《櫻井ジャーナル》

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2013.05.20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ボストン・マラソンのゴール近くで爆破事件があったのは4月15日。すでに1カ月を過ぎた。事件で3名が死亡、260名以上が負傷、すぐにタメルラン・ツァルナエフとジョハル・ツァルナエフの兄弟が容疑者とされたが、兄のタメルツランは射殺され、弟のジョハルは重傷を負ってまともに証言できる状態ではない。

 ところが、ふたりの母親は冤罪を訴え、数年前からFBIが家族を監視、事情聴取も受けていると主張する。FBIもその事実を認めた。しかも、ジョハルの容疑を証明する十分な証拠もないようで、ジョハルを30日以内に起訴することは無理だという。事件はいまだに霧の中である。

 母親ではなく、兄弟のオジ、ルスラン・ツァルニが「広報担当」のような役割を演じるのだが、この人物は1992年から2年の間、 USAID (米国国際開発庁)の「顧問」としてカザフスタンで働いていたことがわかっている。USAIDはCIAがしばしば隠れ蓑に使う組織。しかも、彼が結婚した相手の父親はCIAの幹部だったグラハム・フラー。ルスランがCIA人脈に属している可能性は高い。

 また、タメルランは2012年の夏にコーカサス地方の若者を対象としたワークショップ/セミナーに参加している。主催したNGOのコーカサス基金はジェームズタウン基金と協力関係にある。このジェームスタウン基金は1984年、ソ連の反体制派支援を目的に設立されたが、その際にウィリアム・ケイシーCIA長官が支援している。

 それだけでなく、事件の数週間前、タメルランはムサ・カズヒムラなる人物とニュー・ハンプシャー州マンチェスターで会っていたと伝えられている。カズヒムラはチェチェンの反ロシア勢力を率いるアフメド・ザカーエフのボディー・ガードだった人物で、FBIはカズヒムラの自宅を家宅捜索したという。

 ザカーエフは現在、ロンドンで亡命生活を送っている(つまり、イギリス政府が保護している)が、この都市には少なからぬロシアの富豪が住んでいる。例えば、今年3月23日に死亡したボリス・ベレゾフスキー(亡命してからプラトン・エレーニンに改名)。新自由主義経済に基づいて「私有化」と「規制緩和」を推進したボリス・エリツィン時代、彼はロシア政府の高官と手を組み、不公正な手段で巨万の富を築き、チェチェンのマフィアや反ロシア勢力と結びついていた。

 ベレゾフスキーはロシアの新自由主義を復活させようとしていたが、彼を支えるネットワークは「西側」も絡んでいる。彼は多くの「有力者」と親しくしていたが、その中にはジェイコブ・ロスチャイルド(ロスチャイルド卿)やエブリン・ロベルト・デ・ロスチャイルドも含まれている。反ロシア活動の拠点になっている「 カーネギー・モスクワ・センター 」は、ニューヨークを拠点とするカーネギー国際平和財団が国防総省系のRANDと手を組んで設立した組織だ。

チェチェンで活動している反ロシア武装勢力の幹部だと見なされていた人物の何人かがトルコで殺されている 。2011年1月にモスクワのドモデードボ空港で自爆攻撃があったのだが、その責任者とロシア当局が見ている人物がドク・ウマロフ。その側近、ベルグハジュ・ムサイエフとふたりのボディーガードが同年9月にイスタンブールで射殺された。チェチェンの反ロシア武装勢力の少なからぬ幹部がトルコにいるということのようだ。

 トルコの大企業が1990年代にチェチェンの武装勢力へ資金を提供していたと、2008年にロシアのテレビ局が伝えている。その中には建設会社の ENKA も含まれているというのだが、実際は資金のパイプ役にすぎないとも言われている。その背後にはENKAのような企業の集合体とも言える ATC が存在、そのATCの議長はリチャード・アーミテージだ。

 日本にも大きな影響力があるアーミテージだが、ベトナム戦争当時、麻薬取引に関わっていたと言われている。(詳しくは、拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を。)米陸軍の極秘機ISA(1989年に廃止され、USSOCOMに引き継がれた)に所属していた元グリーン・ベレーのジェームズ・グリッツ中佐によると、「麻薬王」のクン・サから、アーミテージは犯罪組織とアメリカ政府をつなぐキーマンだと聞かされたという。アメリカの情報機関が麻薬取引に手を出していることは公然の秘密だ。

 アーミテージを含め、東南アジアで麻薬取引を含む秘密工作に従事していたメンバーの名前がロナルド・レーガン大統領の時代、「イラン・コントラ事件」やCOG(愛国者法につながる戒厳令プロジェクト)で浮上、アフガニスタンでの秘密工作にも関わることになる。この時の構図が現在、例えば、シリアでの体制転覆プロジェクトでも健在だ。





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最終更新日  2013.05.21 01:44:16


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