《櫻井ジャーナル》

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2010.07.14
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 そもそも、ガザを封鎖し、住民の生活を困窮させる権利など、イスラエルは持っていない。そんなことを無視して兵糧攻めを続け、生活空間を分断する「アパルトヘイト政策」を推進、ころ合いを見計らって軍事侵攻による虐殺を繰り返してきたのがイスラエル。船舶のガザ入港を妨害しているのも、そうした政策の一環だ。その先には、アラブ系住民の追放(民族浄化)とガザやヨルダン川西岸の完全支配という目的がある。

 ところが、「イスラエルは、外国船のガザ入港について、武器密輸を警戒し、禁止している」と書いた新聞があった。イスラエル政府の言い分をそのまま垂れ流したわけだが、少しは「恥」というものを知って欲しい。

 イスラエル/シオニストは「建国」の前からアラブ系住民の消滅を実現しようと努力してきた。この点でイスラエルの支配層に対立はないのだが、その手法をめぐり、このところ不協和音が聞こえてくる。イスラエルにも「まとも」なエリートがいることを「演出」していると解釈することも不可能ではないが、ここは素直に対立が生じていると考えるべきだろう。つまり、旧ソ連圏からの移民を中心とする独善的な勢力と、少しは国際状況を考える勢力の衝突である。

 前者を象徴する人物はアビグドル・リーバーマン外相で、パレスチナ人から市民権を取り上げ、将来、イスラエルに組み込む予定の領土から追い出すべきだと考えている。同外相は旧ソ連、モルドバのキシニョフで1958年に生まれ、1978年にイスラエルへ家族で移民した人物。ウラジミール・(ゼフ・)ジャボチンスキーの思想を信奉するという点ではリクードと同じだが、リクードの場合、少しは国際状況を考えて行動してきた。

 少なくとも1980年代には、リクードとモサドは緊密な関係にあった。イランへの武器密輸やニカラグアの反革命ゲリラ「コントラ」への支援、いわゆる「イラン・コントラ事件」で両者の深い関係は明確になっている。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)

 そのモサドの長官、メイア・ダガンは6月1日、議会でガザ支援船を襲撃した軍を批判している。当初の計画では、支援船を襲撃して破壊した後、船を公海上に放置することになっていたのだが、「人道上」の問題から反対され、特殊部隊が船に乗り込むことになったという。こうした行為の結果、イスラエルはアメリカの「財産」ではなく、「重荷」になっているとダガンは警告している。

 今年1月、アラブ首長国連邦のドバイでハマスの幹部、マームード・アルマボーが暗殺されたのだが、その実行犯はモサドだとされ、その責任をとらされる形でダガンは事実上、解任されると報道されている。暗殺事件の発覚にイスラエル軍が何らかの役割を果たした可能性も否定できないだろう。

 ガザ支援船の襲撃に関し、イスラエル軍は襲撃への批判を無視、襲撃チームを称える一方、情報機関の「ミス」を非難している。襲撃に対する世界的な反発に軍も慌てているようだが、自分たちの愚かさは反省せず、責任をモサドに押しつけている形だ。

 そうした中、リビアの支援船がガザに近づいている。支援船に武器を持ち込み、軍事支援を目論んでいたという演出は稚拙すぎて説得力がないだろうし、どのように対処するかは大きな問題だ。前回の襲撃を全面的に支援するという姿勢を見せているアメリカの議員たちも気が気でないだろう。そんなアメリカと軍事同盟を結んでいることを日本人は真剣に考える必要がある。





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最終更新日  2010.07.15 01:29:15


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