《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2016.07.30
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 東京都知事選挙の有力な候補者と言われている鳥越俊太郎に対するスキャンダル攻勢に週刊新潮も加わった。13年前の取材記録を掲載したのだが、その時に掲載を断念しただけあって説得力に欠けている。

 この問題を追いかけている岩上安身によると、 元検事の落合洋司弁護士 は週刊新潮の記事について、週刊「文春の記事よりも弱い」と言っている。その週刊文春の記事も当事者の女性に取材せずに書かれたもので、通常なら掲載を見送るような代物。実際、岩上によると、 週刊文春の編集部は「裏が取れず、難航し、昨日の時点では別の話に切り替えた、あるいは掲載を諦めた、という情報も 得ていた」という。

 両誌の記事は名誉毀損になる可能性が高そうだが、そうしたことは両誌の編集幹部も承知しているだろう。名誉毀損で負けることを覚悟の上で掲載したということになる。裁判で負けることで受ける不利益に比べ、掲載することで受ける利益が大きい、あるいは掲載しないことで受ける不利益が大きいという判断があったのかもしれない。

 ところで、週刊新潮が取材した13年前というと、アメリカ軍がイギリス軍などを引き連れてイラクを先制攻撃した2003年だ。この攻撃をアメリカ政府は当初、2002年の前半に実施するつもりだったようだが、統合参謀本部内の反対が強く、約1年間、先送りになっていた。

 当時、国務長官だった コリン・パウエルの書いたメモ によると、2002年3月28日にイギリスのトニー・ブレア首相はパウエル長官に対し、アメリカの軍事行動に加わると書き送っている。つまり開戦の1年前にでブレアは開戦に同意している。

 好戦派はこの時点で戦争を始めるつもりだったのだろうが、抵抗が強く、好戦的な雰囲気を強める必要が生じた。そしてブレア政権は2002年9月に「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書を作成した。いわゆる「9月文書」だ。これはメディアにリークされ、サン紙は「破滅から45分のイギリス人」というセンセーショナルなタイトルの記事を掲載している。



 こうしたプロパガンダで開戦に反対する力を弱めてイラクを攻撃したのだが、その2カ月後にあたる2003年5月29日、BBCのアンドリュー・ギリガンはラジオ番組で「9月文書」は粉飾されていると語り、サンデー・オン・メール紙でアラステアー・キャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切って「45分話」を挿入したと主張した。

 この発言に激怒した好戦派はBBC会長を辞任させ、ギリガンもBBCを離れざるをえなくなる。この後、BBCはプロパガンダ色が強まり、リビアやシリアへの軍事侵略を始めてからは偽情報を流し続けている。

 米英を中心とする連合軍の攻撃でイラクは破壊され、100万人とも言われる人が殺された。そうした後、今年7月6日に ジョン・チルコットを委員長とする独立調査委員会(チルコット委員会)は報告書を公表 、その中でサダム・フセイン体制について、イギリスにとって差し迫った脅威ではなく、戦争は不必要だったなどとしている。ギリガンはジャーナリストとしてすべきことをしたため、BBCから追い出されたということだ。

 戦争の遂行にとって邪魔な存在はイギリスだけでなくアメリカや日本でも攻撃されていた。イラク侵略を小泉純一郎政権は支持、マスコミも戦争熱を煽っていた。当時、テレビに登場するのはそうした類いの人物ばかりで、例外は橋田信介くらい。その橋田は2004年5月、自衛隊駐屯地へ立入許可証を受け取りに行った帰りに甥の小川功太郎とともに殺害されている。小泉をはじめとする政治家、テレビなどマスコミで戦争を後押ししていた「専門家」や記者、編集者などは未だに戦争責任をとっていない。

 現在、アメリカでは大統領選挙のキャンペーンが行われているが、メディアは差別的な発言をするドナルド・トランプを集中攻撃、ロシアとの核戦争へ向かおうとしている好戦派のヒラリー・クリントンには甘い。メディアがトランプを攻撃しているということは、トランプの方がマシだということ。有権者もそのように判断する人が少なくないようで、クリントンが当選するかどうかはわからない状況だ。そこで、選挙前にバラク・オバマ政権は戦争へ向かい、新政権の選択肢をなくそうとしている可能性もある。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016.07.30 22:36:36


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: