《櫻井ジャーナル》

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2013.09.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 2005年4月にJR福知山線で脱線事故が起こり、乗客106名と運転士1名が死亡、600名近くが負傷した。航空事故でも言えることだが、事故調査委員会は真相を封印するのが役割のような存在で、このケースでも証拠隠滅の疑いがある。が、それはともかくとして、この事故に関する裁判の判決があった。

 JR西日本の井手正敬元会長、南谷昌二郎元会長、垣内剛元社長の3人が業務上過失致死傷罪で起訴されていたのだが、神戸地裁の宮崎英一判事は全員に無罪を言い渡した。「脱線転覆の危険性を予見できたと認められず、自動列車停止装置(ATS)設置を指導する注意義務があったとは認められない」ということらしい。

 現場カーブの半径半減工事が事故の一因になっているようだが、カーブの半径が小さくなれば危険性が増すことは自明のこと。安全に電車が走行できるのかどうか、あるいは走行の条件を検討する義務が会社にはあり、そうした検討をする仕組みを作る義務が経営幹部にはある。

 「経営幹部は、半径や制限速度など現場カーブの危険性を認識する具体的な機会はなかった」とするならば、それ自体が経営上の大問題であり、現場のような「半径300メートルの曲線自体は珍しいものではない」とするならば、危険な場所がそれだけあることを意味する。

 車両の台車にしても、車両の編成にしても、過密ダイヤにしても、あるいは懲罰的で絶対服従を強いる「日勤教育」にしても、根本にあるのは経営者のカネ儲けと権力への飽くなき欲望。そうした中、安全性は軽視されていたのである。

 何万人という社員を抱える会社の社長が業務内容の全てを把握していなかったことが問われているのではなく、安全よりカネ儲けを優先する仕組みを作り上げた経営方針が問題なのである。そのひとつの結果が福知山線での脱線事故だということだ。別の場所で同じような事故が起きなかったのは幸運なのだと考えなければならない。

 そうしたJR西日本という会社の仕組みが今回の事故を引き起こし、多くの人から命を奪ったわけで、経営者が責任をとるのは当然の義務である。一種の組織犯罪だとも言えるだろうが、神戸地裁の宮崎英一判事は組織犯罪を犯罪とは認めなかったわけだ。

 それに対し、個人の過失に対して日本の裁判所は非情なまでに厳しい。2007年12月に愛知県で痴呆で要介護4で91歳(当時)の男性がJR東海の東海道線共和駅で線路に入り、電車にはねられ死亡しているのだが、この事故で名古屋地裁の上田哲判事は男性の妻と長男に約720万円を支払うよう命じている。

 男性の妻は当時85歳で、しかも要介護1。その当時、週6日デイサービスを使い、妻だけでなく、長男の妻も介護に加わっていた。



 痴呆老人を介護する家族への負担が悲劇を生むことも少なくない。そうした現実が問題になったこともあるが、福祉を切り捨てる流れの中、介護の責任を個人の押しつける判決だと言える。

 多くの人が指摘しているように、この判決は認知症の人を拘禁しろと言っているに等しいのだが、家庭でそのようなことは不可能。施設で拘禁するということになると、収容所のようになるだろう。企業のカネ儲けを邪魔する人間は早く処分しろと暗に強制しているようにも思える。カネがあれば施設を利用し、なければ・・・





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最終更新日  2013.09.28 02:30:35


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