嘔吐112.

December 19, 2008
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カテゴリ: Lily
朝は一度6時半過ぎに起床し、用を足し、身体の中心がぐらついて仕様がなかったのでもう一度自室に入り込みました。眠りは浅く、夢見も特になく、肌寒い朝の、薄暗い光だけがカァテン越しに眼を掠めました。ああもう12月も半ばなのだよなァなんて、何度目だか判らないような事をもう一度考えて、其れをぽつりと口に出しては自分の更なる恥を隠すように布団に潜り込みました。
そうして確か、8時半過ぎに姉を送り出してから、母がリビングで体調を悪そうにしているのを、自室にある大きな鏡越しから幾時間か見つめていました。
母は血圧の病気を患っており、此処数ヶ月は苦しそうにしております。病院から新しく処方され薬の影響を芯から受けているようで、始終気だるそうにソファに身を寄りかけており、目を開いたり閉じたりと何度かしておりました。私は其れを見つめながら、まるで母は、薬が血液の中を流れていく度に眼を開けたりとしているようだわ、と考えてしまい、その眼が完全に閉じ、彼女が眠りに就くまで鏡から目を離す事が出来ませんでした。
母は真っ黒な、黒いカーペットの中に居ればその存在は安易に塗り潰されてしまう程真っ黒な子犬を腕に抱え、その温かさの中で眠りに就いたようでした。こうした時の犬はとても、暖かい。身に沁みる何かを感じさせるものです。だからでしょうか。母のその顔が、あんまりにも安息としていて、私は昼になっても母を起こす事が出来ませんでした。
子犬は寝言を何度か唸る様に喋っておりましたが、母の腕からは離れるつもりはないらしく、寧ろ母の腕の温かさの中、夢を見るように共に眠っておりました。私はその様子を見て何か心が安心とし、やっとのこと鏡を見つめる事を止められました。
私はというと、昼頃漸く身体が動けるようになった為、(母の顔をちら、と見つめてから、)洗濯物の一つ一つを丁寧に折畳み、全ての作業が終わったと同時にカァペットに倒れ込みました。私の洩らした滓かな音に反応したのか、子犬は母の手から逃れ出て、私の涙の滓を何故か執拗に舐め取ろうとしていました。
私は壁を眺め、半開きになった窓の風を感じては、いつの間にか居なくなった子犬の存在を感じ、緋色の鮮やかで、壊れ易く、触れてはいけない何かのような。そのような気配をさせるカァペットを背にしながら、身体のだるさと共に、重くなる目蓋に身を任せました。






人との会話は大事です。大事だと感じました。人と接する際の言葉は怖い、凶器だ、だから言葉を発する事は嫌いだと云っていた私でしたが、私はそれ故に、私はそれなのに、こうまでして母や父や姉や、多くの人間の人生を壊してしまいました。恥じ入ります。恥じ入ります。認めます。

今日は病院です。今回の話の末ではゆったりと、お話しすることが出来、母と姉は理解をしてくれましましたので、母も、私を一人で診療に送り出してくれるようです。その事が単純に嬉しい、と思います。


ああ、一日の、御仕舞いを感じます。


* 始まりの朝は早い方が好い。出掛けます。行ってきます。





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Last updated  December 31, 2008 05:22:23 PM
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