2005年01月29日
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 2004年4月イラクで、米軍包囲下のファルージャに人道救援活動のために入り、その帰路、地元のレジスタンスによる拘束を経験したオーストラリア人女性ドナ・マルハーンは、現在パレスチナに滞在しています。彼女は、西側報道ではガザ地区での実質停戦が伝えられるなか、ヨルダン川西岸北西部の小さな町で、イスラエル軍による外出禁止令のもと、命をかけて住民のために奔走しています。西側諸国にはほとんど報道されない事実を、身をもって体験しているドナが伝えます。         
                        (翻訳:福永克紀/TUP)
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パレスチナで軟禁

ドナ・マルハーン
2005年1月28日

お友達の皆さんへ


[訳注:サイダ Saida ヨルダン川西岸の北西部のイスラエルとの境にある町トゥルカレム近郊の小さな村]

 私を親子同然として迎え入れてくれているこの家族の居間は、人でいっぱいです。白いスカーフを巻いた聡明な顔つきのおばあさんが、彼女の子供13人のうちのいくつかの家族たちと、一緒に暮らしているのです。陽気な4人姉妹といろんな部族の血を引くその子供たち、それと年下の兄弟3人に従兄弟が数人です。

 一家は、室内にとどまっているほかにすべはないのです。もし、表のドアを開けたなら、3日前にのどかなこの農村を侵略して占領している重装備のイスラエル兵数百人のうちの一人がかまえる機関銃に直面することになるのです。

 石油ストーブの輝きとコーヒーテーブル上の蝋燭2本の明かりがあるだけで、暗くて寒いです。というのも、イスラエル軍が電気を止めてしまっているからです。もう食料雑貨を買いに行くこともできなくなってしまったというのに、この女性たちは私たちに食事とコーヒーを振舞ってくれます。町の小売店も、もし店を開けると爆弾にやられると警告されています。

 数夜にわたり軍隊からテロ行為を受けたあと、この一家が私たちに彼らの家に滞在するよう求めたのです。もし異国籍の者たちがいれば、インシャラー(神がお望みならば)、兵士たちが彼らの貴重品を打ち壊すことも、彼らを叩くことも、誰かを殺してしまうこともないだろうと思っているのです。でも、一番恐れているのは、家をブルドーザーで踏み潰してしまうことなのです、ものすごい数のパレスチナ人の家を襲った悲運のように。

 この町の軍事占領が始まってから、明日で4日目になります。これによって、幾千人もの人間の生活を大混乱に落とし込めてしまっているのに、オーストラリアではニュースにもなっていないのは間違いないでしょう、というのも「白人」たちが関係していないからです。

 私はここに3人の異国籍人と一緒にいます。英国人女性2人とカナダ人男性です。この侵略と占領を見届け、人権蹂躙を監視し(いっぱいあります)、人々のために声を上げ、食料と援助を届け、険悪な状況に介入するために、私たちはここにいるのです。

 機関銃装備の若い兵士からのいつもの脅しにもかかわらず、私たちは、この地の人々を自宅に閉じ込めている24時間外出禁止令を無視することに決めました。住民たちは、仕事や隣町の店や野良仕事に行くことはもちろん、バルコニーに出ることさえできないのです。

 この町への侵略は、集団的懲罰行為であり、国際法上では戦争犯罪とみなされるものです。軍隊は、この町にいるといわれている手配中の8人を探しているというのです。

 3日間の激しい砲撃や銃撃と家宅捜索のあげく、彼らはその手配中の誰一人として発見することもできず、やったことといえば、兵士が来るのを聞きつけるとテーブルの下に隠れてしまうような6歳の幼い少女リハブや、私たちに今日パンを求めた75歳の老婦人や、大学に行こうにも町から出られない21歳の学生ナセルに、恐怖を与えたり、暴力をふるったりすることだけです。

 だから私たちは外出禁止令に従わないのです。それが違法だからというだけではなく、食料や医薬品やその他多くのものを生きぬくために必要とする人間が、屋内に閉じ込められているからです。私たちが、人影もなくなった通りを忙しく歩き回っていると、窓や屋上から人々が私たちに呼びかけるのです。私たちを見つけてホッとしているのが、その表情からよく分かります。彼らが必要なものを言えば、私たちはそれをどこかで探してきて持って行きます。ヤギの餌を取りに行くのに一緒に行ってくれという男性もいました。家に上がりこんで話を聞き、彼らのことを心配している人たちがいることを伝えたりもします。



 中東に平和を打ち立てるには双方からの善意がなければならないということに世界の指導者たちが気づくまでに、どれだけ多くの侵略と屈辱と死が必要なことでしょう。

 パレスチナ選挙後に政治家たちがあれほど平和について言葉巧みに語ったあとなのですから、サイダの住民がいささかの幻滅を感じても許されるでしょう。

 彼らはいまだに、和平の相手となるはずの人々からどんな好意的態度も見せられたことはありません。それどころか、すさまじい銃撃によって自由を剥奪されて3日になり、それがあと何日続くのか、私たちには分からないのです。

皆さんの巡礼者

ドナより


 これで、近頃しばらく沈黙していたわけが分かっていただけると思います。インターネット接続も難しいし、パレスチナの村から村へと渡り歩きいろいろな緊急状況に応えるのに忙しい上に、そのすべての恐ろしさに自分自身呆然としてしまいます。書くことが難しいのです、ここでは思っていた以上に状況は悪く、たいがいの日については、語るべき言葉がないのです。

追追伸:
 私の新電話番号は[訳注:番号省略]です、気兼ねなくかけて「グダイ」と言ってください。サイダの住民の話に興味を持ちそうなどんなメディアに教えてもらっても結構です。
[訳注:グダイ G'day (Good Day の短縮形)オーストラリアで「こんにちは」の意味。現在では実際に使う人は少ないが、オーストラリアのシンボルのような挨拶言葉。オーストラリアでは、しばしば英語の「エイ」は豪語の「アイ」として発音され、「グダイ」と発音される]

追追追伸:
「怪物と戦うものは、自らが怪物にならないように気をつけなければならない」――ニーチェ

原文:House arrest in Palestine
URL: http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/147 

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最終更新日  2005年01月31日 01時37分18秒 コメントを書く


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