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― 碧 虚 堂 ―
真夜中と真昼の夢 2nd
⇒真夜中と真昼の夢 2nd.
「~~はぁ……」
キッチンのドアを閉めるや否や、サンジは緊張の糸がぷっつりと切れたかのようにその場にへたり込んだ。そして長く長く息を吐く。
実際、サンジは緊張していた。
飲んでいた酒の味など殆んど憶えていない。
酒を味わいもせずに飲んでいただけなんてコック失格だと思った。
だが、ゾロと話している時はもう、無我夢中と言った感じで、自分が何を口走ってしまったのかも分からなかった。兎に角、ゾロと話す
ネタが無いかと頭をフル回転させていた。
酒を飲みまくって前後不覚になるくらいに酔っ払えば何かしら会話が捻り出て、沈黙しそうな間を繋げるんじゃと、一人で張り切ってし
まった結果だ。カーっと一気に顔が上気した感じがした。その原因は酒のせいだけでは無いだろう。
座り込んだまま、また新しい煙草を取り出す。紫煙を燻らせながら一息ついて気持ちが静まってくると、先程の事が段々と甦ってきた。
軽い自己嫌悪に似た感覚が心に押し寄せてくる。
(―――こんな事、賭けにして何になるってんだよ)
と、自分の中の誰かが大笑いしている声が聞こえてきそうだった。
激しく頭を降って、その声をかき消そうとする。
頭の中身が軽くブレた感覚がして、ゴチャゴチャしていた感情が鮮明になっていく。
(―――俺は、あん時から何処かイカレちまった。
一生、クソジジイのバラティエに居続けて、俺の料理を認めさせたかったんだ。
オールブルーなんて子供クセェ夢を語るのは二の次。
夢なんて、曝け出して生きるモンじゃない。
現実から目を逸らさないと決めた。賢い生き方だと思ってたんだ。
なのに、アイツは俺に自分の夢を突き付けた。
夢を追い、生きる事も死ぬ事も怖れねェ姿ってヤツだ。
そんなモン見たら、今までの自分が馬鹿馬鹿しくなっちまうじゃねェか―――)
サンジがまだバラティエにいた頃、初めて“海賊狩りのゾロ ”に逢った。
巷の噂には聞いていた海賊狩り。歳も自分に近いと知っていた。しかし、サンジとは全く別の人間のように見えた。
一人は自分の為に強くなる事だけを考え、夢を追う者。
一人は自分が傷つけた人の為に償う事だけを考え、夢をひた隠しにしてきた者。
同じくらいの年月を、たとえ別々の場所で生きてきたにせよ、こうも人種が違うものなのかとサンジはボンヤリと考えていた。
そして、其処で海賊狩りは“世界最強 ”と対峙した。
(強烈だった)
(馬鹿みてェに『世界』に挑んで、
馬鹿みてェにあっさり負けやがって、
馬鹿みてェに泣いて、船長に誓いを立てて、
そんで、次の時にゃもう、その先を見つめてやがる……)
馬鹿な剣士の姿はサンジの中にある何かを駆り立てた。
痛みすら、力に換える、夢を追う強さを。
(―――脇目も振らず、何で夢を見れるんだ?)
当時のサンジは闘うゾロの姿に荒々しく心揺さぶられながらも、必死に、そんな事を思った。意地を張ってバラティエにしがみ付く格好
悪い決心と闘いながら。少しでも揺らいでしまったら、自分も馬鹿みたいに夢の為だと足掻いて醜態を晒して生きるだけだと信じて止まな
かったから。
踏み出した先の目の前には、叶えたら一瞬の幸福で終わってしまうかもしれない脆い夢しかないのに。
一歩でも踏み出したら、一生を費やしてまで幻に心を奪われしまうだろう。
しかし、それすらも夢を手に入れる為の些細な犠牲だとでも言いたいかのようにゾロの光景は眩しかった。
そして、サンジはゾロと同じ船に乗り、海賊になる事を船長のルフィに勧められた。
自分にも夢がある。乗船する理由はそれだけで十分だった。
しかし、もう一つ、理由が出来てしまった。あの海賊狩りと同じ船に乗れる事実を、嬉しく思っている自分自身に気づいてしまったのだ。
刀を空へと翳し、世界一になると船長に宣言したゾロの姿。胸には盛大に血を流す刀傷をこさえたままで。
その時の事を思い出すだけで、サンジは胸の中がチリチリ焼けるような錯覚を引き起こしてしまう。
胸に傷を負ったのは確かにゾロの筈なのに、胸より奥に。もっとずっと深い場所にサンジは癒えない傷を作ってしまったような―――。
火傷して、傷が塞がらない。
頭をグシャグシャと両手で掻き毟って、サンジは唸った。
「あークソっ、あんなアホ剣士、大酒呑みの馬鹿ハラマキ、クソ緑……大っ嫌ェだ、あんなヤツ、キライだ……」
(……キライな筈だ)
ゾロに対する悪口が次々と零れる。本人に聞こえでもすれば即・喧嘩になるだろう。だが、どれだけ悪態をついても、気持ちは収まらな
かった。
呼吸のように、吐息のように、一つの『言葉』が頭を占めて、溢れてきそうだった。
今まで、サンジがその『言葉』を何人の女性に語ったか分からない。
なのに、言葉に重みや深みがある事を知ってしまった。
今、自分があの『大嫌い』な剣士に伝えたい『言葉』は多分、一番、重くて深い。夢と同じくらい大事な何かを見つけてしまったのかも
しれない。
(あの背中をずっと見ていたいなんて思っちまう。俺の火傷はどんだけ重傷なんだろうな……)
「ああ、アホは俺の方か―――」
初めて、本音を口にした気がした。
フト、火を点けたままの煙草に目をやると、灰が大量にボタリと床に零れてしまっていた。
いつの間にか長々と考え込んでしまっていたらしい。慌てて立ち上がり、キッチンの小窓から甲板を見下ろす。
先程と変わりなく、ゾロが一人で酒盛りをしている後ろ姿。サンジはホっと胸を撫で下ろした。あの生真面目な剣士の事だ。ちゃんと空に
なった皿や酒瓶をキッチンへと持って来るだろう。
今まで座り込んでいた事を誤魔化す為にゾロが来る前にある程度は片付けなければと、サンジは思った。
しかし、想いとは裏腹に体が動かなかった。
サンジの視線はゾロの姿を捉えたままで、固まってしまったようだ。
広い背中に、少しだけ見える精悍な横顔、月を眺めているであろう奇麗で鮮やかな紅い眼。
月の光に落とす影にさえ、見入ってしまう。
(……ホントに重症みてェだなぁ……)
苦笑に似た笑みが零れた。
凭れ掛かるように額を小窓にくっつける。
一瞬、目を閉じてサンジは誰に告げるともなく、言葉を放った。
「―――好きだぜ、クソ剣士」
当の本人には伝えられない『言葉』が零れた。
スウっと、胸の中の靄が微かに晴れたような気がした。
まだ、胸に沢山、詰まった言葉。
サンジは本人を目の前に全てを吐き出せたら、どれだけ楽になれるだろう、と自分を揶揄した。甲板にいるゾロを見ていたいのは山々だ
が、意を決して流し場へと足を進める。
食器を手に持ちながら、賭けの事を思い出した。
『賭けの賞品は酒が良い』など、実にアイツらしいと呆れた。
明日、賭けの事をゾロが言い出してきたら酔っていたから憶えてないとでも言って、からかってやろうとサンジは意地悪な企みをする。
(俺の賭けたいモノは……)
それ以上、先の言葉が見つからない。
一番欲しいモノは、求めるモノは、自分の掌をすり抜けていく。
まるで、形すら留めない、誰かの『 心 』の様だと、サンジは思った。
決して、他人に触れる事も、近づく事も許さない、炎に似た心。
届かない想いを抱え、火傷をも怖れない力を欲し、虚しく手を伸ばす。
答えの行き着く先は、まだ当分、見えそうにない。
End.
⇒後書き
サンジさん片想い話でした……っゴフゥ(吐血)
タイトルは好きな歌から。この歌が好きな方は本当にゴメンなさい!!
原作307話の扉絵と歌詞を合わせてる感じです。あの扉絵は衝撃的でした。
2006.12.02
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