2004年04月24日
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《ドナのファルージャ拘束報告No3》
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 イラクのファルージャでは、米軍の包囲網作戦が2004年4月5日から、4月の末に米軍が複数の陣地から撤退し始めるまで続いていました。11日には「一時停戦」が成立したとはいわれたものの、実際には激しい戦闘が行われていました。そんな中、オーストラリア人女性ドナ・マルハーンさんは、4月13日に3人の外国人同行者と共に、戦火の中、救援活動のためバグダッドからファルージャに向かいました。その帰り道、ファルージャ郊外で地元ムジャヒディンに20数時間拘束されました。その顛末を、8本のメールにしたためたマルハーンさんの文章を紹介します。本稿は、その3本目です。戦争とはどんなものなのかを知る手がかりになればと思います。

     翻訳 TUP/福永 克紀 (翻訳・再配布了承済み)

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ファルージャ3:長老からのメッセージ

ドナ・マルハーン
2004年4月24日

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 道や家の中で動けなくなっている負傷者を救い出すのを手伝ってくれと、先生方に頼まれた。しかし、救急車はすべて使用中なので、まず使える車を見つけなければならない。

 診療所の外で待っている間にも、散発的な銃声や爆発音がまわりから聞こえてくる。通りで銃撃が始まると「みんな、避難しろ!」とだれかが叫ぶ。身を縮めて頭を下げるか、壁にぴったりと張り付いて数分間、そのあとは次までリラックスできる。

 突然キーッとけたたましい音とともに白いバンが通りを上がってくると、まっすぐ側溝沿いに走って診療所ドアの前に着けた。運転していたのは、昨日の10歳のちっちゃなムジャヒディンだった。彼は自分のカラシニコフで後ろの積荷を示した。そこには、血染めの毛布に若者が横たわっていた。服は破れ、お腹の中まで見えた。右腕は肘からちぎれ、残っているのは血まみれの肉のついた骨の端だけだった。出血がひどく、毛布に大きな血の溜まりができ始めていた。

 その若者が診療所の中に急いで運び込まれるとき、私は頭をたれて呪った。彼を救えるような基本設備はここにはない。フル装備の病院でなきゃ無理だ。しかし、ファルージャの主要病院はいまアメリカの支配下にあって、イラク戦士の治療など許すはずもない(そうです、信じられないかもしれないけど、事実です!)

 私も中に入って、ことの進展を見守りたかったが、邪魔になりたくはなかったし失神したくもなかったので外で待つことにした。

 だれかが私たちに、足を負傷して通りで動けなくなった別の若者の話をしてくれた。その若者は喉を切られたので、死んでから病院に運ばれたそうだ。目撃した人たちが言うには、道に倒れている彼に近づいた米兵たちが、家族が窓から見ている目の前で喉をかき切ったという。

 このような話を聞く時、たぶん同じような恐ろしい話がもう一方のほうにも――米兵側にも、負傷して殺害されるという話があると思う。実際、4人のアメリカの傭兵がファルージャで殺され焼かれた話も最も恐ろしい話のひとつだ――この話は、メディアがこぞって幾度となく報道しているのを見聞きしていた。

 そこが違う――もし白人で西欧側の人間なら、いつでもメディアでやっている。彼らの死にはニュースの「価値」がある。国防総省の広報部門が何百万ドルもかけて、自分達の兵士のことを毎夜のニュース番組で取り上げさせる――イラク兵士はちがう。自分の町の道路に負傷して倒れているときに、窓から家族が見ている前で首を切られても報道されることはない。

 そう、あなたはこの話をフォックスニュースで見ることはないだろう。これが私たちがファルージャに行ったひとつの理由でもある。伝えられることのない話を聞いて、みんなに知らせること、ほんのちょっとバランスが取れるようにね。

 メディアではファルージャの戦士たちは、「大統領挺身隊の残存分子」とか「スンニ派民兵」とか「テロリスト」とかのレッテルを貼られているのは知っている――しかし、私が知ったのは、彼らはファルージャに住むただの普通の人々だということだ。巨大な軍事機構に対して武器を手にせざるを得なくなったお父さんや、お兄さんや、息子たちに他ならない。そして、人口35万人の町の普通の人たちが組織化されることもなく集まった集団が、6日もたつのに米軍を食い止めているのは、偉業としかいいようがない。

 使える車の調達を待つ間に、長老の人と話をしに街角のモスクに行った。ファルージャで何が起こっているのか、地元の人の観点から概要を聞いてみたかった。



「町に今いちばん必要なものはなんでしょう?」

「住民への人道援助の不足だ。特に、医療援助だ。」

 住民の感情について、聞いてみた。

「ファルージャの人の性質は、平和を好むということだ。しかし、この戦闘で、アメリカ人は、ファルージャで唯一の友人を失ってしまった。いまや、ファルージャの全住民がこの占領と米兵に憎しみを抱いている。

「すべての男が戦っている、軍事訓練を受けた者だけではなくてな」と彼は説明した。「アメリカ人に協力していた者もいまや戦っている。



「みんな、これまでにない仕方で戦っている」

 彼によると、シーア派指導者やクリスチャン指導者からも含めてイラク全土のイラク人から、必要な援助や連帯のメッセージがファルージャに送られてくるそうだ。ファルージャの外の小さな町の女性は、これを売ってお金に替えて用立ててくれと自分の金の結婚指輪を差し出したという。その女性は貧しい人だっただけに、その行為はきわめて象徴的だったという。

「これは、ファルージャはイラク、イラクはファルージャになったということなのだよ。この戦いで、すべてのイラク人がひとつになったということなんだよ」

 別れる前に、私はこの長老にもうひとつ尋ねてみた。「もし、ジョージ・ブッシュにメッセージを届けられるとすれば、どんなことでしょう?」

 彼はしばらく考えてから答えた。

「一度でもいいから真実を語ってくれ」がメッセージだった。

 彼は、ブッシュがイラク人だけでなくアメリカ人に対してさえ嘘を言っていると思う例を話してくれた――たとえば、イラクでの米軍負傷者の数であり、イラク人の苦難の大きさである。

「アメリカの戦略として今、軍事目的ばかりでなく、選挙も近づいており政治目的もあるのは私たちにも分かっているが」と言う。

「実際に何が起こっているのか真実を語ってほしいし、ファルージャの人々の苦難について真実を語ってくれる正直なメディアがあってほしい

「アメリカは、法についてはよく語る、しかし、法律や条約、特にジュネーブ条約を全く無視する。

「ファルージャの戦いのこの3日間で、86人の子供が死んだ。彼らは、この真実を語るかね?

「ミサイルが一般家族の家に撃ちこまれて、妊婦が殺された。子宮の赤ん坊は助けることができた。つまり、生まれながらに孤児なのだ。

「こんな罪をここで犯されたあとで、どうやってファルージャがアメリカ人を受け入れられるかね?」

 話が終わる前に、私は、オーストラリアの多くの人が平和と友好の気持ちを送っていることを、ファルージャの人々に分かってほしいとこの長老に言った。

 彼は微笑んで「シュクラン(ありがとう)」といった、しかしなにか途惑っているように見えた。「彼女に聞きたいことがあるんだが」と彼は通訳に言った。

「オーストラリアは大きな国だね」と言う。「サイズもハートもどっちも」私はうなずいた。

「オーストラリアのほうがアメリカより大きいなら、どうしてアメリカに従うんだね? 理解できないんだが」と彼は言った。

「私も理解できないんです」と答えながらも、鋭い質問に私は息を飲んだ。

 診療所に帰るとき、白いシーツに包まれている先ほど運ばれてきた若者の死体が見えた。診療所から運び出されてバンの後ろに積み込まれるところだった。

 高く掲げあげられた彼の体に、敬意と祈りと祝福がささげられた。間違いなく多くの死者といっしょに、サッカー場のグランドに埋められることになる。

 ファルージャの主要病院が米軍によってファルージャの人々から遮断され、この小さな診療所には彼の負傷を処置するのに必要なまっとうな手術器具もないなか、彼は失血によって死亡した。

あなたの巡礼者より

ドナ

追伸:
 「捕虜」のエピソードは次のメールで。「ファルージャ」の経験談を、小さく分けても気を悪くしないでください。これが私の逐次報告のやり方なんです。

追追伸:
 5月20日にシドニーに飛行機で帰ります。

追追追伸:
 「こんなふうに生きるより殉教者のように死ぬほうがずっといい」
―ファルージャで祖父と道を横断していて手と足を吹き飛ばされた4歳の少年アリの父親、アーメド

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原文 http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/78

同行者のジョー・ワイルディングのファルージャ報告
原文 http://www.wildfirejo.org.uk/feature/display/115/index.php
訳文 http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/iraq0404i.html






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最終更新日  2004年09月15日 01時15分31秒
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