 地獄谷 近くの山小屋で1泊。


弥陀ヶ原
立山・弥陀ヶ原


立山
地獄谷から見る立山

翌朝、 雷鳥沢 別山 に登り、 剣岳 の威容を後ろに、高山に咲く花を愛でながら、 立山 頂上を目指しました。 立山大汝 (おおなんじ) 一の越の小屋 泊り。


剣岳
立山・別山から見る剣岳


タテヤマリンドウとチシマギキョウ
タテヤマリンドウ              チシマギキョウ


立山頂上
立山頂上・大汝峰

次の日、コースを南へとって、霧の中を尾根伝いに、 浄土山 龍王岳 鬼岳 獅子岳 を経て、 ザラ峠 に降りて霧が晴れました。

ザラ峠 は、 天正12年(1584年) の昔、戦国の武将・ 佐々成政 (さっさ なりまさ)が、徳川家康のいる浜松に向かうために、厳冬期のこの峠を越えたことで有名です。

ザラ峠 の南には、 鷲岳 の西に美しい高原・ 五色ヶ原 が広がっていました。私はここで一休みして昼食をとり、昔々、 佐々成政 も通った 黒部川 への下り坂を、走るように降りてゆきました。


五色が原
鷲岳と五色が原

黒部川 に降りて、今夜泊まる (たいら) の小屋 を見てびっくり。当時の山小屋はどこも粗末な建物でしたが、ここは、今にも壊れそうなボロ小屋。


平の小屋と川原温泉
平の小屋                   黒部川の川原の温泉

風呂があるというので、どこかと尋ねると、 黒部川 の川原だといいます。小屋から100mほど離れた川原に湯が沸いていて、自分でスコップを使って掘って、浸かるのです。熱ければ黒部川の水を入れます。

そんなボロい 平の小屋 でも、夕食は、獲れたての岩魚(いわな)の焼魚が何匹も付く豪華版でした。

次ぎの朝、 黒部川 の吊り橋を渡り、上り坂を 針ノ木峠 へ。 針ノ木峠 は東西両側ともすごい急斜面。昔、佐々成政はほんとにここを越えたのかなと思いながら、 針ノ木岳 に登り、 針ノ木小屋 に宿泊。



針ノ木岳
針ノ木岳

次ぎの日は、 後立山 (うしろたてやま)の尾根筋を北へ、 スバリ岳 赤沢岳 岩小屋沢岳 鳴沢岳 爺ヶ岳 と縦走。 冷沢 (つめたざわ) 小屋 で泊り。 爺ヶ岳 の近くで コマクサ の群落が満開でした。



爺が岳
爺ヶ岳南峰 背景は立山(写真提供  TAIHEIYO Racing )


コマクサとクルマユリ
コマクサ                    クルマユリ

そして、最終日。最期の目標、 鹿嶋槍ヶ岳 の頂上に立ちました。朝は快晴で、北アルプスはほぼ全山が見渡せ、北方、 白馬岳 のかなたには日本海、 佐渡ヶ島 も見えました。


鹿嶋槍ヶ岳
鹿嶋槍ヶ岳( 北アルプス専科 より借用)

そして、山々に別れを惜しみながら、 冷沢 (つめたざわ)を信州側へ下りました。降りたところは、 青木湖 中綱湖 の間だったと記憶しています。途中、 マツムシソウ オニアザミ など、亜高山帯に咲く花々の美しさを堪能しました。


マツムシソウとオニアザミ  
マツムシソウ                  オニアザミ

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この山旅(やまたび)で私が渡った 黒部川 のあたりは、今では黒部湖の底になっています。 平の小屋 は近くに移築されたと聞きましたが、今はどうなっているでしょうか。

このときの山旅は、単独行でした。一人だけの登山は危険という人もありますが、それだけに注意を払い、天候や危険度の判断力を養うことができます。余計な話に妨げられることなく、思索に更けることもできます。

今は競技スポーツが大流行です。私は、勝ち負けを争う競技スポーツは好きではありません。競技スポーツだけでなく、碁や将棋などの勝負ごとも好みません。 勝負は、本業の仕事のうえで、否応なくやらねばならぬことです。

登山は勝ち負けのないスポーツです。対戦相手があるとすれば、それは自分自身です。自分の体力、危険に対する判断力などを養いながら、自然の大きさ、美しさに接し、目標への達成感が味わえます。

この年の 立山 登山の体験から、これからの山旅も、私はなるべく単独行にしようと思いました。







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最終更新日  2011年08月05日 16時38分05秒
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