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2025.01.14
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フォルクスワーゲンの工場閉鎖

 ドイツの大手自動車メーカー、​ フォルクスワーゲンがドイツ国内にある10工場のうち少なくとも3工場を閉鎖すると従業員評議会の代表に伝えたと報じられた ​のは昨年10月のことだった。中国製電気自動車との競争が激化しているとする主張もあるが、最大の原因は安価なロシア産天然ガスの供給が大幅に減少したことにある。その原因を作ったのはアメリカだ。

 BSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)の党首、ザフラ・ワーゲンクネヒトはドイツ経済を苦境に陥れたのはアメリカの「対ロシア制裁」だと主張、これはドイツとヨーロッパの企業にとって致命的な政策だとし、ロシアからの天然ガス輸入を復活させるように求めている。同時にウクライナにおける戦争に絡んでロシアを非難することを拒否した。またAfD(ドイツのための選択肢)の共同代表、アリス・ワイデルは、2月の総選挙で同党が勝利した場合、ノード・ストリームを再開すると約束した。

米政権のクーデター

 アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行した。ロシアにも西側にも与しない中立政策の継続を掲げていたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することが目的だ。

 クーデターはユーロマイダンで始まったカーニバル的な集まりから始まったのだが、2014年に入るとステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチのグループが前面に現れて様相は一変。2月に入るとそのメンバーはチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ始め、さらに トラクターやトラックを持ち出し、2月中旬になると広場で無差別の狙撃を始めた。狙撃を指揮したのはネオ・ナチのアンドレイ・パルビーだということがのちに判明。​ 2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相もネオ・ナチが実行した可能性が高いと報告している

世界制覇計画

 1991年12月にソ連が消滅した直後の92年2月、アメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プロジェクトを作成した。この草案はポール・ウォルフォウィッツが中心になって書き上げられたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれる。



 その第一の目的はソ連と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことにある。そのため、資源が存在する地域を潜在的なライバルが支配することを防ぐように努め、ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制、つまり戦争マシーンに組み入れるとしている。DPG草案で想定されている地域には西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連の領土、および南西アジアも含まれる。この計画は2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃(9/11)で始動した。

 9/11から10日ほど後、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は統合参謀本部で攻撃予定国のリストを見たと語っている。その予定国とは、イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイラン。そのリスト通りに破壊されてきた。残るはイランだ。(​ 3月 ​、​ 10月 ​)

EUとロシアの分断

 その一方、アメリカは2013年11月、ロシアに対する作戦を始動させた。ウクライナでのクーデターだが、軍や治安機関の約7割はネオ・ナチ体制を嫌って離脱、一部は東部ドンバスの反クーデター軍に合流したと言われている。東部や南部はヤヌコビッチの支持基盤であり、ロシア文化圏だ。

 そこで、アメリカ/NATOは2014年から22年にかけてウクライナへ兵器を供与して兵士を訓練、さらにマリウポリ、ソレダル、マリインカ、アウディーウカに築いた地下要塞を結ぶ要塞線を構築、「ヒトラーユーゲント」的なプロジェクトも始めた。そうした時間を稼ぐために利用されたのが「ミンスク合意」だ。これは​ アンゲラ・メルケル ​元独首相や​ フランソワ・オランド ​元仏大統領も証言している。

天然ガス

 その当時、EUとロシアは接近していた。両者を結びつけていたのがロシア産の天然ガスにほかならない。2022年2月以前、ドイツは天然ガスの55%をロシアに依存していた。

 ロシアからEUへの輸送に使われるパイプラインの多くはウクライナを通過していた。そのパイプラインをアメリカは管理、EUから安価な天然ガスの供給源を奪い、ロシアからマーケットを奪うことになる。

 しかし、ドイツとロシアはウクライナを迂回するパイプラインも建設していた。1997年にスタートしたノード・ストリーム1である。最初のパイプランは2011年11月に、また次のラインは翌年の10月に完成した。オバマ政権がクーデターを実行する前の話である。

 輸送力を増強するため、アメリカの妨害を跳ね除けて2018年位は新たなパイプライン、ノード・ストリーム2の建設が始まる。2021年9月に完成したが、ドイツのオラフ・ショルツ首相は認証しない。そして2022年9月、ノード・ストリーム1とノード・ストリーム2は爆破されてしまう。アメリカが実行した可能性が高い。

 調査ジャーナリストの​ シーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを爆破したとする記事を発表 ​した。

 ハーシュによると、工作の拠点はノルウェー。ジョー・バイデン米大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成し、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加。12月にはどのような工作を実行するか話し合い、2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対してパイプライン爆破を具申した。

 ノルウェー海軍はアメリカと連携、デンマークのボーンホルム島から数キロメートル離れたバルト海の浅瀬で3本のパイプラインにプラスチック爆弾C4を設置、2022年9月26日にノルウェー海軍のP8偵察機が一ソナーブイを投下、信号はノード・ストリーム1とノード・ストリーム2に伝わり、数時間後に爆発したという。

 ウクライナの工作員がノード・ストリーム1とノード・ストリーム2を爆破したことにしようとドイツの当局は目論んでいるが、技術的に不可能。アメリカやその「同盟国」が実行したとなると、ドイツ政府へも責任が波及する可能性がある。フォルクスワーゲンやBASFのような大手企業も工場を閉鎖しなけらばならない事態を作り出す工作をドイツ政府は容認したと言われても仕方がなくなる。

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【​ Sakurai’s Substack ​】






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最終更新日  2025.01.14 00:00:09


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