《櫻井ジャーナル》

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2011.10.10
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 2月11日にオマール・スレイマン副大統領がホスニー・ムバラク大統領の辞任を発表したが、その後もエジプトでは民主化が進展していない。選挙が行われるまでの半年間、エジプト軍最高評議会が実験を握るとされたが、半年を過ぎても非常事態法は続いている。

 そうした中、 9月30日には数千人がエジプトで抗議のデモ を行っている。デモ参加者の中にはアメリカの俳優、ショーン・ペンも含まれていた。「ムバラクなきムバラク体制」に対する怒りが高まっていることを感じてか、 アメリカのレオン・パネッタ国防長官も非常事態法を止めるようにと発言 している。

 アメリカ政府にとって、ムバラクの退陣はムバラクなきムバラク体制を築くために必要なステップだったはずだ。何しろ、2008年8月にイスラエルのエーウド・バラク国防相の一行がエジプトを訪問した際、ムバラクは呂律が回らない状態で、老け込み具合に驚いたという。つまり、御役御免ということ。

 そのときにエジプト側で応対した人物がオマール・スレイマン。情報機関EGIS(エジプト総合情報局)の長官を務めてきた人物で、拷問の責任者でもある。 イスラエルはこのスレイマンを高く評価 、「ムバラクの後継者」と見なすようになった。イスラエルの国防省とエジプトのEGISはホットラインで結ばれ、毎日連絡を取り合っていたという。

 1980年代にスレイマンはアメリカで特殊部隊の訓練を受け、1993年にEGIS長官に就任、その2年後にはアメリカが秘密裏に拘束した人物をエジプトで尋問/拷問することに合意している。当然、CIAとは友好的な関係にあった。

 日本のマスコミもスレイマンを「善玉」として描いていたが、エジプト国民には拒否されてしまう。そしてエジプト軍最高評議会が表に出てくるわけだ。反ムバラクの抗議活動が続く中、軍は武力の行使に慎重な姿勢を見せていたが、その理由はビジネスと関係がある。



 そうしたビジネスの中に観光産業も含まれている。例えば、風光明媚な海岸線は軍が支配していたことから開発業者と手を組み、その海岸線をビジネスに使っている。結局、経済活動の5から40%を軍が支配していると推測されている。

 だからこそ、街中から抗議活動を収束させ、観光客を呼び込む準備を早く終えようとしたわけだ。これまでは思惑通りに展開してきたのかもしれないが、軍部はエジプトを民主化するつもりもなければ、労働者の権利など認めるつもりもないだろう。

WikiLeaksが公開した文書 によると、アメリカ政府は「4月6日運動」とも2008年には接触している。エジプトで大きな影響力を持っているムスリム同胞団は歴史的にイギリスと関係が深い。アメリカやイギリスはこうした勢力と協力しながらエジプトをコントロールするつもりかもしれないが、庶民が計算通りに動くとは限らない。

10月9日にはカイロのタハリール広場などでコプト教徒(キリスト教の一派)らのデモ隊が治安部隊と衝突して24名以上が死亡したと報道されている

 コプト教徒が暴力的な行動に出ることは治安機関にとっては悪くない流れだと言える。「暴徒」というイメージが広まれば、暴力的に鎮圧しやすくなるからだ。コプト教徒側は、デモ隊の中に見知らぬ人物が混じっていたと主張している。

 しかし、すでに治安部隊の暴力行為、例えばデモ隊に車両が突っ込むという映像も流れているわけで、当局の思惑通りに進むとは言えない。イスラム教徒とキリスト教徒の対立が民主化運動を分断する可能性もあるが、それで民主化の流れが止まるとは思えない。





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最終更新日  2011.10.11 11:31:56


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