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ジョニー・デップ


2008年01月07日
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カテゴリ: 日本文学
本の内容

帝銀事件が世を騒がせた昭和23年。希望に満ちた安城清二の警察官人生が始まった。配属は上野警察署。戦災孤児、愚連隊、浮浪者、ヒロポン中毒。不可解な「男娼殺害事件」と「国鉄職員殺害事件」。ある夜、谷中の天王寺駐在所長だった清二は、跨線橋から転落死する。父の志を胸に、息子民雄も警察官の道を選ぶ。だが、命じられたのは北大過激派への潜入捜査だった。ブント、赤軍派、佐藤首相訪米阻止闘争、そして大菩薩峠事件―。騒然たる世相と警察官人生の陰影を描く、大河小説の力作。 





このミステリーがすごい! 2008年 国内編第1位


今年度の「このミステリーがすごい!」第一位”警官の血”は、祖父・父・息子の三代を貫く警察官の人生を、その時代の歴史・人々の暮らしぶりを丹念に描写することによって著した実に見事な小説です。


このところ、京極堂シリーズにはまっているので、そちらの複雑怪奇な事件に右往左往する警察官ばかり見てきたので、こちらの骨太で堅実な警官一家の物語は新鮮でした。それほど主人公一家に気持ちが入る、、というでもないのですが、それぞれの 時代の世相や事件、背景 などがしっかりしていて、面白いからなのか、一気読みでした。


スチュワート・ウッズの『警察署長』 を彷彿させる警察官の三代記のおはなしですね。とはいえ、『警察署長』は、血縁関係の三代記ではなく、デラノという町の署長たち三代記。


やはり一番のテーマは、警察官の 倫理観 ですよね。警察機構内部の政治や駆け引き中心ではないですが、ラストの方の激しい応酬など圧巻。倫理観って、規範や基準がよく分からない。。正義や善悪も、。

最近のドラマや映画が思い出されます。

「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」
『踊る大捜査線』の青島刑事

とか、

「これは(事件に大小はない)人の命についての裁判なんです」
『HELLO』の、久利生検事

などのように・・

映像世界ストーリーのように、スッキリ単純明快なら誰も足をすくわれる事はないのでしょうが。現実では、そんなに白黒ハッキリしてませんから。 悪徳警官が、まったくの自堕落な人間とは限らない。予算の足りない分を補うための覚せい剤売買。、これを内偵した後輩の動機は、彼女を取られた腹いせです~。人質立てこもり事件を、身体を張って乗り込んだ「殉職刑事」は、実は自殺。。など、 英雄的な行為 という功績に隠れた、個人の 人間臭い動機や苦悩 が、コインの表と裏のよう。


警察機構の中で、何度も出てくる、主人公らが岐路に立たされる倫理観。
初代が戦後の間もない頃、貴重だった洋モクが署内で配られた時、「自分は洋モクは苦手で」と断るが、周囲の目が冷たくなる。その潔癖さ硬さが、”警察官の鏡”と信頼や昇進へとつながるのか、裏目に出てチーム・ワークのできない男となるか。その規範は誰も教えてくれないワケで、。自分で確立するしかないようです。


「お前の父が本当に模範的警察官だったと思っているのか?」
三代目が、初代の追っていた事件の真相にたどり着いた時、関係者に逆に問われる。
親子三代に渡っての謎がようやく明らかになるシーンなのに、今の多様化の時代の象徴のようで、あまりスッキリしたオチには感じません。唯一ひとつの真実なんてのはないというか、。警察内のどこの部署かで扱う事件が違うから、正義や基準も微妙に変わる、ということですかね。優先すべきはそのときの部署、自分の事件、ということなのですかね。「フィリピン ライテの帰還兵だ!」 戦争は、ヤバイ。国も人も壊れちゃうことなんですね。


「__優秀な警察官の血だ」 タイトルのとおりですが、三代目が警務課に抜擢される際に、幹部が口にするこの言葉は、祝福の言葉にはちょっと聞こえませんでした。警務課というと警察の中の警察というところ。署内でも敬遠される部署ですから。。でも、この三代目はタフなようです。、職責の中、倒れて行った祖父や父の意志を、忘れまいと、あの”ホイッスル”を身につけることにした三代目の姿勢に、感銘を受けました。清二・民雄・和也。  親から子へと受け継がれるたしかなものがある血筋は、いいですね。多様化の時代、人は組織に使い捨てにされ、守ってくれる確かな倫理も規範もない。自分の身は自分で守れ。自分に流れる父や祖父からの警官の血だけが、自分を律し守ってくれる 、ということです。


年末に 図書館で予約したはいいけど、正月の帰省をはさんで、図書館も年末休みになるなど、もしかして、予約を逃すかも??っという危惧はありましたが、無事に読み終える事が出来てうれしいです。しかも、読み始めたら止まらないし。これは「このミス一位」納得です。








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最終更新日  2008年01月07日 20時55分31秒
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