《櫻井ジャーナル》

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2013.02.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 チャック・ヘーゲル元上院議員の国防長官就任が遅れている。ヘーゲルは共和党に所属しているのであり、形式的には共和党の議員が共和党の元議員の長官就任を妨害していることになる。

 ヘーゲルの長官就任を妨害しているのはネオコン(親イスラエル派)。2月14日に上院の本会議で審議打ち切りの動議が賛成58に対して反対40、共和党の反対で否決されている。反撃の糸口を探るための時間稼ぎといったところだろう。

 ネオコンがヘーゲルを嫌っている理由は、そのイスラエルに対する姿勢。イスラエルを絶対的な存在だとみなしていないからだ。ハト派かタカ派か、といったことではない。

 ヘーゲルを指名したバラク・オバマ大統領はズビグネフ・ブレジンスキーの影響下にあるようで、平和を志向しているとは言い難い。ネオコンをはじめとする好戦派、例えばジョージ・W・ブッシュ政権とは違い、殺戮と破壊を前面に出しているわけではなく、それなりに合理的な判断をするだけだ。

 ジミー・カーター政権において、ブレジンスキーはアフガニスタンで秘密工作を展開、「イスラム武装勢力」を生み出し、ソ連軍を引きずり込んだ人物であり、CIAと深い関係にあることでも知られている。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)

 それはともかく、昨年の大統領選挙でネオコン/イスラエル・ロビーは大きな間違いを犯した。ミット・ロムニーへ一方的に肩入れしていたのだ。その大スポンサーだったシェルドン・アデルソンは好戦的シオニストへ多額の寄付をしている富豪。ロムニーが敗北したことでネオコンは苦しい立場に陥った。

 ジョージ・H・W・ブッシュ政権の時代、つまり1990年代の初頭にアメリカの国防総省ではネオコンや戦争ビジネスの影響力が強まった。そのひとつの結果が1992年に書かれたDPGの草案。リチャード・チェイニー国防長官、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザドのラインが担当したのだが、その内容はONAのアンドリュー・マーシャル室長の考え方に基づいている。

 この草案はリークされて書き直されたのだが、ネオコンの戦略としては生き続けた。9年後にジョージ・W・ブッシュが大統領に就任すると復活、「中国脅威論」が叫ばれるようになる。マーシャルはソ連消滅後、新たな「仮想敵」を中国に設定していた。潜在的なライバルとして東アジアを警戒、この地域を軍事的に破壊するための口実とも言えるだろう。長州藩や薩摩藩が打ち立てた明治王朝の洗脳を受けた日本人には好まれる議論だ。

 明治王朝の黒幕がイギリスだということは言うまでもない。「産業革命」後の経済戦争で中国(清)に敗北したイギリスはアヘンを売りつけるため、戦争を起こした。アヘン戦争である。この戦争で大儲けした会社のひとつがジャーディン・マセソン商会だ。



 ところで、マーシャルもイギリスの影響を受けている。彼の師と言われているバーナード・ルイスはイギリス生まれの歴史学者。第2次世界大戦ではイギリス軍で情報活動に従事、戦後はロンドン大学で教鞭を執っている。1974年にはアメリカのプリンストン大学でも教えるようになるが、一貫してシオニストの擁護者。イスラエルを支持していただけでなく、サウジアラビアなどの湾岸産油国も支援していた。チェイニーも彼を信奉しているようだ。

 ルイスの影響を受けたアメリカ人のひとりにヘンリー・ジャクソンもいる。1953年から83年までアメリカの上院議員を務めた人物で、反デタント/好戦派。そのオフィスにはスタッフとしてウォルフォウィッツやリチャード・パールがいた。後にネオコンの中心的な存在になる人物だ。

 ネオコンと明治王朝の支配層は「イギリス」で結びついている。民主党の菅直人政権にしろ、野田佳彦政権にしろ、現在の安倍晋三政権にしろ、日本はネオコンの指揮下に入っているが、これは歴史を考えると必然なのかもしれない。

 そのネオコンは現在、アメリカで劣勢にある。その影響が日本へも及ぶことも避けられないだろう。1933年以降の暴走が再現されないことを願うばかりだ。





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最終更新日  2013.02.15 22:02:04


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