メキシコから来た不良トリオ

 メキシコから親友が帰ってきた。彼の名は「ヒロ」(写真左)。私がまだ横須賀の家に住んでいた頃、あの『 60段階段 』を素っ裸で走り回っていた彼だ。現在18歳。かつてのやんちゃ坊主は、相変わらずやんちゃの消えぬまま(笑)いい男に成長していた…。
 ヒロは小学生の頃、彼の家では買ってもらえなかったテレビゲームがしたくて、よく我が家の勝手口の鍵を開けておいては、こっそりと留守中に忍び込んだ。姉と一緒に来ると、いつしか殴る蹴るの取っ組み合いのケンカが始まって、周りの物を壊した。さらには、置いておいた財布にも手を出した。ヒロは中学生になると、夜な夜な出掛けて、友達と夜の街を遊び歩いた。私が終電とかで帰ってくると、駅のベンチで、見るからに悪そ~な友達とたむろしていた。(ヒロも悪そ~だった)夢は暴走族に入ること。(冗談?)その後、一応、ぎりぎりで高校にも入ったが、入学式でイヤになって、あっというまに辞めてしまい、落ちこぼれと言われた。母が教職に就いている手前もあって、家族やその周辺は、そんなヒロの扱いに困っていた。そして、悪い友達のところにしか居場所の見付からないヒロは、メキシコ料理店を営む父親の紹介で、単身メキシコに渡った。3年前のことである。
 しかし、自分の見方は、ヒロの周囲とちょっと違っていた。自由奔放に生きる姿がとても羨ましく、誰とでも遠慮も歳の差もなく話が出来る姿勢が好きだった。財布に手を出した時は、わんわん泣きながら謝りに来た。駅で悪そ~な友達とわいわいやっている時でも、こちらの姿に気がつくと、すぐ「コウちゃ~ん」と寄ってきて途中まで話しながら帰った。そんなヒロの身に起こる様々な出来事や事件が、きっとすべて貴重な経験になっていくのだと思った。
 メキシコに渡ったヒロは、その物怖じしない性格故に、すぐにたくさんの友達に囲まれ、たくさんの女の子とも付き合い(笑)、居候先のメキシコ料理店で人気者になった。さらに、アメリカンスクールにも通い勉強もした。日本とは異なる自由な空気が彼を大きく育てた。
 そんなヒロが日本に帰ってきた理由は、実はホームシック。うっそー、という感じだったが、まだ18歳。これを機会に、これから旅をする機会はいくらでもあるだろう。最近は大検で大学も受かったそうだが、やはり行かないそうだ。2年も経てば成人して、また何をしでかしてくれるのか。これから益々目が離せない、可愛い舎弟である。

Hiro
画像:ヒロの着ている服のほとんどが自分のお下がり…同じ物がどうしてここまで品悪くまとめられるのか?(笑)

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