《櫻井ジャーナル》

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2017.02.12
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 とりあえずネオコンの影響力がこれ以上強まることは避けられたが、影響を受けていないわけではない。トランプの娘、イバンカが結婚したジャレド・クシュナーはニューヨーク・オブザーバー紙を発行しているオブザーバー・メディアの創業者で、現在は大統領の顧問を務めている。ジャレドの父親であるチャールズもトランプやジャレドと同じ不動産開発業者で、現在は大統領の上級顧問だ。チャールズの両親はナチスによるユダヤ人迫害を経験しているとも言われている。こうした背景があるため、クシュナー親子は親イスラエルで、ネオコンに近いとも考えられる。

 ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の出現と勢力拡大をDIAが2012年の時点でバラク・オバマ政権に警告していたことは本ブログで紹介してきたが、その当時のDIA局長、マイケル・フリン中将は昨年、選挙キャンペーン中に「 ラディカル・イスラムとその同盟者 」との戦いをテーマにした本を出しているのだが、問題は共著者のマイケル・リディーン。この人物はイスラエルの情報機関と緊密な関係にあると言われ、1970年代の半ばにイタリアのイル・ジョルナレ・ヌオボ紙でジャーナリストとして働いていた際には「アカの脅威」を盛んに宣伝していた。

 当時、リディーンと親しくしていたイタリアの情報機関SISMIのフランチェスコ・パチエンザによると、リディーンもSISMIのエージェント。1980年のアメリカ大統領選挙ではジミー・カーターの再選を阻止するため、盛んにスキャンダルを流していた。パチエンザは非公然結社P2と結びつき、グラディオと呼ばれるNATOの秘密部隊でも活動していた。(Edward S. Herman & Noam Chomsky, "Manufacturing Consent," Pantheon, 1988)

 トランプ政権内でクシュナー親子を含む人びとはイランを敵だとしている。テロリズムの黒幕だというのだが、フリンはその黒幕がサウジアラビアだということを熟知しているはず。アル・カイダ系武装勢力やダーイッシュのような存在を本気で潰すつもりなら、サウジアラビアを相手にしなければならないが、トランプを支える柱のひとつで石油産業もそれは受け入れられないだろう。

 イランを潰すと ポール・ウォルフォウィッツ は1991年の時点で口にしていた。その当時、国防次官だったウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを5年から10年で殲滅すると言っていたのだ。

 その年の1月16日にアメリカが主導する連合軍はイラクへ軍事侵攻、2月末に停戦するのだが、その際にサダム・フセインをジョージ・H・W・ブッシュ政権は排除しない。それが不満でウォルフォウィッツはそうした発言をしたようだが、その際、彼はアメリカが何をしてもソ連は動かないと信じることになる。



 そうした思い込みに基づき、1992年2月には国防総省の DPG草案 として世界制覇計画を作成した。ライバルだったソ連が消滅した後、残された雑魚を整理し、潜在的なライバルを潰すことを決めたのだ。これがいわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンである。

 2001年9月11日の攻撃を利用し、その攻撃とは無関係のイラクをジョージ・W・ブッシュ政権は先制攻撃、今度はフセインを排除した。当初、2002年には攻撃したかったようだが、統合参謀本部の反対で約1年間遅れたと言われている。

 イラク攻撃の口実に使われたのは「大量破壊兵器」。アメリカをはじめとする西側の有力メディアは攻撃を後押しする報道を続けたが、中でもニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラーは有名。偽報道を続け、イラク国土を破壊、約100万人とも言われるイラク人を殺す道を整備したのだ。

 2005年にミラーはニューヨーク・タイムズ紙を辞めてからFoxニューズで働き、政策研究マンハッタン研究所なるシンクタンクの特別研究員になるが、この研究所の共同創設者のひとりはウィリアム・ケイシー。1981年1月から87年1月にかけて、ロナルド・レーガン政権でCIA長官を務めた人物だ。

 その後、ミラーはニュマックスなるメディアで働くようになる。このメディアを創設したのはクリストファー・ルディーで、資金を提供したグループにはケイシーのほか、メロン財閥の中心的な存在で情報機関と密接な関係にあり、ビル・クリントン大統領を攻撃するキャンペーンのスポンサーでもあったリチャード・メロン・スケイフも含まれていた。ルディーはスケイフの下で働いていたことがある。

 ネオコンのネットワークは政府内だけでなく、議会、有力メディア、あるいはハリウッドにも張り巡らされ、その背後では巨大金融資本や戦争ビジネスが蠢いている。ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されて以降、この仕組みには向かった大統領はいない。

コンドリーサ・ライス元国務長官 はFOXニュースのインタビューで、控えめで穏やかに話すアメリカの言うことを聞く人はいないと語ったが、世界にはアメリカを快く思っていない人は少なくないということだ。各国の首脳たちはアメリカのカネに目が眩んでいるのか、暴力を恐れている。そうした中、公然とアメリカ支配層をロシアのウラジミル・プーチンは批判、ロシア軍の戦闘能力が高いことも見せつけた。アメリカ国内からプーチンと手を組もうと考える人が出てきても不思議ではない。





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最終更新日  2017.02.12 04:20:15


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