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僕は、先ほど見た人影に近付いた筈だった・・なのに、今、僕の目の前にあるのは誰も居ない空っぽの椅子・・・自分1人じゃないと思って浮かれて安心してたのが少し前・・僕は誰も居ない椅子を見詰め、また、自分しか居ない寂しさと向き合わねばならなかった・・・と、その時!!「よぉ♪やっと起きやがったか、寝助ちゃン?良い夢でも見てたのか~?俺が回廊に転がってたテメェをあの部屋に運び来んだ時に、スッゲェ可愛い寝顔でよぉ、何か知らねぇが、こう・・口元に笑みを浮かべてやがったぜ??」「ヒッ!」「おおっと、身構えなさんな、俺ぁ何もしねぇ・・それに、俺が居なきゃ、テメェは今も冷たい石の廊下でお寝ンねしてたかも知ンねぇンだぞ?」「い、いぇ・・急に誰も居ないと思っていたのに背後から声がしたのでビックリしちゃって・・・すみません、それと・・ありがとうございましたm(_ _)m助けていただいて・・・」「ハッ!何かしこまってンだ、俺は倒れてる人が居たから運ンだだけだって、恩に着る必要はねぇ・・」最初はいきなり背後から声を掛けられて困惑していたけど、良く見れば、優しそうな目をした人で・・言動は荒っぽいけど、その言葉にトゲはなく・・・悪い人では無さそうだ・・それに、今気付いた事だけど・・茶色掛かった赤の髪に、青い服・・どうやらさっきまでココに座っていた人物の様だ・・・あれは僕の見間違いでは無かったと安堵すると同時に・・僕が少し目を離した隙に僕の背後に回るこの早業・・・ただ者では無いと素人の僕にも分かる。。「あの、先ほど、この椅子に座ってましたか?」一応確認も兼ねて訪ねてみる・・「あぁ?座ってたが、それがどうかしたか?」「いえ・・・どうと言う訳ではなくて・・」「・・・・・は??」やっぱりさっきのは彼だったのだ、僕の質問の意図が分からず、少し首を傾げてる赤茶色の髪の青年を少し・・彼に不審がられない様に、ほんの少し・・観察してみる。髪の毛は耳に掛かってる・・身長は結構高いな・・目は鋭い眼光を放っているけど何処か幻想的で・・背中には何かを背負ってるみたいだけど、僕からは見えない・・左手には・・・あれ?聖書??クリスチャンなのかな・・あ、まつげ結構長い・・この人結構格好良いな・・こんな所で何してるんだろう?・・あ、そうだ、此処が何処なのか聞かなくちゃ・・考えを中断して顔を上げると・・・「おぃ、俺の顔に何かついてンのか?」彼の顔が僕の目の前にあった・・然も結構近い・・・(苦笑)「っちっ、近いですよ!!」「あ?」「顔!顔!!(汗)」「ン?ああ、すまん・・で?何だ?俺をそンなにジロジロと品定めする様に見てよ?」「あ、あ・・ごめんなさい・・聖書なんか持ってるので、どんな方なのかな・・と、つい・・・」「あ?聖書?・・ああ、そういや持ってたな、そンなの・・忘れてた・・これは・・・」「これは?」「・・・・・・・特に意味はねぇ、ただ、枕に丁度良さ気な厚さだったンでよ、持ってた」・・・・脱力ってこう言う時にこそ相応しい言葉なんだなと、実感した僕であったが、今は、兎も角、聞きたい事を聞かなければならない事をハタと思い出し・・・「あ、あの・・・それで・・」「ン?何だ??」「此処は何処なんですか???」僕は、一番の疑問を口にした。。。
2009年01月03日
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埃の積もった部屋の捜索をあきらめ、部屋の入り口に向かう・・木製の年期の入った扉を押し開けると、扉の先には長い長い石の廊下が続いていた・・・その廊下に照明は点いておらず、暗いトンネルの様な・・吸い込まれそうな闇がソコにはある。それでも、どこからか風を微かに感じるので、足下に注意しながらゆっくりと暗闇の中を風を感じる方へ向かって歩いて行く・・暫く手探りで暗がりを歩いていると、視界の奥に小さく光る光点を発見した・・・僕はその光に僅かな希望を賭け、歩みを進める・・うん、風を感じるのも確かにコッチだ。光に向かって歩きながら、考える。。此処はどこなのか・・・と、先ほど自分が居た部屋の広さを考えると、かなり大きな様式の建物の筈。でも、日本にこんなに大きな建物はあっただろうか・・それに、机の上には英字新聞みたいなモノがあったし・・・しかし、昨日は自分の部屋で寝た筈・・これはやはり夢・・・なのか??気付けば考えてる間にかなり歩いたのだろう、目の前に先ほどの光を発していたモノがその姿を現していた・・その光は、外からの光の様で・・それは、人が1人通れる程のサイズの扉だった・・・その扉は内側に向かって開け放たれており、光と共に気持ちの良い新鮮な空気を僕に届けてきてくれている。。外に一歩足を踏み出すと、今まで真っ暗闇の中にいたので、光がまぶし過ぎて、目を細めてしまう・・・暫くして目が光に慣れてきたので目をしっかりと開いて、目の前の光景を確認してみる・・其処は、一面の緑・・花畑に野原・・美しい自然が満ち溢れた風景だった・・・太陽は暖かいが、時折吹く風は、山の上で吹く様な寒い・・と言うより、涼しい爽やかな風。。。そこの美しさに僕は今、置かれている状況を忘れ、その風景に見入り、その風に吹かれてボーっと佇んでいた・・・・・・・・・・・・・ん?あれ?気のせいかな?今、視界の隅で何かが動いた様な気がした・・・・・僕はその何かが見えた方へ歩を進めてみる・・・すると、広い野原の中に、白い椅子の様な物があり・・そこに青い服を身に纏った赤茶色の髪の人が腰掛けているのが辛うじて見えた。。。自分以外にも人が居る・・それは此処が何処かも分からなかった僕にとっては非常に嬉しい事で・・・僕は迷いも無くその人物に近付いていった・・・・・。。。。
2009年01月02日
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