《櫻井ジャーナル》

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2024.04.12
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 韓国では4月10日に総選挙が実施され、300議席のうち野党の「共に民主党」系が175議席を獲得、与党の「国民の力」系列は108議席にとどまった。従米路線を突き進んできた尹錫悦大統領にとって厳しい結果だが、同じ従米路線の岸田文雄首相にとっても同じことが言える。

 尹大統領と岸田文雄首相は昨年8月18日、ジョー・バイデン米大統領の招きでキャンプ・デイビッドを訪問、目的は日米韓の三国軍事同盟を築くことにあったと見られている。

 その直前、8月12日には台湾の総統選挙で勝利した民主進歩党の頼清徳がニューヨークを訪問、15日にパラグアイで開かれた大統領就任式に出席した後、16日にサンフランシスコを訪れているが、この頼清徳も権力基盤は盤石でない。

 アメリカ支配層に対する確固たる従属姿勢を見せているのは日本だけだと言えるだろう。その総理大臣として岸田は4月8日にアメリカを訪問し、​ 10日にはバイデン大統領と会談した。軍事、バイオ、教育を含む「国家改造計画」的な取り決めを打ち出している ​。アメリカ支配層は日本を完全支配するつもりのようだ。

 軍事部門では「指揮統制の向上」が謳われている。すでに自衛隊はアメリカ軍の下部組織になっていたが、アメリカ軍の指揮に従って動くという性格を明確にしたように見える。アメリカ軍の戦略に従い、自衛隊は中国やロシアを攻撃する準備を整えてきたが、その態勢の下で実際に戦う仕組みを築くのだろう。

 アメリカの科学技術力や生産力が衰えていることはシリアやウクライナにおける戦争で明確になった。そこでアメリカは日本との科学技術協力を発展させるともしているのだが、アメリカの後を追いかけてきた日本も科学技術力や生産力が衰えている。

 アメリカにとって日本は便利な手先である。アメリカ国防総省系のシンクタンク​ 「RANDコーポレーション」が発表した報告書 ​には、中国をGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で包囲する計画が記載されているのだが、そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだと分析されていた。









 しかし、日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。

 2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、19年に奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成した。ミサイルが配備されることになる。

 その間、2017年4月には韓国へTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していたのだが、朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたことからミサイル・システムを搬入できたのである。結局、朴槿恵は失脚した。朴大統領を捜査する特別検察官チームのトップだった人物が尹錫悦にほかならない。

 尹錫悦は文在寅政権でソウル中央地検の検事正になり、李明博元大統領や梁承泰元最高裁長官を含む保守派の主要人物を逮捕、文大統領の信頼を得て検事総長になった。

 その後、尹は次期大統領候補と目されていた趙国法務部長官(当時)に対する捜査を開始。この過程で「正義の人」というイメージができた尹錫悦は大統領に当選、彼の指揮で検察は民主党の李在明党首を収賄容疑で捜査している。

 アメリカの支配層にとって目障りなふたつの勢力を潰し、大統領に就任した彼はアメリカの命令に従って行動、日本と軍事的な同盟関係を結び、逆に中国やロシアを罵り始める。そうした流れの中での「親日」である。

 日本とアメリカは韓国との軍事同盟だけでなく、台湾との連携を強めてフィリピンとも軍事的に結びつこうとしているが、いずれの国もこうした好戦的な方針に反発する国民の声は小さくない。そこでアメリカがオーストラリアやイギリスと組織したAUKUSだ。

 NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言、21年9月にオーストラリア、イギリス、アメリカはAUKUSを創設した。その軍事同盟にアメリカはカナダ、日本、フィリピンを参加させようとしているとも言われている。

 ​ 2022年10月に「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった ​。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。

 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。

 そして昨年2月、浜田靖一防衛大臣は2023年度に亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。

 2022年12月にバイデン政権はNDAA 2023(2023年度国防権限法)を成立させ、アメリカの軍事顧問団を金門諸島と澎湖諸島に駐留させて台湾の特殊部隊を訓練していると伝えられている。

 しかし、東アジアを見渡して、自国の利益を捨て、アメリカ支配層に奉仕するという信念を持っている国は日本以外に見当たらない。アル・カイダ系武装集団やネオ・ナチに支配されたウクライナと同じように、アメリカにとって日本人は戦争代理人、戦闘要員、あるいは傭兵の類にすぎない。












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最終更新日  2024.04.12 00:00:12


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