《櫻井ジャーナル》

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2010.10.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 大阪地検特捜部の前部長と前副部長が逮捕された。ふたりの部下だった主任検事による証拠改竄を意図的に隠した容疑なのだという。

 前にも書いたことだが、検察は被告にとって有利な証拠を隠し、証拠の捏造が強く疑われる事例も少なくないわけで、証拠の改竄という点に関して言うならば、珍しい話ではない。裁判所もマスコミも知っていたはずだ。珍しいのは検事が逮捕されたということだけである。早い話、日本は「疑似法治国家」、あるいは「法治国家もどき」にすぎないということだ。

 検察は事件の「筋」を読んでシナリオを書き上げると、そのシナリオに合うような証拠を集め、供述を誘導し、押しつけ、不都合な証拠は隠してしまう。ひどい場合は証拠を改竄したり捏造するわけである。事実を重要視しないということでもある。何らかの理由でターゲットにした人物や団体を摘発することが当局の目的なのであり、冤罪かどうかに興味はないとしか思えない。

 その目的が政治的であることも珍しくない。権力システムに批判的な人物や団体が攻撃されるだけでなく、体制内の有力者がターゲットになることもある。その一例として1948年3月に首相となった芦田均を挙げることができる。芦田の排除という目標が最初にあった可能性が高い。

 その前年、社会党の片山哲を首班とする三党連立内閣が誕生しているのだが、これは潰された。そして登場したのが同じ三党連立の芦田内閣。芦田はGS(民政局)、つまりニューディール派から高く評価されていた人物で、日本を「右旋回」させようとしていた好戦派からは嫌われていた。

 1947年に商工省の役人と昭電関係者との関係が問題になり、警視庁捜査二課は翌年になって昭和電工の本社を捜索しているのだが、その捜査を乗っ取る形になったのが特捜部。そして同年12月に芦田が逮捕され、好戦派が政権を奪還した。この事件に芦田は無関係で10年後に無罪判決が出ているのだが、その10年間に好戦派は「右旋回」を完成させて「日米同盟」の枠組みを作り上げている。

 ある目的のため、事実に基づかない仮想現実を描き出すという手法は、ジョージ・W・ブッシュ政権も使っている。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやワシントンDCの国防総省が攻撃されると、調査/捜査をろくに行っていない段階で「アル・カイダの犯行」が宣言され、実際には存在しない「イラクの大量破壊兵器」を口実として先制攻撃を実行している。1990年代からネオコンが主張していた「サダム・フセインの排除」を実現し、イスラム諸国を戦乱に巻き込むこともできた。

 旧日本軍の作戦参謀たちも似たようなことを行っていた。自分たちが描き挙げたシナリオを実行するため、事実を無視して戦争へと突き進んだのである。情報将校のブレーキはほとんど効果がなかった。

 自分が陶酔できるシナリオを頭に描き、そのシナリオに合うような情報を集め、不都合な事実を無視するのは検察や特定の好戦派だけではない。自分に都合が良ければ、怪しげな情報に飛びつき、都合が悪ければ確度の高い情報も無視する。そうした傾向は日本中に広まっている。勿論、マスコミも例外ではない。





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最終更新日  2010.10.02 13:26:39


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