国連の決定には関係なく 、ICC(国際刑事裁判所)はシリアのバシャール・アル・アサド大統領の起訴を目論んでいる のだという。
シリア軍による多くの残虐行為を目撃したというムスリム同胞団の某家族による訴えに基づき、人類への犯罪で起訴するのだという。シリアがICCに加盟していないことは無視されている。
本ブログでも繰り返し書いてきたが、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ、当初はトルコやカタールがリビアやシリアへの侵略に参加、その手先としてムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を主力とする傭兵が使われてきた。シリアで住民を虐殺しているのはこの勢力だ。
シリアより1カ月前から侵略戦争が始まったリビアでもICCの名前が出てきた。侵略を正当化するため、「人権擁護団体」、西側の有力メディア、アメリカバラク・オバマ政権などは政府が兵士にバイアグラを配布り、レイプさせているという偽情報を流していたのだが、ICCのルイス・モレノ・オカンポ主任検察官も同じ主張をしていたのだ。
しかし、このときはリビア情勢を担当する国連人権調査団のシェリフ・バッシオウニ団長からすぐに批判された。反カダフィ派が制圧しているリビア東部を訪れた際にそうした主張を耳にしたが、首都トリポリでは政府側の人びとが同じことを話していたが、そうした話を裏づける証拠は何もないとしている。「人権擁護団体」も被害者を見つけることができなかった。
話はこれで終わらなかった。オカンポ自身がオフィスで女性をレイプしたことが判明したのだ。ただ、検察官には起訴されない特権があるため、罪に問われていない。また、起訴した相手を脅してカネを要求していたともいう。
オバマ大統領はイスラム諸国での政権転覆を実行するため、2010年8月にPSD-11という指針を出したが、今回、アサドを訴えたムスリム同胞団はその主力と位置づけられていた。
カダフィ体制が倒され、カダフィ自身が惨殺された後、侵略勢力は戦闘員と武器/兵器をシリアへ移動させるが、その工作の拠点はベンガジのアメリカ領事館やCIAの施設だった。
その領事館が2012年9月11日に襲撃され、リビア駐在のアメリカ大使だったクリストファー・スティーブンスが殺されている。 その前日に大使はCIAの担当者と会談、襲撃当日は海運会社の社員と会っていたとジャーナリストのシーモア・ハーシュは主張している 。オバマ政権がムスリム同胞団を重用することへの反発からサラフィ主義者が襲ったとする説もある。
ムスリム同胞団とサラフィ主義者との間に対立はあるようだが、シリア人から見れば両方とも侵略者にほかならない。その侵略勢力は崩壊状態。一部はアメリカの軍や情報機関が救出、保護したり次の工作地へ運んでいるようだ。ICCはそうした勢力に替わってアサド政権を倒すつもりなのだろうか?