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かとう あきら

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2019/01/07
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カテゴリ: 日記


権堂、シネマポイント。
これは見逃すわけにはいかない。ベルトルッチ監督追悼。
ベルナルド・ベルトルッチ監督
「暗殺のオペラ」(1971)



リマスター版。美しい映像に酔いしれる。
音楽の入るタイミングの絶妙さに圧倒される。

ソフト化もなく観られない状態の長く続いた作品らしいっすね。おれは実はこの作品をずーっと以前に映画館で観ている。80年代のこと。
もちろん当時はほとんど何もわからず観ていた。
今もようわからんけど...
それでも今回は少し年もとってるので、
以前よりは楽しめた。
いろんなシーンをよく覚えていた。
「迷宮」のぐるぐるした感覚を楽しめるようにはなった。
でも、当時もこの作品のヴィットリオ・ストラーロの撮影が尋常でないことだけは、よくわかっていた。
で、リマスターされた今回のヴァージョン。
寒気がするくらいよかった。あまりの美しさに何箇所か涙が込み上げてきた。ストラーロの撮影、すげえ
当時はヴィスコンティ監督の「夏の嵐」を思い浮かべて観てた。アリダ・ヴァリだし、オペラハウスとオペラが大事なモチーフだし(どちらもヴェルディ。夏の嵐はトロヴァトーレ)。そのことでアリダ・ヴァリはおばちゃんになったなあ、などと呑気に思っていた当時のおれをぶん殴ってやりたいわ。
全く何もわかっていなかったおれ。
この作品の過去の語り方の面白さとか、
なあんにもわかってなかった。
この作品は回想で若い俳優を使ったりしないし、
若作りもしない。そのまんまの状態で回想する。
アトスの仲間のおっちゃん三人も、現状のおっちゃんのままで過去を演じる。
そのことで時制が非常に曖昧になってる。その異様なぐらつきこそがこの作品の面白さであってキモなのにね。
若いときは何もわからんかった。

初めて観た頃のおれは「リゴレット」に心酔していて、クーベリック指揮スカラ座、スコット、ベルゴンツィ、フィッシャーディースカウとゆー配役の録音をそれこそ擦り切れるほど聴いていた。だからこの作品のキモになる"maledizione!"とゆーリゴレットの絶叫も、もちろん当時から熟知していた。どーゆータイミングでこれが来るか、よくわかっていた。当時のおれが「暗殺のオペラ」に夢中になれたのは「リゴレット」をよく聞き込んでいたからなのだと思う。舞台は映し出されず客席とバルコニー席だけなのに異常な臨場感なのだ。このスリルは「リゴレット」のエンディングをよく知っていればいるほどよく味わえる。鳥肌が立つほど凄いものだ。リゴレットに身も心も持って行かれていた当時のおれは、この作品にも夢中になれた。ヴェルディの音楽の中に闖入してくるのが、シェーンベルクの室内交響曲第2番。今は大好きな曲だが当時は何も知らなかった。今回はこれが最高のタイミングで出てくるたびに全身鳥肌状態で震えた。これを使う監督のセンス!シェーンベルクとminaのカンツォーネでヴェルディを異化してゆくスリル。

ベルトルッチ監督の「ヴェルディ愛」は筋金入り。ものすごく音楽的な映画。監督の作品はどれもそうだけど。
大作「1900年」も「ヴェルディが死んだ!」とゆー叫びが印象的だ。そういえば1900年も確か音楽はリゴレットだったはずだ。違うかな。
ヴェルディから逃れられないベルトルッチ監督。
ヴェルディから逃れられないイタリア。
監督にとってオペラ、そしてヴェルディはイタリアの魂そのものだ。実際に演出家として活動したヴィスコンティ監督よりも、ベルトルッチの「ヴェルディ愛/オペラ愛」は映画の中で生々しく熱く語られているように感じる。もしかすると肝心の舞台を全く映さない「暗殺のオペラ」の方が「夏の嵐」よりも数倍オペラティックであるようにすら感じる。

生きて再びこの作品を観られてよかった。

暗殺のオペラ 2K修復版【Blu-ray】 [ ジュリオ・ブロージ ]

夕食、鮭など。超うまい





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Last updated  2019/06/23 11:56:35 AM


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