《櫻井ジャーナル》

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2014.12.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカの支配層、特に好戦派にとって朝鮮は大切な存在である。アジア大陸の東側は彼らにとって警戒すべき潜在的なライバルであり、友好的な関係を深められてはたまらない。この地域を不安定化させる道具として朝鮮は重要な仕掛けだ。

 ロシアとEUの接近を阻もうとしているように、アメリカの支配層は東アジアでも対立を煽っている。そのために利用されているのが差別意識を埋め込まれた日本と挑発に乗りやすい朝鮮。その挑発に乗りやすい朝鮮を挑発する映画をソニー・ピクチャーズエンタテインメント(PSE)が製作した。

 その映画が金正恩第一書記の暗殺をテーマにした「ザ・インタビュー」。 デイリー・ビースト(ニューズウィーク誌系)によると、少なくとも2名のアメリカ政府高官は映画のラフ・カットを、つまり編集の途中で見て、6月の終わりには映画を有効なプロパガンダだとして賞賛していた とも報道されている。つまり、この映画の製作にアメリカ政府が関与していた。CIAが関与、DVDを朝鮮へ密輸しようとしていた可能性も高い。

 今回のハッキングに関し、朝鮮側は共同調査を提案しているが、勿論、アメリカ側は拒否している。アメリカ政府はハッキングを問題にしているのではなく、ハッキングを口実にして東アジアを不安定化させようとしているだけのことだ。ロシアや中国の存在感が高まっていることをバラク・オバマ政権は懸念しているだろう。

 ところで、問題の映画をプロデュースしたのはセス・ローゲン、エバン・ゴールドバーグ、ジェームズ・ウィーバー、監督はセス・ローゲンとエバン・ゴールドバーグ、主役はセス・ローゲンとジェームズ・フランコ。映画の中心的な存在はセス・ローゲンだと言えるだろうが、この人物の両親はイスラエルのキブツで知り合ったという親イスラエル派。セス・ローゲン本人も筋金入りの親イスラエル派で、ジャーナリストのウェイン・マドセンによると、イスラエル軍がガザで行った虐殺を支持、もうひとりの主役であるジェームズ・フランコも親イスラエル派だという。

 ネオコン/シオニストと同じ立場ということだろうが、このグループはイスラム世界で自立の道を歩み、アル・カイダのような武装集団と対立していた体制を暴力的に倒してきた。ウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを仕掛けたのもこの勢力だ。そして今、東アジアの軍事的な緊張を高めようとしている。

 彼らは遅くとも1990年代、ソ連が消滅した後に東アジアを警戒するようになる。ネオコン/シオニストのブレーン的な存在で、冷戦時代にソ連脅威論を布教していた国防総省のアンドリュー・マーシャルONA室長はソ連消滅後、中国脅威論を主張している。ソ連を消滅させ、旧ソ連圏は自分たちの属領になったとでも思ったのだろう。

 そうした判断の延長線上に1992年に作成されたDPG(国防計画指針)の草案や、ネオコン/シオニスト系のシンクタンク、PNACが2000年に公表した報告書「米国防の再構築」につながる。ジョージ・W・ブッシュ大統領も就任直後、2001年9月11日までは中国脅威論を叫んでいた。



 そうした中、出してきたのが朝鮮をテーマにした映画の問題。この騒動を宣伝に利用、プロパガンダの効果を高めて映画を公開するらしいが、思惑通りになるかどうかは疑問。すでに映画の背景が知られ始めている。





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最終更新日  2014.12.24 02:56:21


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