《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2010.05.17
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 イスラエルをめぐり、ふたつの流れが激突している。ガザへの軍事侵攻で人道法や人権法に違反する多くの行為があったと国連の調査委員会に指摘され、シン・ベト(防諜/治安機関)の「反対派狩り」が問題視されているなどマイナス方向の流れがひとつ。逆の流れは「OECD加盟」に象徴される親イスラエル派の巻き返しだ。

 本コラムでは何度も書いていることだが、こうしたイスラエルをめぐる動きが活発化した大きな原因は、ロシアからロンドンやイスラエルへ逃げ込んだ亡命ロシア人にあるだろう。ボリス・エリツィン時代に規制緩和と民営化で国の資産を不公正な手段で手に入れ、巨万の富を築いた人々である。そうしたグループの象徴的な存在がボリス・ベレゾフスキー(亡命後、プラトン・エレーニンに改名)だ。

 ベレゾフスキーの人脈をみると、メディア帝国を築いてきたルパート・マードックや1980年代に「ジャンク・ボンド」の販売で違法行為が発覚して有罪判決を受けたマイケル・ミルケンと親しく、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の弟であるニール・ブッシュと共同でビジネスを展開しているのだが、それ以上に重要なコネクションは、ジェイコブ・ロスチャイルド卿と息子のナット・ロスチャイルドだ。

 ロスチャイルド親子が住むイギリスでは政権が交代し、保守党と自民党の連立内閣が誕生した。その外相となったウィリアム・ハーグはワシントンで、イギリスとアメリカとの関係は壊れることがないと宣言し、アフガニスタンでの戦争やイランに対する米国主導の敵対行為を支援すると表明した。

 ハーグは自分を「イスラエルの生まれながらの友人」だと公言、イランに対する圧力が不十分だと不満を表明していた人物。イスラエル政府を後ろ盾とするトニー・ブレアが退場した後の労働党政権はイスラエルに批判的な姿勢を見せていただけに、イスラエル政府にとっては「良い知らせ」だろう。

 イギリスとイスラエルとの関係を悪化させた一因は、今年1月にアラブ首長国連邦のドバイでハマスの軍事部門を創設した幹部、マームード・アルマボーが暗殺された事件。モサド(イスラエルの情報機関)の犯行だったのだが、暗殺グループがイギリスのパスポートを偽造して使っていたことから、前政権は調査を警察に命じていた。

 この事件を追及していけば、モサドの長官だけでなく、イスラエル政府の責任も問われなければならなくなってしまう。ハーグ外相の「軽口」が深刻な問題を招く可能性もあるだろう。

 イスラエルの加盟を認めたOECDも人ごとではない。ガザ地区を巨大な壁で囲んで兵糧攻めを実施、事実上の収容所にしただけでなく、軍事侵攻で多くの市民を殺害し、国連の施設まで破壊、ヨルダン川西岸ではパレスチナ人の人権を無視した形で土地を奪い、エルサレムの完全支配もイスラエルは狙っている。こうした反民主主義的な政策を批判する人やグループに対する弾圧も激しく、善く言ってもイスラエルは「警察国家」である。そもそもイスラエルには主権者としての「国民」が存在しない。国民という概念を導入すると、アラブ系住民の権利を認めなければならないからである。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010.05.17 20:30:31


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: