DAKAピ中

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第六話



第六話 分かり合えた瞬間


ここはトウカシティのポケモンセンター。タカアキは深夜のセンターの中、一人顔を伏して長椅子に座っていた。

アスカ「全く、いきなりかなりの無茶しちゃったわねぇ」

そう言いながらアスカはタカアキの近くに来た。

タカアキ「あぁ、アスカか・・・・」

タカアキはアスカがいることに気付いたが顔を伏したままだった。

タカアキ「クソッ、俺が・・・トレーナーの俺が不甲斐ないばかりに、チャモの奴は・・・・!」

拳を額に当て、自責の念に押されながらタカアキは言った。

その様子を見てフゥとため息をつくアスカ。

アスカ「勘違いしてるみたいだけど、あんたのアチャモ死んでないわよ」

タカアキ「! 本当か!?」

顔を上げすぐさま聞き返すタカアキ。

アスカ「ホントもホント。医者が言うには外側の傷はかなりあるけどあまり傷が深くなかったのがラッキーだって」

タカアキ「そうか。良かった・・・本当に良かった・・・・」

ほっと胸を撫で下ろすタカアキ。その目からは歓喜の涙が溢れ出ていた。

アスカ「アンタ男のくせにボロボロ泣いてんじゃないわよ」

タカアキ「うるせぇよ。自分のポケモンが無事だって聞いて・・・・嬉しくないわけないだろ・・・・」

やれやれと少々呆れ気味のアスカ。

アスカ「ところでアンタのアチャモと戦ってたポケモンってこれ?」

タカアキ「え・・・・?」

アスカの手には長方形の左の方を丸くしたような赤色をした機械があり、 その画面の中には先ほどチャモと戦っていたポケモンの姿が写し出されていた。

タカアキ「あ、本当だ。そうだ!チャモはコイツと戦ってたんだ!」

アスカ「やっぱりね。このポケモンはどくがポケモン ドクケイル。羽から猛毒の粉を振りまく。その毒の威力はプロレスラーも寝込むほどである、って書いてあるわ。アンタのアチャモはこの毒も喰らってたようね」

タカアキ「そうなのか?」

アスカ「そうらしいわ。命を取り留めたのは奇跡ね」

タカアキ「そうか・・・・」

深刻な顔が少し和らぐタカアキ。

タカアキ「ところで、お前のその赤い機械みたいなのは何なんだ?」

アスカ「あぁ、これ?これは『ポケモン図鑑』っていうやつなの」

タカアキ「ポケモン図鑑?」

アスカ「そう。お父さんが作った機械で、捕まえたポケモンのデータを自動的に記録するの。そのデータにはそのポケモンの使える技や特性、タイプなどが事細かに記されているの。さらに!捕まえなくても図鑑に名前だけ載っているならそのポケモンの生息地も調べることが出来るという超ハイテクな図鑑なの」

タカアキ「?・・・マジかよ?スゲェ図鑑だなオイ」

感心するタカアキ。しかし説明の3分の1ほどしか分かっていない様子である。

タカアキ「あれ・・?『捕まえたポケモン』ってことは、お前もうドクケイルってやつを捕まえてるのか?」

アスカ「当ったり前よ。アタシはアンタみたいにポケモン一匹なつかせるのに苦戦するほど初心者じゃないからねぇ~」

タカアキ「うわスッゲェムカつくな、その言い方」

ちょっとカチンと来ながらタカアキは言った。

アスカ「だから、もうこんなことが起こらないようにアンタにもコレ渡しとくわ」

そう言ってポケモン図鑑をタカアキに渡すアスカ。

タカアキ「おぉ、ありがとう」

アスカ「昨日研究所でお父さんがアンタに渡す予定だったんだけど、すぐ出ていっちゃったから渡しそびれたみたいなの」

タカアキ「だったら何で今日ポケモンセンターで俺に暗記テストさせてる時に渡さなかったんだよ」

ギクッとありがちな音を出すアスカ。

アスカ「あぁ、あれねぇ・・、ちょっと渡そうと思ったら忘れてきちゃったみたいでねぇ・・・。アハハハ・・・」

タカアキ「アハハハじゃねぇだろ!あの時ポケモン図鑑渡してればこんなことにはならなかっただろうが!」

立ち上がって怒鳴りつけるタカアキ。

アスカ「で、でもまぁやられなかっただけいいじゃん。終わり良ければ全て良しって言うじゃない」

タカアキ「う~ん・・・ま、いっか」

再び長椅子に座るタカアキ。

アスカ「医者が言うには完治するまで一晩かかるんだってさ。今日はどこか宿でも見つけて寝たら?」

タカアキ「そうだな。そうするか」

タカアキはゆっくりと立ち上がりセンターを出ていった。


翌日

医者「お待たせいたしました!あなたのポケモンはすっかり元気になりましたよ!」

タカアキ「はい・・・・」

タカアキは医者からチャモの入ったモンスターボールを受け取った。

センターを出て、モンスターボールのスイッチを押すタカアキ。

するとチャモが出てきた。元気一杯に走り回っている。

タカアキ「チャモ・・・ちょっと来てくれるか?」

タカアキの言葉を聞いたチャモは立ち止まり、タカアキの足元へやって来た。

タカアキ「傷も治ったんだ。もうお前が俺みてーなクズ野郎のそばに居る必要はねぇ。・・・・・・・俺はトレーナーになっちゃいけない人間だったんだ・・・・・」

顔をうつむけ、ぼそりと言うタカアキ。

タカアキ「さぁ、俺のそばに居ても仕方がねぇ。早くオダマキ博士んとこに帰るんだ」

しかし、その言葉を聞いてもチャモは一歩も動かない。

タカアキ「聞こえたのか?俺はもうトレーナーじゃねぇんだ。お前はもう俺のポケモンじゃないんだ!早くオダマキ博士のとこに帰れ!」

強めに言うがまだチャモは動かない。タカアキの目をじっと見ている。まるで何かを語りかけるかのように。

そのチャモの目にタカアキは気付いた。

タカアキ「お前・・・・俺と一緒にいたいのか・・・?」

そう言うとチャモは笑顔でうなづいた。

しゃがんでチャモの頭を撫で回しながらタカアキは、

タカアキ「・・・・ありがとうな」

と言った。

撫でられているチャモも幸せそうな顔をしている。

タカアキ「よっし! んじゃあ行くか!次の街へ!」

タカアキはチャモと一緒に歩き出した。これから待つ冒険の旅へと・・・・。


続・・・

ダカピチュ「まだ終わってねぇぞ~」

リュックからニュッと顔を出すダカピチュ。

タカアキ「うわぁ!お前いつの間に!?」

ダカ「さっきからだよ。それにしてもリュックの中にあった木の実うめーなー!モモンの実とかサイコーだったぜ!」

タカアキ「勝手に食うんじゃねぇよ!あーっ!しかもお前に潰された木の実の果汁でリュックん中ビチョビチョじゃねーか!」

ダカ「まぁまぁ過ぎたことを言っても始まらないし、さっさと行こーぜ」

タカアキ「てめーのせいだろーが!」

かくして何だかよく分からない小動物と共にタカアキの旅は続いていく。



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