《櫻井ジャーナル》

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2013.05.29
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ヨーロッパではイギリスとフランス、アメリカではネオコン(親イスラエル派)がシリアへの軍事介入を強化しようと働きかけている。この3者のほか、トルコ、サウジアラビア、カタールがシリアの体制転覆を目指す勢力であり、その手先になっている武装勢力の中核はアル・カイダ系のグループにほかならない。

 5月27日にはふたつの注目すべき出来事があった。 EUの外相理事会が開かれて反シリア政府軍への武器禁輸を解除すると決定、アメリカのジョン・マケイン上院議員はトルコからシリアへ入り、反政府軍の幹部と数時間にわたって会談 したという。EUの決定はイギリスとフランスの意向が反映されたわけだ。6月6日から9日にかけてビルダーバーグ・グループの会合がイギリス開かれるようなので、シリア情勢も議題になり、何らかの動きが出てくる可能性がある。

 すでに反政府軍の主力がアル・カイダだということを否定できなくなっている。そこで体制転覆プロジェクトを推進している勢力は「良い反政府軍」と「悪い反政府軍」という虚構を人びとに信じさせ、反政府軍へのテコ入れを正当化しようとしている。反シリア政府軍は、 シーア派、アラウィー派 キリスト教徒(多くは正教徒) など少数派を殲滅も公言している。

 正規の手続きを踏まずにシリア入りしたマケイン上院議員に対し、反シリア政府軍の幹部は重火器の供給、飛行禁止空域の設定、政府軍やヒズボラへの空爆などを要求したという。軍事力で体制を転覆させたリビアの再現を望んでいるわけだ。

 すでにトルコとイスラエルは戦闘機をシリア領空へ侵入させている。昨年6月に領空を侵犯した トルコ のF-4戦闘機は海岸線から約1キロメートルの地点で撃ち落とされ、今年に入ってからイスラエルが1月と5月にシリア領内を空爆した。未確認情報だが、それ以外にも戦闘機の領空侵犯があり、シリア軍はトルコのF-16を3機、またイスラエルの戦闘機を1機、撃墜したとも言われている。



 5月14日にロシアを訪問したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相もプーチン大統領に対してS-300をシリアへ提供しないように求め、もし提供したら戦争になると脅したが、ロシア政府は既存の契約通りに武器を提供するという態度を崩していないようだ。真偽不明だが、すでにシリアは200台のS-300ランチャーを受け取っているだけでなく、対艦ミサイルP-800のランチャーが36台あるとも報道されている。

 イスラエルはシリアを空爆しただけでなく、地上軍をシリア領へ侵入させているともいう。例えば、シリアでの作戦を終えてイスラエルへ戻る特殊部隊をゴラン高原で撮影したという映像を5月16日にアメリカの FOXニュース が放送している。イスラエルはゴラン高原から反シリア政府軍向けに武器をシリアへ運び込んでいるとも言われている。

 ジミー・カーター政権の時代、ズビグネフ・ブレジンスキーはソ連軍をアフガニスタンへ誘い込む計画をたて、成功したわけだが、その当時、アメリカのロナルド・レーガン政権はパキスタン、サウジアラビア、イスラエルと手を組んでいる。イスラム武装勢力を組織したのは、このグループ。そのイスラム武装勢力からアル・カイダは生まれた。

 ネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)は1991年の段階ですでに、シリア、イラン、イラクを殲滅すると語っていたという。これは ウェズリー・クラーク 元欧州連合軍最高司令官の話。

 イラクの体制転覆に成功した後、2007年に調査ジャーナリストの シーモア・ハーシュ は興味深い記事を発表している。アメリカ、イスラエル、サウジアラビアはシリアやイランをターゲットにした秘密工作を開始、その手先としてスンニ派の武装グループ(アル・カイダも含まれる)を使うというのだ。実際、その通りになった。

 アメリカ、イスラエル、サウジアラビアのトライアングルは1970年代の終盤にできあがっているわけだ。イギリスとフランスに関しては、1916年5月に結ばれたサイクス・ピコ協定を指摘する人も少なくない。

 この協定はイギリスとフランスが秘密裏に結んだもの。大雑把に言って、ヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスが支配し、トルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンをフランスが支配することになっていた。協定が結ばれた翌月に「アラブの反乱」が始まるが、その黒幕はデイビッド・ホガースを局長とするイギリス外務省のアラブ局。「アラビアのロレンス」こと、トーマス・ローレンスもそこにいた。この流れの中、サウジアラビアが誕生する。

 その一方、1917年にはイギリスのアーサー・バルフォア外相がロスチャイルド卿宛ての書簡で、「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束している。





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最終更新日  2013.05.30 04:00:41


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