《櫻井ジャーナル》

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2009.05.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 朝鮮が2度目の核実験を実施したようだ。朝鮮側が核実験を成功させたと発表したほか、実験によるものと見られる地震が観測されたことから確実視され、その規模は広島や長崎に投下された原爆と同程度だったと推測されている。

 国連の安全保障理事会はこの実験を2006年の決議に違反していると非難、火曜日から新しい決議を作成するための協議を始めるそうだが、これは当然の話。核兵器の使用は勿論、開発も許されない。

 しかし、今回の核実験を協議している常任理事国、つまり、アメリカ、ロシア、フランス、イギリス、そして中国は、いずれも核兵器の保有国だということも事実。核兵器を大量に保有している国々が核兵器の開発を行っている国を非難するというのは奇妙な光景だ。

 この5カ国以外にも、インド、パキスタン、イスラエルが核兵器を保有、朝鮮もとりあえずは仲間入りしたようだ。イスラエルは攻撃の口実としてシリアやイランの「核兵器開発」を宣伝しているが、これはかなり誇張された話。このことはIAEA(国際原子力機関)も認めている。

 中東の核兵器保有国はイスラエル以外にはない。イスラエルが核兵器開発の拠点としているディモナで働いていたモルデカイ・バヌヌが1986年にイギリスで告発、予想されていた以上に多くの核弾頭を保有していることが判明した。2006年12月にはイスラエルのエーウド・オルメルト首相も自国が核兵器を保有している事実を認める発言をしている。

 イスラエルが保有する核弾頭の数は明確でないのだが、ジミー・カーター元米大統領は150発以上を持っていると語っている。つまり、イギリスと同程度、中国に迫る数字だ。インド、パキスタン、そして朝鮮のような次元の話ではない。

 バヌヌの告発を掲載したのはイギリスのタイムズ紙だが、その前に接触したほかの有力メディアは取り上げることを拒否し、イスラエルの情報機関にバヌヌの動きは伝わった。その結果、バヌヌは拉致され、イスラエルで有罪判決を受けたのだが、こうしたイスラエルの行動は大きな問題になっていない。日本を含め、各国の政府もメディアもイスラエルには「寛容」である。

 イスラエルは核弾頭を保有しているだけでなく、実際に「使用」している。1973年の第4次中東戦争で13発の原爆を爆撃機に積み込んだのだ。当初、アメリカ政府は目立った動きを見せなかったが、ソ連が核ミサイルをテル・アビブやハイファなどに向けたことを知ってから迅速に動き、核戦争は回避された。当時のアメリカ大統領はウォーターゲート事件で身動きのとれなかったリチャード・ニクソンである。

 1967年まではフランス、それ以降はアメリカがイスラエルの核武装に協力したと言われているが、1969年にヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官はニクソン大統領に対し、「1970年末までにイスラエルは24基から30基のフランス製空対空ミサイルを保有、そのうち10基には核弾頭を搭載するだろう」とする内容の覚書を提出している。



 この取り決めを揺るがしかねない提案をバラク・オバマ米大統領は行っている。核廃絶に向かった進もうという発言である。その対象には当然、イスラエルも含まれている。核兵器を背景に、イスラム諸国だけでなくアメリカを脅してきたイスラエルとしては、受け入れがたい政策に思えるだろう。

 朝鮮の核兵器開発は許し難い行為だが、この話だけに反応する人たちは、自分たちの滑稽さに気づいていないのだろうか?イスラエルなど核保有国にとって、朝鮮の核実験は歓迎すべき行為なのかもしれない。





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最終更新日  2009.05.26 17:39:57


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