《櫻井ジャーナル》

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2011.09.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 今から半年前、3月11日に東北地方を襲った地震で福島第一原発は壊滅的な事故を起こした。その影響は世界的な広がりを見せ、莫大な損害賠償を請求される可能性もある。日本の政府や東京電力の宣伝とは比較にならないほど深刻な事態になっている。

 福島第1原発周辺の地域に人が住めるようになるまでには数十年、場所によっては「世紀」単位の時間が必要になると覚悟するべきであり、そうした地域が「死の街」になっているとする表現を間違いだとは言えない。ただ、政治家の発言としては適切でないというだけのことだ。

 9月1日、原発の南側3キロメートル圏内に自宅がある福島県大熊町の一般住民が一時帰宅しているが、その時に住民のひとりは「なんで国も県も町も、もっと早く(住めないと)言わねんだ。家が残っているから帰れると思う人が多いけど、こんな放射能じゃ無理だ」(毎日新聞、2010年9月2日)と口にしたそうだが、全くその通りだろう。

 事故後、アメリカの NRC(原子力規制委員会)によると 、福島第1原発の敷地から1マイル強(約2キロメートル)ほどの場所で核燃料棒の破片が見つかっていた。そうした破片を回収したうえでの一時帰宅なのだろうが、それでも汚染が深刻だという状況に大きな変化はない。

 破片が飛び散ったのは14日の午前だと見られていた。この日、午前11時頃に3号機で大きな爆発があり、瓦礫が高く吹き飛ばされる様子が撮影されているからである。日本政府は「水素爆発」としているのだが、検出された放射性物質なども考え合わせるとプール内で核反応(核暴走)が起こった可能性が高く、説得力のある仮説だった。

 これでも深刻な話なのだが、NRCのスタッフは別の見方をしている。破片はプールに貯蔵されていた核燃料棒ではなく、圧力容器内にあったロッドの破片だと推測している。3月12日に放射性物質を大量の放出する「ベント」を実施しているので、このときに炉内から破片も噴出された可能性がある。その時点で内部はグチャグチャだったということになる。

 8月1日には1号機と2号機との間にある排気筒の下部にある配管で毎時10000ミリシーベルト以上(計測器の能力を超えていたので、実際の数値は不明)、2日には1号機2回の空調機室で毎時5000ミリシーベルト以上(同)の放射線を計測しているので、炉内から核燃料棒の破片が飛び出したことも確かに考えられる。

 もっとも、この発表はNRCで会議が開かれた直後に行われた。炉内にあった燃料棒の破片が飛び散った理由に関する議論をミスリードするために発表したいう可能性がないわけではないが。



 炉心の溶融物が圧力容器から格納容器へ漏れ出た可能性が高いのだが、そうなると床のコンクリートと反応しながら中へ潜り込んでいることが予想される。融点の関係で鋼の壁を突き抜け、その下のコンクリートへ入り、さらに下へ落ちていけば地中に入ってしまう。

 地震でコンクリートには無数の亀裂が入っていると思われ、海や土の汚染状況を考えると、そこから放射性物質は外部へ漏れ出ていることは間違いないだろう。建屋内に蒸気が噴出しているとする話も伝わっている。溶融物が地中に入れば、周辺への汚染はさらに激しくなる。建屋の地上部分を囲ったところで問題の本質的な解決にはならない。最大の問題は地下にある。

 これだけの事故が起こった以上、農作物や水産物が放射性物質に汚染されたことは間違いない。こうした事実は「民間」や外国の調査で明らかにされてきた。政府や東電は情報を隠し、嘘をつき、被害を拡大させている。多くの庶民はそんな政府や東電を信じていない。実際、「問題ない」とされた食物からも放射性物質が検出されている。つまり、問題のある食物が市場で売買されているわけだ。

 福島県、あるいは東北地方で生産される農作物は全て危険だとする主張は正しくないだろうが、政府が信用できない以上、防衛手段として汚染の可能性が高いと思われる食物を避けるのはやむを得ないことである。本来なら問題ない作物が忌避されているとするならば、その責任は政府や東電にある。そこを避けて通る議論は意味がなく、無責任である。





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最終更新日  2011.09.11 15:18:02


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