イランで発見された新型コロナウイルスの感染者は245名、そのうち26名が死亡したと伝えられている。患者の人種は不明だが、東アジア系でなく国民の中で比率の高いペルシャ系、アゼルバイジャン系、クルド系などだとするならば、東アジア系の人びとが罹患しやすいという噂は正しくないのかもしれない。そうなると世界規模の感染、いわゆるパンデミックになる可能性がある。
そこで注目されているのが世界銀行(国際復興開発銀行)が2017年6月に発行した債券、 PEF(パンデミック緊急ファシリティ) だ。対象になる感染症や金利の違いから2種類あり、額面総額は3億2000万ドル。償還予定日は2020年7月7日だ。
それまでにパンデミックが発生した場合、国際開発協会(IDA)の融資適格国、つまり、ひとり当たりGNI(国民総所得)が毎年新たに定められる上限を超えていない相対的に貧困な国が保険金支払いの対象になる。その支払いには投資元本が使われるため、満額償還されない。つまり、今年7月7日までにパンデミックが宣言され、相対的貧困国へ感染が広がった場合、投資家は損することになる。
しかし、アメリカにおけるインフルエンザの感染状況に関心を示さないメディアが新型コロナウイルスで危機感を煽るのは正しくない。事実を正確に伝えれば良いことだ。
ちなみに、アメリカの CDC(疾病管理センター)によると 、アメリカにおける今シーズン(2019年から20年)のインフルエンザに感染した人は少なくとも2900万人、死者は1万6000人を超えたという。