鍋・フライパンあれこれ美味
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
107029
ホーム
|
日記
|
プロフィール
【フォローする】
【ログイン】
小さな パンドラの箱
黄昏色の空51~56完結
楽しかった夏のバイトから戻り、
夏期講習が再開。
3年生は一足先に登校が始まり、
講習終了後、新学期が始まった。
「現実に戻されたよな…」
「あそこで過ごせたことが、普通じゃないの。
受験生が」
透とさつきは話している。
「でも、楽しかったよね。バイトは大変だった。
けど、動きっぱなしだから少し痩せたし」と杏
「それ言えてる。
あそこで食べていた食事のせいもあるけど、
絞まったよね」さつきも納得顔だ。
見慣れた制服姿の、杏とさつきだか、
日焼けした肌が、夏の出来事を思い出させる。
この夏は涼のこともあり
不安になることも少なくなかった。
でも、近くで過ごす日々のなかで
知ることのなかった杏の一面も、かいま見た。
でも、それ以上に意識することなく、多くの人を魅了する杏を
今以上に束縛し、独り占めしたいという気持ちも強くなった。
始業式
全校生徒が呼びかけとともに列を作る。
「じゃあな、帰り迎えにいく」
ざわつきに、かき消されないように
杏の耳元でいうと
「うん、わかった」
と杏のはうなずいた。
杏の頭にポンポンと軽くふれると
潤はクラスの列へと足を運んだ。
この光景を、嵐が見ていたとは気がつかなかった。
帰りがけ杏の教室前にいくと
すでにさつきと二人の姿があった。
「学祭の実行委員きまった」
さつきに聞かれ透が答えた。
「ああ…暇な奴に押しつけた。
はじけられる最後の学祭、
ライブにかけるからな」
「やっぱり…
バンドのことにしても
委員をやっていれば融通がきくのに」
「…そこまで考えなかった」
「そう思って
立候補、即決まり。杏と一緒に」
「また、すごい決断力で。
巻き込まれたんだ、杏ちゃん」
「やりたがらないから、みんな。
3年だしね、クラスごとの出し物には協力しても
実行委員は…
私には荷が重いけど」
「いいんじゃない。
返って協力的になるかもね。
杏に任せっきりだと不安に感じて」
「でしょう!それも狙い」
「さつきには、ついていけないな。
まあでも
楽しまなきゃ。最後の学祭だし」
なんだかんだいっても
一番気合いがはいり、もりあがるのは
これを最後に卒業する、3年なのだ。
みんなわかっている…このさき受験が控えていることも
学生を謳歌できるのも、後僅かだと言うことも…
~51~
無責任な推薦のおかげで
俺はクラスの学園祭実行委員に選ばれてしまった。
しかし
初めての委員会の集まりで
メンバーのなかに花村先輩を見つけ
委員になったことを、結果的には喜んだ。
それにメンバーのなかに生井先輩の姿は見あたらなかった。
集合がかかるたび
花村先輩と行動をともにできることが、楽しみだった。
なんだか手を抜くことが出来ず
実行委員の仕事も率先してやりこなした。
俺は動き回る花村先輩を捕まえた。
「何か手伝いますか。
でも、まさか一緒に仕事をするなんて」
「嵐君こそ。
実行委員をやる感じはないけど…」
「俺は押しつけられただけ、
でも先輩は押し切られたんじゃない」
「自分でも向いているとは思わないけど…
でも、
何かを作り上げる仲間の一人として
参加できるのは楽しいことだから。
出来ることを精一杯やるだけ」
先輩は、忙しさのなかで笑って見せた。
やはり少し感じがかわった。
「力強いですね。
以前より、からかいがいがないな」
「失礼よ。嵐君…
でも夏休み中のバイトが、
自分に自信を持つきっかけになったかも。
与えられた仕事を責任もってやりこなさなくてはいけなかったから」
…バイトか
「講習の合間に知り合いのところで、受験生らしくないけど…少しね」
そういえば…始業式の日
4人とも同じように日に焼けていた。
やはり俺がしらないだけで、生井先輩との絆は強くなっていたのか。
「なんだか不思議」
「なにが」
「去年までは、ただ当日がくるのが待ち遠しくて。
でも今年は、まだ当日を無事迎えられるか
不安の方が大きい。余裕がないな、今の私。
でも、嵐君は楽しそうね」
「え…」
「こんな姿をみたら、嵐君のこと見直す人が出てくるかもね」
…
「…先輩も見直してくれましたか?」
「ええ、もちろん。
実はしっかりした後輩なんだと思ったわ。
2年生にも随分がんばってもらっていると
生徒会も喜んでいたし」
「そういうことか…」
つぶやいた声は先輩には聞こえなかったようだ。
「杏いくよ」
「あっ、わかった。
じゃあ、お互いに頑張りましょう。」
そういうと、友人の元へと先輩は向かっていった。
あのまま、先輩と話していたら俺は聞いていた。
後輩としてではなく別の対象として見て欲しいと…
抑えられない想いを抱えていると。
俺が、花村先輩に男として見られることは、ないのだろうか。
~52~
実行委員の仕事と、クラス展示のこと。
杏は意外にも、仕事をこなしているようだ。
杏たちの帰る時間が遅くなっても、
俺は時間をつぶして待っていて、杏を送り届けた。
それがいま唯一の
時間に追われる杏と過ごせる時だったから。
「どう、順調に当日を迎えられそう?」
「ねぇ…どうだろう。ホテルでもそうだったけど
裏方がこんなに大変だとは…
潤のクラスは」
「男ばかりだから
なんとかなるだろうって奴ばっかり。
去年も当日の朝までバタバタしていたけど…
それより杏の持ち場はどこ」
「ライブ会場になる体育館とクラス模擬店に少し。
さつきのライブの時間とあわせたから
クラスの担当時間以外は比較的自由がきくの…
トラブルがなければだけど」
「公開日はなにがおこるかわからない」
「生徒会もそれはいっていた。
下準備とはまったく違う問題も起こるからって」
「智也も実行委員なんだろう」
「うん、がんばってくれている。
楽しそうねっていったら、驚いていた。
現に今回は嵐君の評判はいいの」
智也が委員の仕事に打ち込み
楽しんでいるのは、べつの目的からだと、俺はすぐに察しがついた。
夏休みを過ごしたホテルでは、
涼が杏と意気投合し、はらはらした。
学校では以前からちょっかいを出していた智也の存在がある。
心配事はつきない。
「また、何か言ってきた?」
「ん…?嵐君の事。
困らせるようなことはなにも。むしろ大人しいよ」
「そうか…」
気にしすぎなのか…俺が。
初めては違う目的で近付いた。
でも智也は
ゲーム感覚で他人から奪った彼女と別れ
その後はだれともつきあっていないらしいのだ。
「俺がマジに好きになったらどうする」
智也は以前俺に言ったことがある。
あれが本心だったとしたら…
もはや杏に興味をもって接していることは
あきらかなことだ。
「潤?どうかした。
ありがとう送ってくれて」
いつのまにか杏の家の所まできていた。
「ああ…何でもない。じゃあ、また明日」
別れぎわ、不思議そうに見上げる杏を引き寄せ
包み込むようにハグした。
「なに…どうしたの…」
腕の中でくぐもった声を出す杏。
でも、同時に潤の背中には温かい杏の手がそっと回される。
…大丈夫
俺たちの間にだれも入り込めないさ…
潤は自分自信のなかに、強固な思いがあることを
改めて認識していた…
学園祭当日。
校内は人でごった返している。
一日目の非公開日と違い、父兄や他高生も入れる今日は
昨日はやらなかったイベントが用意されている。
その一つが透やさつきたちも参加する、学祭ライブだ。
チケットなどはなくても
バンドがそれぞれ、事前宣伝をしたことで会場前から人が集まりだした。
すでに何組かのバンド演奏は終わったが
お目当てが終わっても人が引く気配はない。
そんな中で杏は、薄暗くした体育館のなかで事故が起きないように
羽目をはずしすぎないように
バンド交代の合間に注意を促している。
「前方に押し寄せないでください。
何らかの事故が起きれば即中止になります」
いつもとはちがって真剣な顔付きだ。
「頑張っているでしょ。杏があんなに必死になって」
演奏を終えたばかりのさつきが、帰りがけに潤の姿を見つけ
話しかけてきた。
「杏の普段を知っている奴は確かに驚くな」
「でしょう…
ステージからみていても
必死さがつたわって、危うく演奏が飛ぶところだった。
でもね、思ったの。杏には夏を過ごしたホテルでの生活が
知らない内に自分を強くしたらしいと」
「ああ、俺もそれは感じてる」
「淋しい?
か弱くて…一人ほっとけない杏だから引かれたんじゃない」
「どんなにかわっても杏にかわりないし
それに
俺の中で、それほど印象は変わっていないよ。
おそらく今の杏は
人の荷物にならないように、強く見せているだけで
実際はまだ弱いとことをたくさん持っている」
「そうかもしれないわね…」
片づけに奥に引っ込んださつきと分かれて
俺は次の演奏が始まった体育館を後にした。
~53~
杏のここでの担当ももう終わるはずだ。
この後は、二人一緒に校内を回る約束をしていた。
「生井くん」
振り向くと、そこには他高の制服をきた
女子高生二人が潤を見ていた。
「忘れた?中学は一緒よ。
それに、西野君のライブでは顔をあわせていたはずだけと」
「ああ…」
言われてやっと、思い出した。
確かに一人は同級生で、見覚えがある。
もう一人も、初めてではないようだ。
「西野のライブみにきたの。
あいつなら今片づけているから」
「…違うの。
でも西野君と同じ高校だし、
最悪呼び出してもらおうと考えていたけど…あなたに用があったの」
「俺に?」
「そう、この子高校が一緒で。少し話しを聞いてくれない」
「…いいけど」
なんとなく察しがついた。
だから人の行き交うところで、あえて話を聞きたかった。
「じゃあちょっと…」
でも俺は、二人についていく形で入り口から離れ
校舎の裏手にきてしまった。
賑わう校内や体育館と違い、今ここに他の人影はない。
俺は今、他高の女子生徒と二人、ここにいる…
中学の同級生は
何か約束をかわすと、この場から離れた。
「何?俺予定があるんだけど」
そう離れていないところにいるのに、全く目を合わせようとしない…
参った、そうおもったときやっと言葉がかかる。
「あの…私…生井さんが好きです」
「…」
「いつのまにか、西野君のバンドがでる日にもこなくなって…
その頃に、自分の気持ちに気がついて…あの…」
「ごめん。俺、彼女いるんだ」
俺は続く言葉を遮った。
「えっ」
初めて顔を俺に向け、目を会わせた。
「…特定の彼女は持たないって…
私、それでもかまわないと」
「止めたよ、故意に自分を傷つけることは」
大きく見開いた目に驚きが広がる。
「あの…彼女はいつ…」
「俺を見かけなくなったっていったよね。
あの頃俺は、大切にしたいと思う人を見つけた。
だから、
西野のライブに行かなくなった。
つきあいが悪いとおこられたけどね」
この子の気持ちもわかる…
俺だって、杏を見かけてから、自分の思いを伝えるまで
きになっていても見つめることしか出来なかったから…
本気で人を好きになることは大変なことだ。
思いを伝えることも相当な勇気がいる。
それなのに
その思いを受け入れてもらえないことは、きついはずだ。
「ありがとう。あの頃の俺を好きになってくれて。
でも、君の気持ちに答えることは出来ない。
俺の方が今の彼女を失いたくないんだ」
大粒の涙を流しながらも、彼女はうなずいた。
「…わかりました。後悔していません。
私あなたを好きになってよかった、
失礼します」
その子は、勢いよく一礼した拍子にバランスを崩した。
「おっと…大丈夫」
倒れそうになる腕を引いたことで
その子は俺の胸に飛び込む形になった。
「すみません…」
うつむいて言葉をもらす。
「でも…噂できいていた人とちがって安心しました」
「俺そんなに悪くいわれていた?」
そう俺がいうと、
その子は顔をあげ笑った。
涙を拭うと、ゆっくりと俺の前から立ち去った。
だか俺は、少し離れたところでこの光景を見ていた杏に
全く気がついていなかった。
~54~
潤をさがしに、外にでたとき嵐に声をかけられた。
「誰かを捜しているの?」
潤を、と答えると、その先だと嵐は校舎裏を指した。
「えっ?」
飛び込んできた光景に息をのんだ…
「潤…」
潤の胸の中に、見知らぬ女子生徒の姿があった。
状況が飲み込めない…
「花村先輩?
…やっぱり、これが本来の姿じゃない」
振り向くとすぐ後ろに嵐がいた。
青ざめた表情の杏に智也は
「俺じゃだめですか。
先輩を裏切ろうとしている、生井さんじゃなく、
俺では、頼りないですか」
唖然とする花村先輩に、俺は言葉を続けた。
「俺、いつの間にか花村先輩に本気になっていた。
今度はゲームじゃないよ、だから…」
杏は、嵐の横をすり抜けようとした。
そんな杏の腕を智也はとる。
「……離して
どうしてこんなことまでするの」
「違うこれは…」
「嵐くんは私をゲームに巻き込んで、困らせて、
楽しいの!…
もう…放っておいて
…見たことが事実だとしても、あなたを好きになることはない」
腕を振りほどくと、杏は駆け出した。
「先輩」
杏からの言葉が智也の胸にささる。
「先を急ぎすぎたか、こんな状況じゃ
マジに受け取ってもらえるはずがないな」
杏が向かった先を見ていると
誤解をまねいた女子生徒が、嵐の前を通り過ぎた。
潤が、呼び出されたところから見ていた智也には
女子生徒からの告白だと、はじめからわかっていた。
ただ、杏がみた光景は偶発的事故だったのだが…
「マジになっても
初恋は実らないもの…かあ」
智也は雲一つない空を見つめため息をついた。
人混みの中を夢中で走り抜けた。
ただあの場所から、離れたくて…
止まらない涙を拭いながら、迫る人をよけながらただ前へ…
ドン…肩が誰かと接触した。
「ごめんなさい…」
顔をあげることなく呟いた。
「いいや、
でもそんな顔を見たらスルーできないな」
「えっ…」
聞き覚えのある声に驚き、僅かに顔を上げた。
「とにかく
少し落ち着ける場所へ、その顔をどうにかしようか」
そういうと涼は杏の肩に手を置き、顔をのぞき込む。
杏は頷くと、涼とともに歩きだした。
学園祭の賑わいも、どこか遠くに聞こえる。
第2体育館の催しものは、すべて終わっていた。
その裏手の備品倉庫は、外側のかんぬきを外すだけで
扉は簡単に開いた。
「どうして此処に?」
まだ潤んだ瞳で、杏は涼に尋ねた。
「知らなかった?僕はここの卒業生。
学園祭は毎年10月の最初の土日、
今年の夏に君たちにあって、OBとしては懐かしくなってね。」
「そうだったんですか」
「ここは僕の退避所…。
普段は、机や椅子なんて頻繁に出し入れしないから
人はこない。
いつまでいても、邪魔されることはないよ」
~55~
「一人になりたいときは、ここにきていた。
椅子を外に出せば、木陰のしたで昼寝も出来たし
静かだから、考えごともじっくりできた。
あのころは、話を聞いてもらおうと思える、友人もいなかったしね」
涼は杏に微笑みかけ、そのままひらいた扉の向こうの
木々の、ざわめきに耳を傾けた。
さわさわと流れる風は、夕暮れを前に
ひんやりとした風を運んでくる。
「覚えている…
杏ちゃんに、間違ってアルコールを差し入れした奴」
「ああ…はい」
「高校生でも、全く飲めないとはおもわなかったって
謝っていたよ」
「いいえ…あのときはかえってご迷惑を」
「慌て、飛んできたんだよ。
潤のやつ、聞かなかった?部屋に運んだのは僕じゃない」
「えっ…」
「僕が杏ちゃんに接近したことが、
潤を不安にさせた。
もちろん、心配するようなことはないと話した、
だから、酔いつぶれた杏ちゃんを潤に任せて、僕は部屋に戻った」
…次の日のあさ
私が起き出すとさつきはいった。
「間違ってお酒をのんで酔いつぶれたのよ。
あんまり心配かけないの」と
てっきり私は、涼さんが送ってくれてそのことを
さつきが言っていると勘違いしていた。…
「今も心配しているよ。
携帯が、頻繁に呼び出している」
少し前から、杏の携帯は振動して、繰り返し着信を告げている。
「あのときも、
電話をかけてきたんだよ。潤が杏ちゃんの携帯に」
「…」
「泣く位だから、
相当ショックなことでもあったのかな。
潤が何かしでかした?」
「…仕組くまたことだったのかも…潤を敵視する後輩の。
目にした光景も、ショックだったけど
そこまで、私をからかう行為が許せなくて」
「潤は学校でも、気が抜けないんだ」
「えっ、学校でも・・・」
「ああ、気にしないで。
それで、何をみたの」
杏は、自分が目にしたままを涼に話した。
聞き終わると涼はいった。
「確かに、誤解されてもおかしくないね。
でも彼…嵐君は杏ちゃんに本気になってしまったのは事実だよ。
訪れたチャンスにのっただけ、それで見事に失恋」
「私…、疑って本気にしなかった
酷いことを…」
「いいや、かえって踏ん切りがついたんじゃないかな」
しばらく静かだった携帯が、また着信を知らせている。
「聞いてやったら、潤の話しを。
後輩が仕組んだことなのか。本当はなにがあったのか」
潤からの着信に、震える携帯を見つめていた杏は
通話ボタンを押した。
(杏、どこにいる。
嵐が、杏が誤解しているって…杏?聞いてる)
聞こえてくる声を聞きながらも、
それにこたえることが出来ずにいた。
繰り返し、潤が杏の名前を呼ぶ…
涼は杏から携帯をとると、呼びかけている潤に応えた。
「潤、誤解をときにこい。
だいぶ落ち着いたが、まだ気持ちは乱れている」
「…涼なのか?」
「ああ、学園祭に顔を出して
まさか、人混みのなかで杏ちゃんに会うとは思わなかったけど。
弁解するようなことがないのなら、こなくてもいい。
第2体育館裏手、備品倉庫だ」
そういうと涼は電話をきり杏に携帯を返した。
「来るよ。すぐに」
涼は思わず、不安に揺れる瞳で見つめる杏の頬に手を添え
その瞳をのぞきこんだ。
「泣いていたことは分かっちゃうね。
僕が何かしたと勘違いするかな」
涼が、頬から手を離したとき
外に足音が聞こえた。
ハァハァハァ…
荒い息使いの潤が中を覗く。
「…杏…」
「早かったな。潤」
「涼!お前やっぱり…」
「ややこしくするな。話を聞いていただけだ」
潤に背を向けたまま答えると、
目の前の杏に、ウィンクしてみせた。
「じゃあね。後は二人で話して」
そして入り口にいる潤のもとへ。
「大切な人ならしっかり捕まえとけ。
お前が手を離さない限り、
俺は何かしようとは思わない」
それだけ言うと涼は、久し振りに訪れた
高校時代の懐かしい場所を後にした。
~56~
杏は入り口にいる潤の元へ近づいた。
「ごめん…着信無視して」
「俺こそ、心配させた…
告白されたんだ。けど、断った。
杏がみたのはその後だろう。
つまずいてバランスを崩したから支えただけ。
あのとき声をかけられても、やましいことはなかったよ」
「…ただ、気が動転してしまって」
「智也が謝っていたけど・・・、動揺する杏に余計なことをいったと。
誤解をはやく説いてあげてくれと」
「嵐君が、そんなことを…」
潤は、事実がわかり安心した様子の、杏の手を絡めとった。
「告白される前から答えは決まっていた、
杏よりも大切な人はいないんだから。
言っただろう…花火大会の日に、
杏が離れようとしても俺はさなさないと」
「分かっている…潤の気持ちは…
でも私、自分に自信が持てなくて焦っていた。
みんなは、初めてやるアルバイトも難なくこなして…
私は、一つのことをこなすのに精一杯で。
招いていただいたパーティーでも
潤は、見劣りしていなかった。
堂々としていて、素敵だった…
私頼りなくて…潤に心配ばかりかけているよね?
…でも私…
潤に心配かけないように、
強くなりたかった…変わりたかったの…
なのに、さっき逃げ出してきちゃった。だめだね…」
やっぱり…強く見せようとしていた。
変わろうとしていた、
杏は杏なりに色々考えて、自分を改めようとしていた。
それも、俺のために。
杏の、心の内に秘めていたことがやっとわかった。
「いいんだよ、杏。
杏は無理に、背伸びする事はない。
そんなことをしたら
俺の大好きな杏らしさが、なくなってしまう」
「潤…」
杏は潤の胸に、そっと自分を預けた。
潤の鼓動が聞こえる…
すっかりかぎなれて安心する、潤の香りをその中で感じていた。
「…知らないだろう…杏の何気ない笑顔も、人を変える力があることを。
きつく閉ざした心を開き、
歪んだ心、傷ついた心を直す、
杏の笑顔で、いろいろな人が変われたんだ。
杏と一緒だと、隠していた自分をさらけ出したくなる、
偽り続けることが苦しくなる。
だから、
杏と出会って俺は、自分を解放することができた」
潤は、絡めていた手を離した。
・・・きゅっ
潤は杏をやさしく包み込む。
そして
すっかり身をまかせている杏に、続けて語りかけた。
「杏が一番落ち着ける場所はここのはず。
そして、俺もそばに杏がいないと不安になる。
ふらつかないで…
俺のそばにいるだけでいいから」
潤はそういうと、抱きしめる手に僅かに力を入れた。
「嬉しい…ありがとう。
もう…背伸びはしないから」
そういうと、埋めていた顔を上げ、潤を見つめた。
「杏の笑顔
杏の声
杏のしぐさ
不器用なところも
・・・それに、無理に、がんばろうとするところも
大好きだから、安心して俺に頼って」
見つめる瞳にもう不安はない。
「そのかわり」
「ん…」
「杏の俺への気持ちをもっと・・・もっと
たくさんみせて」
潤が杏を真っ直ぐに見つめる・・・
杏は力強くうなずいた。
そしてどちらともなく
引き寄せられるように、二人の唇か重なった。
遠くで、学園祭の終了を告げている。
揺れる木々の隙間から見える空は
西に傾いた陽に、黄昏色に染め変えられてゆく。
駆け抜けた夏…そして秋
めぐる季節が寒さを運んでも
二人の想いは
決して冷めることはない…
黄昏色の空 End
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
この仲間はきっと、いつまでも信頼できる最高の仲間として
信頼し、成長していくはずでしょう。
また、どこかで何かを感じたら
そのときは潤と杏に会えるかもしれません。yumena
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
みんなのレビュー
【レポ有】大幅値下げ!20個100円、…
(2026-10-01 20:00:04)
普通の日記
31日の日記(2)
(2026-10-01 16:52:20)
写真俳句ブログ
夏帽を掛けるホテルの広き部屋
(2026-10-01 22:09:57)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: