《櫻井ジャーナル》

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2017.12.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類
アメリカ国務省のヘザー・ナウアート広報官は12月22日、同国がウクライナに「強化された防衛装備」を提供することを明らかにした。その一方、アメリカの有力メディアは対戦車ミサイルのFGM-148 ジャベリンを含む兵器をキエフのクーデター政権へ提供すると報道(例えば​ ココ ココ ​)している。この報道が正しいならば、アメリカ政府の決定はロシア政府に対する挑発行為。実際、ロシアのセルゲイ・リャブコフ副外務大臣はアメリカが一線を越えたと発言している。

このところウクライナはジョージアの大統領だったミハイル・サーカシビリにかき回されている。今年9月10日にバスを使ってポーランドからウクライナへ入り、12月5日に逮捕されたが、この時はサーカシビリ支持者が奪還に成功、8日に再び逮捕された。保釈されたのは11日のことだ。

ジョージア時代のサーカシビリはイスラエルの強い影響下にあり、ウクライナで結びついているユリア・ティモシェンコは2007年12月から10年3月にかけてウクライナの首相を務めていた人物で、そのパトロンは投機家のジョージ・ソロスだった。ソロスはロスチャイルド家に近く、ヒラリー・クリントンを操っていたことでも知られている。ティモシェンコが首相だった時代の大統領はオレンジ革命で実験を握ったビクトル・ユシチェンコ。2010年に行われた大統領選挙ではティモシェンコもユシチェンコもビクトル・ヤヌコビッチに負けた。

そのヤヌコビッチをアメリカのネオコンは2014年2月にクーデターで倒している。その手先として活動したのがネオ・ナチのグループだ。2月18日頃、ネオ・ナチはチェーン、ナイフ、棍棒を手に、石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出しただけでなく、ピストルやライフルを撃つ人間も出始めた。そして22日に広場では狙撃で市民側にも警察側に多くの死者が出ている。

これを西側の政府や有力メディアは政府側の仕業だと宣伝したが、2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相の報告は違う。パエトは26日にキャサリン・アシュトンEU外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ電話、反政府側が実行したと強く示唆しているのだ:

「​ 全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。 ​」



当時から外国のスナイパーが関与しているいう話が流れていたが、イタリアのドキュメンタリーに登場した3名のジョージア人は自分たちが狙撃したと認めている。ウクライナのクーデターは、ミヘイル・サーカシビリがジョージアで実権を握った2003年11月の「バラ革命」と同じシナリオだったとも語っている。(​ ココ ​と​ ココ ​)

この3人によると、彼らは狙撃者の一部で、治安部隊のメンバーとしてジョージアから送り込まれたいう。狙撃の指揮者はアンドレイ・パルビーだとも語っているが、これもクーデター直後から言われていた。ジョージアの狙撃者はウクライナ行きを命じたのはサーカシビリだとしているが、この人物は2013年11月17日に大統領を辞めているので、その前の決定だということになる。

サーカシビリは2015年5月から16年11月にかけてオデッサの知事を務めたが、このオデッサでは14年5月2日に反クーデター派の住民がネオ・ナチのグループに虐殺されている。クーデター政権がドンバス(ドネツクやルガンスク)へ戦車を突入させて民族浄化作戦を始めたのはその7日後。オデッサの虐殺で脅し、逃げ出すことを狙ったのだろうが、ウクライナの軍や治安機関でクーデターに反対していた人びとが終結したこともあり、アメリカの思惑通りには進んでこなかった。

現在、ウクライナで最も平穏な場所はクリミア。ここはほかの地域より早くクーデターに対抗する動きがあり、周囲を海に囲まれていることから軍事侵攻を防ぐことができた。ここでは2014年3月16日、ロシアの構成主体としてロシアに加盟するかどうかを問う住民投票が実施されている。投票率は80%を超え、そのうち95%以上が加盟に賛成したという。住民の意思は明確に示されたのだが、西側では憲法違反のクーデターを支持、クリミアの民意を否定する人が今でもいる。有力メディアはその姿勢を崩していない。

アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟は2011年春にリビアとシリアを制圧するため、アル・カイダ系武装集団を送り込んだ。リビアではアル・カイダ系武装集団とNATO軍が連携して体制転覆に成功、今では瓦礫の中を武将集団が跋扈する破綻国家で、奴隷売買も行われている。そうした状況を作り上げたのは三国同盟だけでなく、西側の国々が含まれていることを忘れてはならない。

しかし、シリアでは体制転覆に失敗、このままではイランを破壊することも難しい。最大の障害はロシアであり、ウクライナで戦争を始めればイランをロシアが守れないのではないかとネオコンあたりは考えているかもしれない。本ブログでも指摘したが、2018年にアメリカが新たな戦争を始めると懸念する人は少なくない。





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最終更新日  2017.12.24 04:42:54


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