《櫻井ジャーナル》

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2013.02.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 朝鮮が3度目の核兵器の実験を行ったとマスコミは大騒ぎである。中国は事前の警告を無視する形で実験が強行されたこともあり、 朝鮮の大使を召還して強い不快感を表明

 確かに、核兵器は物質的な破壊力のみならず、遺伝子に大きなダメージを与える碌でもない代物で、開発などすべきではなく、廃絶すべきだ。殺戮と破壊を目的とする全ての武器、兵器は否定すべき存在だが、特に核兵器はそうしたことが言える。

 しかし、核兵器はすでに存在し、実戦配備されている。原爆を実戦で使ったアメリカをはじめ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、そして朝鮮。核弾頭の保有数ではアメリカとロシアが突出し、それぞれ数千発。イギリスやフランスは200から300発、中国は百数十発だというが、問題はイスラエル。

 実際にイスラエルの核施設で働いていたモルデカイ・バヌヌによると1986年の時点で200発以上、イスラエルのイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経歴を持つアリ・ベンメナシェによると1981年の時点で300発以上で水爆も保有、そしてジミー・カーター元米大統領は150発だと推測している。イギリス、フランス、中国並みということだ。

 イスラエルは核兵器を保有しているだけでなく、1973年の第4次中東戦争で使おうとしている。この年の10月にエジプト軍が奇襲攻撃を始めてイスラエルは窮地に陥る。そこでイスラエル政府は核ミサイルの発射準備をすることで合意したのだ。ソ連の情報機関はこうした動きに気づき、その情報がエジプトやアメリカへも伝えられている。

 敗色濃厚のイスラエルをアメリカは支援、ソ連はエジプトに対して停戦するように説得する。イスラエルはアメリカに停戦を約束するのだが、攻撃は止めない。ソ連はアメリカに対し、共同で軍事介入しようと提案し、アメリカが拒否すれば単独で軍隊を送ると伝えた。その直後に停戦が実現している。

 そうしたイスラエルに対してアメリカをはじめとする「西側」や国連は甘く、制裁もされていない。イスラエルの動きは石油の生産と直結、日本にとっても死活問題なのだが、マスコミも静かなものだ。

 他国や民主主義に対する「脅威」というなら、アメリカの右に出る国はない。イラクへは偽情報を世界に広めて先制攻撃、イギリスの医学雑誌「ランセット」が2006年10月に掲載したジョンズ・ホプキンズ大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究に基づく報告によると、2003年3月から2006年7月までの間に65万4965名以上のイラク人が死亡、そのうち60万1027名は暴力行為(要するに戦闘)が原因。イギリスのORBが行った調査では、2007年夏までに約100万人が戦争で殺されたという。



 アメリカがインドシナへの軍事介入に向かって歩き始めるのは1954年1月のこと。ジョン・フォスター・ダレス国務長官がベトナムでのゲリラ戦を準備するようにNSC(国家安全保障会議)で提案したのである。朝鮮戦争が休戦になって半年後のことだ。そこでCIAはSMMを編成、「北部地域の現地人に対する政治的、心理的、かつテロリスト的な活動を開始」した。

 朝鮮半島では1950年6月に大規模な軍事衝突が起こり、戦争が始まる。元特務機関員で戦後はアメリカの情報機関でエージェントとして働いていた中島辰次郎によると、その年の2月には金日成軍に対する挑発行為を始めていた。偽装帰順し、相手の将校を皆殺しにするという作戦を繰り返していたという。「開戦」前から小規模な軍事衝突は頻発していたとも語っていた。

 この当時、アメリカの破壊工作はOPCが実行していたが、この年の10月にはCIAに吸収されている。OPCはフランク・ウィズナーという人物が局長を務めていたが、事実上のボスはアレン・ダレス。このダレスが1951年1月にCIAに入り、破壊工作担当(計画局)の副長官に就任した。

 1951年4月にCIAは国民党軍の兵士を率いて中国領内に軍事侵攻したものの、人民解放軍の反撃にあって追い返されている。1952年8月にも再度、中国へ攻め込んだが、このときも中国側の反撃で撃退されてしまった。朝鮮戦争は中国との戦争でもあり、ベトナム戦争を始めた一因もここにある。

 日本の場合、「左翼」でも朝鮮戦争は北側が先制攻撃して始まったとするアメリカ国務省や国連の「公式見解」を信じているようだが、大きな疑問がある。

 中島の証言だけでなく、例えば、ダグラス・マッカーサーに同行して日本にいた歴史家のジョン・ガンサーは韓国軍が先に攻めたとしていた。半島からマッカーサーに入った最初の電話連絡は「韓国軍が北を攻撃した」というものだったというのだ。「開戦」の2日前から韓国軍は北側を空爆し、地上軍は海州を占領したとも言われている。

 1960年代から80年頃までの期間、イタリアでは「NATOの秘密部隊」を使い、「極左過激派」を装って爆破工作を繰り返していた。この秘密部隊はアメリカとイギリスの情報機関が作り上げたもので、その源流はOPCと同じジェドバラ。

 最近、アメリカは「イスラム武装勢力」という傭兵を使うようになってきた。リビアやシリアが典型例。直接、カネや武器を渡しているのはサウジアラビアやカタールのような湾岸産油国だが、後ろ盾はアメリカ。イギリスやフランスなどと一緒にアメリカはそうした武装集団を軍事訓練、電子戦での支援もしている。リビアではNATOという形で直接的な軍事介入をしている。

 アメリカは朝鮮に対する挑発も続けてきた。1998年には、朝鮮に対する先制攻撃、体制転覆、傀儡政権の樹立を目的とする「OPLAN 5027-98」を、また99年には朝鮮の体制が崩壊した場合を想定したCONPLAN 5029を作成している。2003年にアメリカは空母カール・ビンソンを中心とする艦隊を朝鮮半島に派遣、そのほか朝鮮への核攻撃を想定したCONPLAN 8022も作成している。

 アメリカは「テロ国家」であり、世界の平和にとって最も危険な存在。イスラエルは核兵器を使おうとした国だ。アメリカやイスラエルを人びとが「脅威」だと言わないのは、本当に脅威だからにほかならない。怖いのだ。朝鮮を批判するのはその逆。事情を知っている人間なら、大きな脅威だとは考えていない。怖くもない。だからこそ、国連の安全保障理事会も気楽に非難声明を出すことができ、日本のマスコミも恐怖を煽ることができるわけだ。なぜ、朝鮮は核実験を強行したのか?誰にとって実験が都合良いのかを考えることも無駄ではないだろう。





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最終更新日  2013.02.13 19:58:19


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