2004年10月25日
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 戦火の中のバグダッド、停電の合間をぬって書きつがれる24歳の女性の日記『リバーベンド・ブログ』。イラクのふつうの人の暮らし、女性としての思い・・・といっても、家宅捜索、爆撃、爆発、誘拐、検問が日常、女性は外を出ることもできず、職はなくガソリンの行列と水汲みにあけくれする毎日。「イラクのアンネ」として世界中で読まれています。すぐ傍らに、リバーベンドの笑い、怒り、涙、ため息が感じられるようなこの日記、ぜひ読んでください。
(この記事は、TUPとリバーベンド・プロジェクトの連携によるものです)。
(TUP/池田真里)
http://www.geocities.jp/riverbendblog/
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2004年10月25日月曜日

アメリカ大統領選 2004・・・



 というのはいよいよアメリカ大統領選が近いからだ。私たちはここイラクで興味しんしん見守っている。以前、イラク人は大統領選にとくに関心はもっていなかった。いつ選挙があるかくらいは知ってたけど、どちらの候補のことにしろ、意見を述べる人なんてほとんどいなかった。私たちみんな、アメリカ外交は、大統領が民主党某になるか共和党某になるかには関係ないと、とうに知っていたのだ。

 世界のこの一隅から見ると、アメリカ民主主義って大統領選挙でわいわいやることだけなんじゃないかと思えることがある。重要な政策の選択をめぐってではなくて。アメリカでは戦争をするかしないかの選択はいちおうふつうのアメリカ人の手にある。イラクだって同じだ。こちらにしよう、いやあちらがいいと選んで投票することはできる。しかし結局は、何か大きく複雑で邪悪なものが、それぞれの選択を超えたところに存在しているのだ。まるでモノポリーのよう、ゲームの駒を選ぶことはできる―小さな靴、自動車やシルクハット・・・だけどゲームのルールは選べない。顔ぶれは変わる。が、目標と政策は変わらない。

 ものすごく沢山の人がイラク人は選挙についてどう思っているか尋ねてきた。以前だったら、あんまり関心はないと答えただろう。4年前まで、アメリカ大統領選はしごく単純で裏のない手続きだと思っていた。白人男性二人が、ひとつの政治ポジションに対し立候補する(現実を直視して。ほんとうに二人だけ。ネーダーはものの数じゃない)。 人々が投票する。そして多くの票を集めた方が勝ち。ブッシュ・ジュニアが大統領に「任命された」4年前の選挙制度の大失態の日から、選挙をめぐるあれこれは複雑でいささか汚らしいものに見える。

 ふつうだったら私、アメリカの大統領は誰がいいかなんて喧々諤々やるタイプじゃない。知ってることといえば、4年前私たちがブッシュでないようにと祈ったということだけ。まるで、みんな現在の惨状を予見していて、ブッシュがそれを体現していたかのよう。(そして、ブッシュがまったくの
お馬鹿さんであるということがわかってきたわけ…。)

 そして今、候補は、ブッシュ、ケリー、ネーダーの3人だ。まずネーダーをこの競争からはずして考えても問題ないだろう。彼に見込みはないからだ(率直に認めよう)。イラクの諺に“Lo tetla'a nakhlaib rasseh"とある。 “たとえ彼の頭から椰子の木が生えてきたとしても”、彼に勝ちめはない。
 実際のところはブッシュとケリーのせめぎ合いだ。ネーダーはケリーから票を単に奪うだけの厄介者。

 誰に勝って欲しいかって? 当然ケリー。 疑問の余地なし。なにがなんでも、私はホワイトハウスからブッシュを追っ払いたい。(そう、アメリカ人よ、あなた方が昨年私の国を占領してから、ホワイトハウスの主(ぬし)が誰かについて、私にはおおいに口出しする権利がある)。 リアリストの
私は、劇的な変化や何かすごいことを期待する気になれない。だけど、アフガニスタンとイラクでの不当な戦争を容認することになるので、ブッシュの再選(あるいは「再任」と呼ぶべきかしら)を拒絶する。ブッシュの再選は、イラクでのこの大惨劇が、アメリカ人とイラク人の命と引き替えに実現した
価値があったことにしてしまう。ブッシュが再びホワイトハウスに納まれば、私たちがこの1年半舐め続けた恐怖と流血の辛酸がすべて是認されてしまうことになる。

 いい分はすべて聞いた。ブッシュの支持者はまるでブッシュそっくり-まったく誤りを認めない。ごまかし、愚かさ、情報操作、浪費の一切を真実と認めない。たわごとだ。支持していないがブッシュに投票しなければならないと感じている共和党員たちもいて、たぶん自分の良心を慰めるためだろう


 あなた方アメリカ人にハッキリさせておく―彼には絶対に計画などない。私たちが生きているこの大混乱に対処する設計図などありえない。ブッシュがイラク復興計画をたてるのに、ずるがしこくもカオス理論をつかっているのでなければ。イラクにあるのは混乱だけ。そしてイラク人は、ワシントンにいる奴らは自分たちの行為が何を意味するか分かっていないのだと考えている。イラクにいる彼らの操り人形はもっとわかっちゃいない。今のイラクで行われているゲームの名は、剥きだしの侵略―イラク全土が抵抗を始めてからは、民心獲得作戦なんてもんじゃまったくなかった。ブッシュの計画は簡単にいってしまえばイラクで言うところの“A'athreh ib dafra”、おおまかに訳すと、“つまづいたらけっとばせ”。 言いかえれば、ものごとはなるようにしかならないものだ。で、つまづいたらけっとばせ。願わくば望ましい方向にいってくれるように。

 それじゃケリーがブッシュよりずっとましな大統領になるかって? そうねえ。彼が事態を収拾するつもりか、軍隊を引き上げるつもりか、あるいはもっと投入するか、私には分からない。ケリーが果たして現在のイラクの地獄沙汰にうまく対処できるか、疑わしく思っている。ただ、ブッシュより悪いものがないことだけは確か。誰だってブッシュよりまし。ともかくブッシュの後の大統領が誰であれ、順風満帆ということはほとんどありえない。まるで沈没船に新しい船長を就かせるようなもの。私が知っていることといえば、ブッシュが穴をあけて浸水させたということ。だったら彼は船外に放り出されてしかるべき。

 以前、このブログでブッシュに集中砲火を浴びせた後、私にメールを送ってきた人がいる。大統領を支持している読者を失いたくなかったら、彼に対する侮辱の調子を和らげるべきだと。私がはっきりと戦争と占領に反対と口にした時点で、そんな読者は失った。ブッシュがかまけているのは戦争と占領だけなのだから。彼はアメリカやイラクあるいはアラブ地域の安全を守ってはいない。一人の人間そしてリーダーとしての無能ぶりを、戦争と、ありもしない大量破壊兵器、でっち上げのテロリストや子供だましのまやかしでおおい隠そうとしているだけだ。

 私が言わんとしていることはこれ。アメリカ人へ、かつて“自由と公正”の代名詞であったあなたたちの国の名前は、世界中で蔑まれるものとなった。あなたたちの今の大統領は、民主主義国であるという偉大なアメリカ像が、単なる虚像にすぎなかったことを証明した。あなた達は抗議し、デモを行い、投票することができる―しかし、そこまで。主権は、ブッシュがホワイトハウスへ足を踏み入れた瞬間にあなた達の手から離れた。繰り返し欺かれては、だまされて2つの戦争に送り込まれ、あなたたちの息子や娘は、異国の地で殺し合い次々死んでいっている。あなたたちの大使館は、世界中で危険にさらされている。「アメリカ」は、「帝国」「覇権」そして「戦争」と同義になった。だけ
ど、なぜ?すべて、自分たちの大統領ができそこないであるという事実から、あなたたちの目をそらせる必要があったからだ。


 特に、自分は家で家族とぬくぬくと傍観しているというのに。どれくらい強ければ、弱い軍隊と生活も経済もがたがたの国に対して、最先端の軍事技術をもって町々を瓦礫にする爆撃の命令を下すことができるのか。 強くならなくても、できる。狂えばいいのだ。

 アメリカ人よ―あなたがたにとって今より悪い事態はありうるかしら? イラク人にとって今より悪い事態はありうるかしら? もちろんありうる。想像すればわかること―ブッシュがもう4年やる、と。

午後10:35

(翻訳/リバーベンド・プロジェクト: 山口陽子、高橋茅香子、池田真里)






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最終更新日  2004年11月02日 23時43分57秒 コメントを書く


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