それでもあたしは生きていく

それでもあたしは生きていく

2010.02.11
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 (前編から読んでねw)

 到着したお店は、ブログの画像通りだった。
 入り口を開けると、木の匂いが鼻に飛び込んでくる。
 ああ、ついに来ちゃったよ・・・最悪の客でごめんね・・・汗

 遅れたにもかかわらず、マダムが優しく案内してくれる。
 鉄板を囲んだテーブルが3つあり、一番奥のテーブルに、ちゃんとあたしのためのスペースが用意されていた。
 たった1人のための鉄板。たった1人のためのchef。最高に贅沢な空間、最高に贅沢な時間が、用意されていた。

 「神戸へ出張ですか?どちらからおみえになったんですか?」
 「そうなんです。横浜から来ました。」

 「ここへはインターネットか何かで?」
 「ああ、そうなんですよ。ブログでお世話になっているものですから・・・」

 ニヤリ。
 あー、やっぱり、気づいたか・・・。
 でも、横浜っていうだけで、すぐにピンと来てくれることがとても嬉しい。

 「お米、届きましたか?」
 「ありがとうございましたっ!お礼も言わず、申し訳ありませんでしたっ!」

 そう、昨年、chefさんの作ったお米をいただいたにも関わらず、ブログにアップもせず、お礼もろくすっぽ言わないままだった。いつか、直接あってお礼を言いたいと、ずっと想い続けていた。
 急遽思い立って来たので、おみやげすら用意しなかった。
 ・・・オーマイガー・・・

 こんな失礼千万なあたしに、chefさんは常にダンディで、マダムは優しく対応してくれる。


 ペコペコ謝ったあと、早速料理をチョイスする。
 もちろん、はchefさんのお勧めをお願いした。

 まずは、シェフさんがよくアップしている、地物野菜を使ったスープ。


 あたしは料理をよくこぼす。
 ここでそんなことをしたら、本当に穴を掘り出しそうなので、そうならないようかなり緊張しながら一口いただく。

 薫りだ!
 口の中に広がるのは、旨味を超越した、何とも言えない芳しい薫りだった。
 光源氏の息子に、薫君(かおるクンじゃないよw)というのがいたが、このスープも、まさに薫君と呼びたくなるような、芳醇で濃厚なネギの風味が活きている。
 本当に素晴らしいものは、ひとつの感覚を満足させるだけでなく、人間の持っている感覚すべてを楽しませるだけの力をもっているようだ。

 これだけ食材の良さを引き出せてもらえたら、材料たちもさぞかし幸せだろうと思う。

 次は、憧れだったサラダだ。

・・・これしかまともに撮れてない・・・.jpg

 お店で何枚か画像を撮ったのだが、ただでさえ写真が上手くない上、料理に夢中でろくなものが撮れなかった。
 そのうち、写真なんかどうでもよくなってしまったので、唯一まともに撮れたこの写真だけアップする。

 手作りのドレッシングが野菜の味を引き立てている。
 マスタードが主張しない程度にアクセントとなっていて、野菜を楽しみながら、ときどき薫るマスターがまたまた野菜の新たな旨味を醸し出す。
 こんなサラダを毎日食べることができたら、体にも心にも、最高の栄養素になるだろうなぁ・・・ ウットリ

 さて、いよいよお勧めの登場だ!
 続いて、chefさんお勧めの「キャッツアイ」をいただく。
 目の前の鉄板で、chefさんがたった1人のために調理をしてくれる。その間、客を退屈させないよう、chefさんが会話を楽しませてくれる。料理だけでない、人間味溢れるサービスだ。
 ブログを拝見していて、いつも思うのだが、chefさんは実に引き出しが多い人だ。実際に話をすると、その引き出しの多さ、対応の柔軟さに感嘆する。客の住んでいる場所の話から、時事ネタ、音楽、映画などにも造詣が深い。料理だけでなく、人間としても一流とはこういうことなのだろう。

 キャッツアイというのは、世界遺産にも指定されている大自然が広がるタスマニア島で養殖されたカキなのだそうだ。
 遠浅の海で、潮の満ち引きによる深度の差が10mにもなるという。引き潮の時間帯にはたくさんの日光を浴び、すくすくと育ったカキの味は、日本のどんな高級カキをも凌駕する。
 以前、岩牡蠣を食べたとき、その濃厚な味に衝撃を受けたが、キャッツアイはあの岩牡蠣に匹敵する程濃厚で芳しい。
 この牡蠣も、やはり、「薫って」いた。

 牡蠣の殻に残ったおつゆもいただいた。
 先ほど長ネギのスープをいただいたが、これもまた、スープと言っていい。
 身を堪能し、スープまで楽しめるとは・・・恐るべし、世界遺産☆

 そして、chefさんが以前ブログで紹介していた 「天使」 。
 いや、エビってここまで食べられるものなのね・・・。
 あたしはエビフライや天ぷらも尻尾まで食べる方なのだけれど、頭や殻まで食べられるとは驚きだった。
 実は・・・エビって、頭がめちゃくちゃ美味しい!
 味噌の甘み・コクと、腹に少しついている身が絶品なのだ。ただ、普通のエビの場合、殻が硬い上に、目は食べてはいけないらしく、頭を食べることは皆無だ。
 このエビを食べて、エビの可能性というか、価値観がガラリと変わってしまった。
 キャッツアイも、天使のエビも、料理の歴史を変えるという言葉がぴったりな一品だ。

 シーフードが続く。
 次は、ホタテのソテーだ。
 ホタテも絶妙の焼き加減。生で食べて美味しい物って、少し炙るとものすごく旨味が増したりする。牡蠣もそうだったが、このホタテもまさにそんな感じ。
 口の中に広がる甘みと、表面に染み込んだバターが、焼かれた表面とふんわりした身とのアンバランスさと相まって、ホタテの魅力を2倍にも3倍にも引き出してくれる。
 贅沢って、こういうのを言うんだろうなぁ・・・ウットリ。

 さて、いよいよメインディッシュの登場だ。
 素敵すぎる牛肉が、脇に鎮座ましましている。
 但馬牛は、松坂牛や近江牛の素牛となっているらしい。ということは、日本で最も美味しい牛ということになる・・・いやぁぁぁぁん、たまらないっ><

 ホタテを堪能しているあたしの前で、chefさんの手が粛々と動いていく。その様は魔法のようで、作り出される料理は芸術作品のようだ。
 美しい・・・極められたものは、美を感じさせる。

 こんにゃくのような形だったステーキが、芳ばしい香りを放ちながら、見る間に小さくカットされていく。chefさんがカットしたサイズ、焼き加減は、肉の旨味の頂点だ。これ以上でも、以下でも、肉の旨味は落ちてしまうのだろう。

 同時に、ご飯が出される。
 以前、chefさんが送ってくれたお米と同じお米のご飯。なのに、全然違う。甘くて、堅すぎず、柔らかすぎず、ご飯もまた、米の旨味を頂点まで引き上げている。

 一口サイズに切り分けられたステーキを、ヒマラヤ岩塩、わさび、ポン酢、ステーキソースでいただく。調味料を変えることでまた、肉の旨味が変わっていく。
 ああ・・・舌がひとつじゃなかったら、もっとこの旨味を受け止めることができるかもしれないのに・・・舌が肥えていないことが、悔やまれてならない。

 ご飯はお代わり自由。
 お肉の後に炒めた野菜をだしてくれるのだが、このモヤシをご飯に乗せ、ステーキソースを混ぜて食べると美味しいと、マダムが教えてくれる。

 マダムの客への気配りもまたすばらしく、1人で来たあたしが退屈しないよう、絶妙なタイミングで話しかけてくれる。chefさんのトークや接客も素晴らしいが、マダムの優しい雰囲気もまた、素晴らしい。ときどき顔を出す、お嬢さんがかわいくて、もっとお話しできたらよかったなぁ。今度横浜に遊びにきて下さいね♪

 さてご飯w
 マダムに教えてもらったとおりにやってみたら、モヤシがさっぱりとしつつも、肉の旨味を含んでいて、いいダシが利いている。そのモヤシとステーキソースのバランスが絶妙なのだ。 ゴージャスな牛肉をいただいた後の、シンプルなご飯・・・ああ・・・あたしこの辺に引っ越そうかな・・・

 幸せな気持ちに浸っていると、
 「今日は予約のお客様がお帰りになったあと、大阪まで行くので、よかったら神戸までお送りしますよ。」と言ってくださった。
 いやいや、いくらなんでも図々しすぎます・・・

 ・・・が、図々しいのがあたしの信条だ。
 ほんっと、図々しいのだが、席にどっかり座って、待たせていただくことにしてしまった。
 ・・・ほんと、図々しくてごめんなさい・・・

 本さえあれば、何時間でもいられるあたし。
 さっそく鞄から本を取り出し、読み始める。

 chefさんが、ワインを開けてくれる。
 「残ったらお持ち帰り下さい。」

 えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
 いやいやいやいやいやいやいやいや、いくらあたしが図々しとはいえ、そんな・・・そこまで甘えるわけにはいきませんっ!
 と、いいつつ・・・一杯いただくと、甘すぎない、でも渋すぎない、さっぱりとしているのにコクもある味が、お肉にぴったり!

 「美味しいですっ!」
 ・・・酔っぱらいだからさ、際限なくなっちゃったよ、あたし・・・
 誰かあたしを諫めてください・・・

 結局、ワインをボトルごといただき、ポン酢醤油とステーキソースまでいただき、ちゃっかりも図々しいも通り越して・・・そうね、厚顔無恥って感じかしらね・・・
 神戸のホテルまで送っていただいてしまった。
 ・・・今度はスコップもって伺います・・・

 送っていただいた車の中でも、たくさんの話をした。
 世界中を回っているchefさんの言葉は、経験に培われた重みがある。しかも、図面を描くということも知り、改めて驚いてしまった。
 よいもの、よい仕事・・・追求、実践している人の言葉は、誠実さに裏付けられた理念と、経験に培われた具体性と真実味があり、頭での理屈ではなく、心に響く理論となる。
 料理だけでなく、人柄だけでなく、生き方、働き方の理論まで伝授していただいた。

 翌日、一緒に出張していた先輩から、「満足そうな顔しているわね。遠いけれど、行ってよかったみたいね」と言われた。
 片道2時間半の小旅行だったけれど、すべてに満足させてもらった経験だった。
 一期一会ではなく、長いお付き合いをお願いしたい、心からそう願っている。

 chefさん、マダムさん、お嬢さん、大変お世話になりました。
 これからもよろしくです☆





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最終更新日  2010.02.11 15:29:36
コメント(3) | コメントを書く
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Re:至福ってこういうことをいうのね(その2)(02/11)  
pinky5656  さん
こんばんは^^

行って来たのですねー
うらやましいー
楽しかった様子がとっても伝わって来ましたw
それと、、、美味しかった様子が(笑)
出張も、毎回こうだったら楽しいでしょうね☆
今度は、スコップ持参でいくのですか??(笑)
とっても楽しく読ませていただきました(^^) (2010.02.12 21:29:50)

(●´∀)ノノ""スゴイスゴーイ!  
pipキム  さん
もう見事すぎます!(;´∀`)…うわぁ…
私の足元はよだれだらけですわよ(ノω`*)ノ゛いやぁん
ご馳走って口に入れて美味しいだけの事じゃないんですよねえ
人柄が料理の味を変えるし生き方が味に出るんですよねえ^^
この日の事ははついさんの心にいつまでも残るんでしょうねえ
。・:*:・( ̄∇ ̄人)。・:*:・ (2010.02.12 22:46:59)

毎度様です  
chef さん
先日は 遠いところまで 足を運ばれて ありがとうございます
素晴らしい コメントを頂き うれしく思います
これを糧になお一層 精進いたします
新店舗になった折には お待ち申しております

本当に料理人になって 良かったと思える時間を
過ごさせていただきました
マダムともども 感謝いたしております
幸せ気分に させていただきました
ありがとうございます
(2010.02.15 13:10:55)

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