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2009.07.01
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カテゴリ: 洋画(た行)

原題: THE VISITOR

監督・脚本 : トム・マッカーシー

出演 : リチャード・ジェンキンス 、 ヒアム・アッバス 、 ハーズ・スレイマン 、 ダナイ・グリラ


鑑賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ


公式サイトはこちら。



<Story>


コネチカットで暮らす大学教授のウォルター(リチャード・ジェンキンス)は、妻と死に別れて以来本を書く事にも、教える事にも情熱を燃やせず憂鬱な日々を送っていた。
ある日、出張でニューヨークを訪れた彼は、マンハッタンにある自分のアパートで見知らぬ若いカップルに遭遇する。
知人に騙されて住んでいたというそのカップルは、シリアから移住してきたジャンベ奏者のタレク(ハーズ・スレイマン)と、彼の恋人でセネガル出身のゼイナブ(ダナイ・グリラ)だと名乗る。

扉をたたく人 - goo 映画
扉をたたく人 - goo 映画





<感想>

今年のアカデミー賞主演男優賞に、リチャード・ジェンキンスがノミネートされたという、この作品。
上映館も少なく、早めに行かないと終わってしまうような気がして。映画の日で、混むのがわかってましたけど行ってみました。
初回は9割くらいの入りです。


『バーン・アフター・リーディング』 とは全く違うリチャード・ジェンキンス。
出だしはちょっと、 『グラン・トリノ』 にも共通するようなところがあるような。 人生をずーっと決まり切ったように生きてきて、自分のスタイルが固まっちゃってて、人に心を開けない老人。 そう言えば2人とも奥様が先に他界してました。

このウォルター(→ 名前もこの2人、ビミョーに似てる 笑)は、自分の住まいのはずなのにちゃっかりと住んでいたカップルとの出会いで、新しい世界を知っていくことになります。
最初は表情すら変えなかったウォルターが、カップルの1人、タレクが演奏するジャンベのリズムに徐々に惹かれていって、そこから彼の生きる楽しみが広がっていきます。





扉をたたく人 1
(C) 2007 Visitor Holdings, LLC All Rights Reserved






ジャンベを叩いている時のタレクは本当に生き生きとしていて、ウォルターは、何気ないタレクの誘いをきっかけに、ジャンベが織りなす世界を体験していく。
それは今までウォルターが生きてきた人生と全く異なる音色を持っていた。 
仕事をしているふり、生きてきたふり。 
"pretend" な行き方しかできていなかったウォルターは、ジャンベの、自然で心が弾むような音色に、いかに自分がやってきたことが意味のないことだったのかを悟り、素直に物事に飛び込んでみたくなってくる。 そして生きることそのものを楽しんで、喜びを得ていく。 その表情の変わり方がいい。


すごくうまい感じで物事が進んで行っていたのに、本当に本当に些細なきっかけで、
もしあれが日本だったならば、全く取るに足らないことで終わってしまうくらいのどうでもよいことが、タレクの運命を決めてしまっていく。
あんなところにああいう形で人がいるなんて。
日本では時々、朝や夕方にいますが、あんなに詰問したり連行したりはしない。 それだけ日本はまだ危機感がなくて過ごせるのかもしれないのだけど。
だけど皮肉にもその出来事が、ウォルターとモーナの出会いのきっかけにもなってしまう。



9・11以降、世界中がギスギスしているような印象があって、それはもちろん今の日本でもそうなんだけど、やはり大元のアメリカでは「怪しい者は即排除」という志向が根付いてしまっているように思えてなりません。
ウォルターのセリフに、
「人を何だと思ってるんだ! こんな扱いをしていいのか?」
とありますが、
情というものが通わなくなってしまっているんでしょうね。

そういう世の中になって行ってしまうのは悲しいことです。





扉をたたく人 2
(C) 2007 Visitor Holdings, LLC All Rights Reserved






モーナ役の、ヒアム・アッバス。 彼女は直近で『シリアの花嫁』(→ 見逃しちゃったんです。。。涙)に出ていますが、とても素敵な女優さんですね。
待機作品も複数あるそうで、期待高まる。。。
タレク役のハーズ・スレイマン、まっすぐな眼差しと、生き生きとした笑顔がいい。魅力的です。
そしてゼイナブ役のダナイ・グリラも、冷静と情熱をうまく使い分けていました。いい女優さん。


もしかしたらたぶん一生逢えないかもしれない。 たぶんこれが最後になるだろう。
付き合っている時はそうそう思えないものですが、どんな恋にだって終わりはあるから。
それがいつ、どんな形でやってくるかなんて誰にも想像できない訳で。
自分で終わりを決めて、覚悟も決めて、振り切るように歩いて行って。 
それをあざ笑うように見下す星条旗の冷たさも印象的でした。


何かを吹っ切って、本当に自分に必要な行き方が見えてきた。 ラストシーンのウォルターは「胆をくくった」んでしょうね。 一心不乱にジャンベに想いを込めている彼の表情は、とても「万年脇役」とは言わせないだけの迫力がありましたし、それが今回のオスカーノミネートにもつながったんだと感じました。 主演男優賞受賞作に劣らないほど、これも本当にいい作品でした。





*********************************




今日の評価 : ★★★★☆
















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Last updated  2009.10.10 07:06:27
コメント(24) | コメントを書く


■コメント

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Re:『扉をたたく人』 (2007) / アメリカ(07/01)  
mrsピッキー  さん
やっと日本で上映?!観てくれて嬉しいわ~~!!
私も、この映画、大好き!!

人間、いくつになっても、あきらめてはいけない、情熱を持つ事を見つけるべき!ってメッセージを貰ったような気がした。それに、彼が、アメリカの事実を知ってくれたのも嬉しかった。

9・11の後は、とにかく、外国人には差別が酷くなったし、それを利用して差別行為をするとんでもない人達が増えたのも事実。だから、私は、人事には思えないところがあった。 (2009.07.03 06:09:49)

ピッキーちゃん  
rose_chocolat  さん
こんにちは~

これよかったー。 アメリカの状況、そしてウォルターの変化、ジャンベの魅力とか。
そして、そんなことしている場合じゃないのに、モーナも現れて。。。 でも全て振り切らないといけないんだよね。 悲しいけど、いい映画でした。
(2009.07.03 10:21:01)

Re:『扉をたたく人』 (2007) / アメリカ(07/01)  
KLY さん
国の秩序を守るのにルールがあって、その適用基準を善人か悪人かにおくのは無理だということは理屈ではわかりますが、感情的には難しいですよね。タレクの屈託ない笑顔が凄く素敵で好きだったんで、余計にそう感じました。

モーナとの別れは『シリアの花嫁』の花嫁が置かれた立場と似ていて、その時もシリアに入国した花嫁は、二度と生まれ故郷のゴラン高原に帰れないんですね。(ゴラン高原はイスラエル占領地域で、イスラエルとシリアに国交が無いため。)国と国の対立の一番の被害者は善良な一市民だと改めて感じました。 (2009.07.03 11:59:27)

KLYさん   
rose_chocolat  さん
こんにちは~

そのルールっていうのが、普段は存在しないように見えても、どうでもいいようなことから一気に自分たちの生活に入り込んできてしまって・・・ という展開が怖かったです。
遠因はモーナにもあるとは言え、タレクも気の毒。

これからこういう別れ方が増えそうなだけに、一律に線引きをしてしまうことが、ますますアメリカという国を生きにくいと感じさせてしまう一因となるように思います。
最後の星条旗がやたら尊大に感じました。
(2009.07.03 14:08:06)

チラシとポスターの  
マサラ0517  さん
レイアウトが駄目です。
「あのシーンが無い」と思ったら、「やっぱりそこで来るか・・・・」になってしまいました。
映画はとっても良かったのに、そこだけが残念でした。 (2009.07.03 17:18:02)

マサラさん  
rose_chocolat  さん
こんばんは~

チラシってほとんど印象にない・・・ どんなんでしたっけ?
映画はよかったので、それじゃダメ? 笑
(2009.07.03 18:58:28)

rose_chocolatさん☆  
mig さん
こんばんは。

タレク役のハーズ・スレイマン、ホント魅力的な人でしたね。
始めなんだ怖いなぁって思ったらどんどん
教授と打ち解けていって。
正直、後半の恋のハナシよりもタレクとのシーンをもっと観ていたかったな。
力強い思いがこもったラストシーン、、、

いい作品でした~。 (2009.07.04 00:57:46)

migさん  
rose_chocolat  さん
こんにちは~

>タレク役のハーズ・スレイマン、ホント魅力的な人でしたね。
>始めなんだ怖いなぁって思ったらどんどん
>教授と打ち解けていって。

あの出会いのシーン、どっちかが殺されちゃってもおかしくなかっただけに、ここまで信頼関係ができてくるとは思いませんでした。

>正直、後半の恋のハナシよりもタレクとのシーンをもっと観ていたかったな。
>力強い思いがこもったラストシーン、、、

そうですね~。 展開的に仕方なかったのかなあ。
ラスト、こういうの好きなんですよね。
本当にいい作品でした。
(2009.07.04 05:43:22)

おお!!!  
rose_chocolatさん満点だ~~
私ももっとハートつけちゃうおうかと思うくらい
好きな作品でした^^
エンタメ、ど派手な作品が好きな私ですが、こう
言う作品も好きなのよ~(笑)

ジェンンキンス良かったですよね^^
私の中では彼が主演男優賞です(笑)
他のキャストも文句なし!

地下鉄のシーンは、危機感のあまりない日本人の
私にはなんで?って思えましたし、本当に悪い事はしていないのだから、タレクはすぐに帰って来れる
とも思いました。ウォルターもきっとこんな一大事になってしまうとは予測もつかなかったでしょうね・・・そして、その事件がきっかけで、タレクの母親と出会うというのも皮肉ですよね(^^ゞ

ラストの地下鉄のシーン、涙が出てきましたが
タレクやモーナのことを思うとやるせない思いも
しましたが、これからのウォルターは今までの彼ではないと思うとアンハッピーエンドなラストではないと思いました。いい作品だったなあ・・・
(2009.07.14 22:11:28)

ひろちゃん  
rose_chocolat  さん
こんばんは~

私もこれかなり好きです。
ジェンキンスは、『バーン・アフター・・』とは見違えてますね。

何ともほろ苦いお話でした。 
地下鉄のシーンなど、日本では考えられないだけに、アメリカの姿勢を感じてしまいました。
みんな希望がかなうといいのにね。
(2009.07.18 01:51:11)

Re:『扉をたたく人』 (2007) / アメリカ(07/01)  
オリーブリー さん
rose_chocolatさん、こんにちは。

出演者、皆さん良かったですね。
モーナのような芯の強い女性には憧れます(*^^*)

9.11後のアメリカ事情は仕方がないとは思いますが、このような彼らのルールを通していたら、また新たな問題を生むことになりませんかね?!
そんな不安も感じてしまいましたが、ウォルターが彼らと触れ合ったことで、心が豊かに生きていけるのではないだろうか~せめてもの救いでした。

私も空港に大きく掲げられた星条旗に複雑な思いがしました… (2009.07.18 14:12:21)

オリーブリーさん  
rose_chocolat  さん
こんにちは~

>出演者、皆さん良かったですね。
>モーナのような芯の強い女性には憧れます(*^^*)

よかったですよね。 しっかりとこの映画の意味を分かっていて、キャラクターがみんな魅力的でした。

>また新たな問題を生むことになりませんかね?!

このギスギス感が世界中に広がっているようにも思います。 人が人を信じてはいけないみたいな。。。

>ウォルターが彼らと触れ合ったことで、心が豊かに生きていけるのではないだろうか~せめてもの救いでした。

頑なに生きてきた人間の心をほぐすことほど、難しいものはないですからね。

>私も空港に大きく掲げられた星条旗に複雑な思いがしました…
-----
星条旗っていろいろな象徴ですが、あの場面での使い方は絶妙だったように思います。
(2009.07.20 11:19:13)

社会的ヒューマン  
Cartouche さん
ほんと!出だしは『グラン・トリノ』にちょっと似てました。妻に先立たれた男性って共通点がありますね。しかし、いくら9.11のことがあるとはいえ、移民の力なしには成り立たたないのに、強制送還しちゃうなんて、あんまりですよね。
でも映画としては重いテーマなのに見やすくて、感動的でした。 (2009.08.05 11:49:03)

Cartoucheさん  
rose_chocolat  さん
こんばんは~

>出だしは『グラン・トリノ』にちょっと似てました。妻に先立たれた男性って共通点がありますね。

そう。 どことなく頑固で、ちょっとさびしそうで。

>いくら9.11のことがあるとはいえ、移民の力なしには成り立たたないのに

テロ防止もしなくてはいけないし、厳しくし過ぎてもいけないし。 だけどその網をかいくぐってテロも実際に起きますし。 難しいところです。

>でも映画としては重いテーマなのに見やすくて、感動的でした。
-----
人間を人間として扱ってほしい、ということのように感じますよね。
心が通じていく様は素晴らしかったです。
(2009.08.07 04:35:22)

リチャード・ジェンキンス  
にゃむばなな さん
これまでいろんな映画で名脇役としてお馴染みだったリチャード・ジェンキンスの俳優としての幅の広さを大いに楽しめた映画でしたね。
ほんと、今改めて考えるとこんな素晴らしい俳優がこれまで主演したことなかったというのも不思議なくらいでしたよ。 (2009.08.16 16:20:07)

にゃむばななさん  
rose_chocolat  さん
こんにちは~

>名脇役としてお馴染みだったリチャード・ジェンキンスの俳優としての幅の広さ

脇役という位置づけの方でも、絶対素晴らしいものを持っていると思うんですよね。 それを拝見するチャンスがあるなら、観ていきたいものです。

>こんな素晴らしい俳優がこれまで主演したことなかったというのも不思議
-----
私もすごくこの彼は素敵だと思いました^^
(2009.08.16 18:15:59)

Re:『扉をたたく人』 (2007) / アメリカ(07/01)  
BCwall  さん
『グラン・トリノ』とも共通する部分が多くある映画でしたね。アメリカの今を鋭く映していると思いました。 (2009.08.24 13:14:49)

BCwallさん  
rose_chocolat  さん
こんにちは~

>『グラン・トリノ』とも共通する部分が多くある映画でしたね。アメリカの今を鋭く映していると思いました。
-----
今、アメリカが抱えているどうしようもない問題ってきっと多いと思います。
そのほんの一部分なのかもしれないですけど。。。
彼らが希望が持てるような社会であってほしいです。
(2009.08.24 16:08:01)

こんにちは♪  
ミチ さん
最近「シリアの花嫁」を見たばかりだったので、モーナが出て来た時におおっと思いました。
万年脇役でもこういう素晴らしい主役作がまわってくることがあるんですね~。
ラストシーンがとても印象的でした。 (2009.10.10 21:50:56)

ミチさん  
rose_chocolat  さん
こんにちは~

>最近「シリアの花嫁」を見たばかりだったので、モーナが出て来た時におおっと思いました。

『シリアの花嫁』は未見なんで、観てみたいですね。 いい作品なんだろうなと思います。 ヒアム・アッバスもいい女優さんですね。

>万年脇役でもこういう素晴らしい主役作がまわってくることがあるんですね~。
>ラストシーンがとても印象的でした。
-----
普段主役じゃなくても、いい演技する俳優さんはきっと多いんだろうと思います。
リチャード・ジェンキンス、素敵でした。
(2009.10.11 06:16:39)

オスカー  
メル さん
rose_chocolatさん、こんにちは♪
リチャード・ジェンキンスにオスカーをとらせて
あげたかったなぁと思いました。
主演でノミネートなんて、もしかしたらこれが最初で最後のチャンスだったかもしれないし。
それにヒアム・アッバス!彼女のうちに秘めた力強さを感じる、素晴らしい演技で、ますます彼女のファンになりました。
「シリアの花嫁」での彼女も、心に秘めた力強さがあったし、設定は全然違うけど似たような役柄だったので、こういう役が似合う素敵な女優さんだなぁって改めて思いました。
911以降、急激に変った体制・・しょうがないと思う一方、問題も山積みですよね。アメリカの人たちにも、この映画がウケたということは、しっかりそのあたりを意識している人たちがたくさんいると言うことで、ちょっと安心したりもしました。まだまだ簡単に解決できることではないんですが・・。 (2009.11.16 10:06:44)

メルさん  
rose_chocolat  さん
こんにちは~

>リチャード・ジェンキンスにオスカーをとらせて
>あげたかったなぁと思いました。
>主演でノミネートなんて、もしかしたらこれが最初で最後のチャンスだったかもしれないし。

そうですね! 言われてみればそうかもしれません。 『レスラー』の、マリサ・トメイのようです。 何とも惜しい。

>「シリアの花嫁」での彼女も、心に秘めた力強さがあったし、設定は全然違うけど似たような役柄だったので、こういう役が似合う素敵な女優さんだなぁって改めて思いました。

それを演じても力みが全くないところが素敵ですね。

>911以降、急激に変った体制・・しょうがないと思う一方、問題も山積みですよね。
>アメリカの人たちにも、この映画がウケたということは、しっかりそのあたりを意識している人たちがたくさんいる
-----
それぞれの立場は違うかもしれませんが、ここまで厳し過ぎる状況に対して、どうにかしてほしいと思っている人が多いと思いたいです。
(2009.11.16 10:19:48)

邦題とラストシーンと名脇役の主演・・・  
悠雅 さん
が、きっと心に残る、とてもいい作品だったと思います。
昨夜観て、未だに巧く感想がまとまらないのですが、
こうしてあちこちにお邪魔して、感想を読ませていただいて、
そうそう、それも感じたんだった、そう思ったんだった、と
自分の感想を確認しているような状態^^;
時々、こうして言葉にならない作品に出会うのですが、
そんな作品ほど、いつまでも心に残ることになるんですね。

(2010.03.04 09:56:15)

悠雅さん   
rose_chocolat  さん
こんばんは~

心に沁みてくる作品でした。
リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバスがとても魅力的。
派手さはないですが、十分その俳優の個性を生かした作品のように思いました。
あれもいい、ここもいい、と、話し出すと止まりませんよね~。
(2010.03.04 20:01:22)

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