《櫻井ジャーナル》

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2009.07.29
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 現在、アメリカにはふたりの大統領が存在している。ひとりは言うまでもなくバラク・オバマ、もうひとりはヒラリー・クリントンだ。ふたりの違いが鮮明に出ているのはイランとホンジュラスに対する姿勢。オバマはイランの核開発問題を話し合いで解決しようとしているのに対し、クリントンは核攻撃も辞さない姿勢だ。ホンジュラスのクーデターに関しては、オバマが反対しているのに対し、クロントンは理解を示している。

 オバマ大統領は一貫してイランとは話し合おうとしている。六月にカイロを訪問した際には、1953年にイランで引き起こされた王政復活クーデターにアメリカが関係したことを認めているが、これもそうした姿勢のあらわれだろう。ところが、ほぼ同じ時期にクリントン長官はテレビでイランに対する先制攻撃に言及している。

 7月にクリントン長官はCFR(外交問題評議会)で、イスラエルを守るためならイランに対する軍事力の行使を躊躇しないという趣旨の発言をした。その後、ロバート・ゲーツ国防長官はイスラエルを訪問し、非軍事的な政策でイランを説得できると語っているが、クリントン国務長官の発言を大統領やゲーツ国防長官が必至に取り消して歩いているように見える。

 イランに対するオバマ政権の話し合い路線は、イランの大統領選挙後の混乱で足踏みしているのだが、本コラムでは何度か指摘したように、少なくとも選挙結果はアメリカの団体が事前に行った世論調査に合致している。何者かがイラン国内を混乱させようとした可能性は小さくない。

 日本のマスコミが言うところの「改革派」は、選挙結果をインチキだと主張、示威行動を展開したのだが、このグループは国営企業の民営化や貿易の自由化を主張していた人々と重なる。1990年にラフサンジャニ政権がはじめた「経済改革」の支持者ということだ。民営化(払い下げ)は、一部の人間に巨万の富を提供する。明治維新直後の日本もそうであったし、エリツィン時代のロシアもそうだった。日本の「郵政民営化」も同じことだ。

 どうやら、イランでもそうしたことが起こったようである。イランでも銀行は実業への融資から抵当貸付にシフト、2005年には不動産バブルを生み出している。この年に政権を掌握したアフマディネジャド大統領は金融機関にメスを入れようとしたが、うまくいっていない。2006年にはパールシヤーン銀行の総裁を解任しようとしたが、金融界の抗議で解任を取り消している。そして、2008年にバブルは破裂する。

 日本のマスコミは今でも小泉純一郎首相が推進した「改革路線」を必至に擁護しているが、イラン情勢の報道も同じスタンスを貫いている。逆に、イランでは改革路線への憎悪がアフマディネジャド支持につながっている。アフマディネジャドが改革の見直しに失敗すれば、そのときは本当に内乱状態になるかもしれない。

 また、ホンジュラスだが、この国は現在、クーデターの最中にある。そのクーデターの前、今年の初め頃からチキータやドールがホンジュラスのセラヤ政権を批判していた。最低賃金を60%引き上げる方針を打ち出したからだ。

 言うまでもなく、巨大企業がホンジュラスのような国にやってくるのは、劣悪な条件で働かせることができるからだが、最近では労働者が待遇の改善を求めていた。軍が労働者に発砲したり、会社が右翼グループ(テロリスト)を用心棒として雇ったりしていた。チキータが雇っている法律事務所には、ヘンリー・キッシンジャー、ジョン・ボルトン、そしてジョン・ネグロポンテも関係している。



 そのクーデターをクリントン国務長官は当初、クーデターと呼ぶことを拒否していた。セラヤが帰国しようとしたときには「無謀だ」と非難、クーデター派を批判することはなかった。ホンジュラスでも問題の根には経済活動がある。日本のマスコミは内でも外でも巨大企業の肩を持っているが、世界の労働者は「改革」を明確に拒否している。そこから混乱は始まっている。





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最終更新日  2009.07.30 03:22:46


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