《櫻井ジャーナル》

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2011.03.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 原子力発電を擁護/推進するグループの中には、石油を持ち出す人もいる。「石油の取り合い」は戦争の原因になり、多くの人が殺されてきたという。ところが、そうした議論を展開する人はさまざまな石油製品については考えないようだ。要するに、トータルとして石油の使用量を減らそうとは考えていない。

 福島第一原発の事故を受け、「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と日本経団連の米倉弘昌会長はコメントしているのだが、この日本経団連は二酸化炭素の排出規制(いわゆる化石燃料の使用規制)には強く反対している。石油を大量に使いたいということだ。

 要するに、「原子力対石油」というよう枠組みの中で議論すること自体、大企業の術中にはまっていることを意味している。そもそも、原発は燃料の生産から放射性廃棄物の処理、貯蔵まで多額の資金、膨大なエネルギーを必要とする。

 エネルギーだけを考えても、まず外交で紛争を回避する努力をすることは当然だが、石油や天然ガスの輸入先を分散させ、エネルギー源も多様化させる必要がある。原子力へ投下している巨額の資金を考えれば、可能なはずだ。

 また、日本政府がエネルギーの消費量を抑える政策を推進してきたとも思えない。自動車産業を経済の軸に据えること自体がエネルギーの浪費を前提にしている。せめてヨーロッパ諸国のように、路面電車を交通手段として広め、自転車専用道路を整備する程度のことはしなければならない。

 現在、最もエネルギー効率が良いとされている燃料電池の実用化を真剣に考えているようにも見えない。もっとも、燃料電池が広まると電力会社を中心とする利権構造は崩れる可能性がある。なぜなら、ガスの配管システムを持っているガス会社が強力なライバルになることは間違いないからだ。

 石油が絶対的なエネルギー源でないことは、サウジアラビアなどの産油国は理解している。石油価格の高騰は石油使用量の削減や代替エネルギーの開発を促進、石油離れを誘発すると懸念していたのである。

 1973年に石油価格が急上昇(オイル・ショック)しているが、この相場急騰に危機感を抱いたサウジアラビア国王は石油相だったザキ・ヤマニをイランへ派遣、イラン国王に相場抑制を訴えている。それに対し、石油価格の高騰はヘンリー・キッシンジャーが望んでいることだとイラン国王は答えたという。

 2001年1月14日付けの オブザーバー紙

 ともかく、石油をめぐる戦争を避けたいならば、アメリカの独善的な行動を押さえる必要がある。





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最終更新日  2011.03.27 12:58:01


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