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「野球部の彼氏」



「野球部の彼氏」

私の彼氏は野球部だった
少し年下の 彼だった

彼の 父親も 祖父も
プロ野球選手を 目指していた

小さいときは
リトルリーグにも入っていて
今は 甲子園の常連の高校に
通っていた あなた

1年生の彼は 先輩達にいびられて
いつも むかつくって ぼやいてた

彼は 私を好きだと言った
どうしようもない位 好きだと言った

ある日 彼は呟いた
「俺はもう 野球は辞めるよ」って

辞めて いつも私と一緒にいる
学校が終われば 私と一緒に帰り
休みの日は 私と一緒にいるって


私は 彼に別れを告げた
好きな人が出来たと 嘘をついた

だって 怖かった
私にのめり込む彼が 怖かった
彼の人生に 影響を与えてしまうのが
本当に 怖かった

彼をそんなにのめりこませてしまったのは
少し年上だった私の 軽率な行動だったのに

もし 私がいなければ
彼はきっと 野球をやっていただろう
彼の夢だった甲子園にも 出られただろう

結局 彼は野球部を辞めたと 噂で聞いた

「私は あなたの逃げ場じゃないんだ」
と言った時の 辛そうに目を伏せた顔が
今でも 脳裏に焼きついて 離れない


今 あなたは大学生
恋よりも のめりこめるものは見つかった?
私は まだ 見つかっていない


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