嘔吐112.

August 24, 2007
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カテゴリ: Lily


(眠りの中から、胸の奥の暗闇をそっと連れ出すの)

夢の中の僕は、こどもの瞳をした僕は、腫れ上がった両腕と、二つの瞳から、つぅ、と滴を散らして眠っている。書き散らした何冊かのノートと、何の響きもないその場所で、一人夢を観ている。愛を語らないその唇は、愛するゆとりも律する境もなく、僕は此処で僕を眺め、漂う。こどもの僕、こどもな僕。痛みを愛するおさなきゆがみ。

僕はつぅ、と一筋分の涙を浮かべ、そのこころを流す。

(二つ目の言葉は、風)
(かみさまの腕の中へ、翼を煽るの)

夜の中で揺らいだ、そのやさしさが漂っている。ひとりの、音のないその場所を浚う、溶けていくかなしみの行方。存在の揺らぎというものが、まるで海の漣のように、まるで風のように、僕のこころの孤独をそっと撫でていく。

僕はこのちいさな胸に鼓動を感じ、渇いた唇をなぞってはやさしさに埋もれる。

( 三つ目の言葉は、――― ) 


みみを澄ませたなら、君のやさしさ怯えながら撫でて。

碧。





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Last updated  August 24, 2007 11:20:58 PM コメントを書く
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