ホテルニュー目黒

 代官山へ向かうバスからの眺め。その中に、既に5年前に営業を終了した『 HOTEL NEW MEGURO 』(ホテルニュー目黒)がある。まるでイタリアの田舎町に建つ、寂れたアメリカンスタイルのホテルのような佇まい。しかし、今の時代に宿泊者が集まるような立地でもなく、旧態然とした建物は、もはや取り壊しが待たれるばかりと思われていた。そして、とうとう先月くらいから足場が組まれ始め、養生シートも掛けられ、内装は解体され「いよいよか…」と思ったその時、取り払われた養生シートの中から現れたのは、真新しいペンキで化粧直しされた『HOTEL NEW MEGURO』だった。
 そんな折、知人から「金曜日、こんなイベントに一緒に行きませんか?」という誘いを受けた。何と会場は『HOTEL NEW MEGURO』。しかし、工事が終わる気配など微塵もない。冗談で「まさか工事中の養生シートの上でワンカップとか、じゃないっすよね」「そこまでやってくれたら脱帽です。帽子の代わりに黄色いヘルメットかぶりますか」なんてことを言っていたくらい。そんなイベントのタイトルは『
NowaEra 』(現在と時代を組み合わせた造語)。なになに…“インテリアショップ「 CIBONE 」がプロデュースし、DJプレイやライブのほか、NYの新鋭アーティスト、リッキー・カッソが来場者を撮り下ろすライブ形式の写真展、TOMATOの映像インスタレーション、ギャラリー展示等がある”だって?
 当日、誘った人と一緒に、戦の前のパンとチーズとワインで軽く腹を満たした後、夜10時過ぎに会場へ到着。そこは紛れもなく現在進行形の「工事現場」であったが、着飾った人でごった返し、妖しい明かりに照らされ、映像が飛び交い、腹に響くサウンドが鳴っていた。よくあるクラブを会場としたイベントと違い、大人な雰囲気。そして、どこで聞きつけたのか、見掛ける顔は仕事関係が多い。まったく、相変わらず面白いイベントを仕掛ける人がいるものだと感心し、またもやイベント漬けの週末だった。
 尚、『HOTEL NEW MEGURO』は、8月末に『HOTEL CLASKA』として生まれ変わる予定。「HOTEL」と言っても、イベントスペースや、SOHO向けのオフィスとして貸し出されるとのウワサ。インテリアショップ一色だった目黒通りに、また何かが起こりそうな気配。


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