《櫻井ジャーナル》

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2010.08.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 最後の米戦闘部隊がイラクを離れたと報道されている。2011年の完全撤退に向かい、計画を順調に進めているバラク・オバマ大統領は、公約を守ったことになる・・・と考えるのはナイーブすぎる。何しろ、5万6000名のアメリカ兵はまだ残っているのだ。

 5万6000名にうち、6000名は今月末までに撤退し、残るは5万。名称は「移行部隊」へ変更されても、引き続いて戦闘には参加するそうだ。つまり、撤退させる部隊だけ、名称を変更しなかったということ。極秘に動いてきた特殊部隊がどうなるかは、全くわからない。

 だいたい、抵抗運動が収まってきたとは言えないだろう。先制攻撃以来、アメリカ軍は暴虐の限りを尽くしてきた。非戦闘員の犠牲者数として、「イラク・ボディ・カウント」なる団体の出している9万7196名から10万6071名という数字をメディアは使うことが多いが、この数字は表面化したものにすぎない。つまり、安全な場所から眺めてカウントした結果にすぎない。

 実態に近い数字と考えられるのは、2006年10月にイギリスの医学雑誌「ランセット」に掲載された数字、つまり2003年3月から2006年7月までの間に65万4965名以上のイラク人が死亡、そのうち60万1027名は暴力行為(要するに戦闘)が原因だとしている。アフガニステンを含めると、現段階では100万人を超しているのではないだろうか。

 これだけの人間を殺したアメリカ軍に対する憎しみがイラク人にないとは、到底考えられない。アメリカ政府と協力関係にあると見られているイラク人への憎しみもあるだろう。内戦を煽ろうとする勢力はイラクの内外に存在する。つまり、イラクに蔓延する混乱のエネルギーは高い。

 それでも完全に撤退するなら、それもひとつの見識だろうが、米国務省は傭兵の数を倍増させて7000名にするという。引き上げた兵士の穴を傭兵が埋めることになる可能性がある。このところ、アメリカ軍は無人機を使って攻撃しているが、戦争の「ロボット化」も推進してくるかもしれない。

 攻撃前、アメリカ政府はイラクでの戦争は楽勝で、すぐに終わると宣伝していた。日本のマスコミ社員も信じ切っていた人が少なくなかったのだが、サダム・フセイン体制が崩壊してから戦争が泥沼化することは、軍や情報機関の少なからぬ人が予想していたことだった。

 この宣伝が正しかったと宣伝するため、2003年5月にはジョージ・W・ブッシュ大統領は「任務完了」と空母「エイブラハム・リンカーン」の艦上で演説した。演出過剰の政治ショーだったが、すぐに化けの皮がはがれる。その頃から戦争は泥沼化したのだ。

 オバマ大統領としては、とにかく、中間選挙を乗り切りたいのだろうが、アメリカの利権を手放す覚悟がなければ、結局、2度目の「終了宣言」も同じことになりかねない。





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最終更新日  2010.08.20 03:27:05


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