クララ奇談

クララ奇談

~お祈り4~


「あしあと」

ある晩、わたしは夢を見た
主と共に海辺を歩む自分と
空の銀幕に映る
過ぎ去ったわたしの生涯のすべての日々の

なんと砂の上には
毎日の歩みをしるす、ふたりのあしあとが
並んで残っているではないか
ひとりはわたしの、もうひとりのは主の

しかし、ところによっては
ひとり分のあしあとしか見あたらない
それは、よりによってわたしの人生で
最も困難でつらく、
耐えがたかった日々にあたっている

そこで、わたしは主に不服を言った
「主よ、わたしはあなたと共に生きることを選び
あなたは、いつもわたしと共にいると
約束してくださいましたね
それなのになぜわたしを独り
置き去りにされたのですか
それも、わたしが最もつらかった日々に」

すると、主はお答えになった
「わが子よ、わたしがあなたを愛していることを
あなたはよく知っているはずだ
わたしは一度もあなたを見捨てたことはない
ひとり分のあしあとしか
残っていないところは
まさにあなたを腕に抱きあげ
わたしが運んであげた日々だったのだよ」

(M・フィッシュバック・パワーズ)


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