日々、考察中。

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ドバイ5!

ドバイ5!

 ドバイにシェラトンホテルは3つあって、僕らの泊まっているのは"デイラ"地区と呼ばれる街中にある。もう1つは"クリーク"と言って、ドバイクリークのほとりにあって、最後の1つが"ジュメイラ"地区、いわゆるビーチサイドにある。当然それらは提携していて、海から遠いデイラとクリークからは無料送迎バスが出ており、シェラトン・ジュメイラのプライベートビーチが使用可能になっていた。今日はシェラトン・ジュメイラのプライベートビーチで遊ぶという計画である。
 バスの出発時間が午前10時だと聞いていたので、いつものように午前8時に起きて、ザ・テラスで朝食を取った。3日目ともなるとすっかり常連で、エッグコーナーのシェフと挨拶を交わす。昨日までは、「グッド、モーニング、サー。」だけであったのに、今日は、「ハウ、アー、ユー?」がついた。僕は、「アイム、ファイン、サンキュー。ハウ、アー、ユー?」と聞き返した。「サンキュー、サー。アイム、ベリー、ファイン。」という答えが返って来て、気分の良い朝を迎えたついでに、「ワン、フライドエッグ。」と目玉焼きの注文をした。「OK。」という答えと共に焼き始めるシェフ。焼けるまで、ビュッフェを物色し、たっぷりの朝食と目玉焼きを持って席についた。
 朝食を終え部屋に戻り、パンツを海パンに着替える。これで、もうほとんど準備完了だ。少しゆっくりと英語の新聞を見たりして、バッグにパンツとタオルと財布を入れた。午前9時50分。僕らはロビーに向かった。
 「アイ、ウォントゥー、シェラトン、ジュメイラ。」
ロビーのデスクにいたおじさんに声をかけると、「10:15分にバスが来るから待っててね。」と英語で言われた。"うかいくみこ"さんは確かに10:00だって言ったのに。ロビーのソファーを陣取っていると、「フロントでチケットを貰うとタオルが無料だよ。」とさっきのおじさんが教えてくれた。フロントで、「アイ、ウォント、ジュメイラビーチチケット。」といい、適当にサインされたとしか思えない紙切れを貰った。
 何人かビーチに行きそうな服装をした人達がロビーに集まり始めた。総勢10人ぐらいであろうか。玄関口にバスが横付けされ、みんな乗りこむ。出発。動き始めしばらくたったら、ホテルへ戻る方向の道へ曲がった。どういうことだと考えていると、どうやら乗り遅れた人がいるらしくピックアップしにやってきたらしい。「ソーリー、サンクス。」と言いながら乗ってきたのは、赤ら顔おじさんとにいちゃんの境目あたりの年齢のヨーロッパ系カップルだった。
 約1時間程度かかったバスでの道のりは、それなりに面白かった。今まで通った事の無い道路を通るからだ。持ってきたガイドブックを見ながら、何がどこにあるかを把握しつつ窓の外を見る。まだ、行きたいところはたくさんあったが、残りは今日を含めて2日しかなく、すべてを回るにはドバイは広すぎた。

 ジュメイラ・ビーチのホテル軍団の中でも最も外れにあるシェラトン・ジュメイラは、シェラトン・デイラよりも豪華な造りだった。ビーチのデスクでロッカーの鍵を借りて、更衣室で着替える。財布などはロッカーにおいて、現金数10ディルハムだけを持ってビーチに出た。プールサイドのタオル屋さんでチケットを差し出して超ビッグサイズのバスタオルを貰った。それを持ってビーチサイドへ。陽射しよけの近くのリクライニングチェアーをゲットし、タオルを敷いた。現金とロッカーのキーは脱いだポロシャツに丸めて陽射しよけの根元の台上に置く。他の人達もバッグなど置きっぱなしである。サンダルを脱いで、海へ。プライベートビーチらしく人が少なく、とても良い感じであった。
 今日はちょっと風が強いようで、波があった。風が強い分体感気温は低そうで、実際は40度近いであろうが、それほど死んでしまいそうな暑さは感じない。とにかく、海に入りたい。打ち寄せる波に足をつけると、水温はほどほどで気持ち良かった。僕は、波をかきわけ沖に向かって進んだ。
 足がつく範囲のところにブイによってロープが張られていた。ここまでが遊泳範囲らしい。物足りないが、がんがん泳ぐつもりではないから良しとした。しばらく波と戯れて、岸に戻る。ビーチサイドのシャワーを浴びて、リクライニングチェアーで一休み。この時点ですでに時間は午後になっていた。
 昼食を取ろうという事になり、辺りを見まわしたが、あるのはハンバーガー&BBQショップだけだった。まあハンバーガーでいいか、となって、テイクアウトしてここにもって来て食べるつもりでショップに向かった。店員に、「テイクアウト、OK?」と聞くと、「席に座って食べてくださーい。」と英語で答えた。しょうがなく、ガーデンにあるテーブルに席を取り、ジュメイラ・バーガーとビールを注文した。なんと、2つで約50ディルハムで、1500円もした。やはりホテル内は物価が高かった。
 チェア-に戻って食後のお昼寝タイムにした。どこまでも青い空、透き通ったエメラルドグリーンの海、白い砂浜。ハンバーガーとビールの価格以外は、何もかもがすばらしい。僕は心地良い眠りに入った。
 しばらくして目が覚めた。時間は午後2時半。帰りのバスは午後4時だ。今からひと泳ぎして一休みして帰るには良い時間だった。今度はプールに行ってみた。飛び込み禁止なのがつまらないが、ひょうたん型のプールには、底にスロープがついており、最深部は全く足がつかない。入ったところが最深部だったようで、かなりあせったまま、浅い所がどこだかわからず適当な方向に泳いだ。しばらくして、なんとかつま先が底に届いた。ひと安心して、平泳ぎ、背泳ぎを繰り返す。すっかり泳ぐのに満足して周りを見ると、太ったトドのようなおばちゃんが仰向けのまま浮かんで本を読んでいた。なんとも穏やかな風景だった。
 プールを出てチェアーに戻った。あと1時間もすればお迎えのバスが出発する。午後3時半に更衣室に向かうことにして、残りの数10分をだらーんと過ごした。こんな時間が何日も取れるような旅行がしてみたいなあ、と思った。
 バスがくるまで10分程度。僕らは、シェラトン・ジュメイラ・ホテルのおみやげ屋さんをのぞいてみた。とにかく高い。見るだけとはこのことで、バスの時刻はすぐに来た。帰りのバスの中も周りの風景のおかげで楽しく過ごせて、午後5時ごろ、シェラトン・デイラ・ホテルに帰ってきた。行きよりも人数が少なく何人かはタクシーで帰ったか、まだ向こうにいるらしかった。一旦部屋に戻り、荷物を片付けてから夕食に行くことにした。行き先は、帰りのバスの中から見つけたショッピングセンターにした。
 ホテルの部屋に戻ると目に入ったのは、昨日の食べ残しのポテチとチョコパイだった。僕らはすっかりぬるくなったペプシコーラとともにポテチを片付けた。そして、チョコパイに手をやる。6個入りのはずのチョコパイは昨日1個づつ食べたから4個残っているはずだ。しかし、箱の中には3個しかなかった。
「N、昨日チョコパイ何個食べた?」
「1個だよ。」
「え?3個しか残ってないよ。」
「まじ?」
2人で話し合った結果、部屋のテーブルのうえに出しっぱなしにしてあったのでベッドメーキングの人がつまみ食いをした、という結論になった。恐るべし、アラブ人。

 午後6時ごろ、ホテルから徒歩で出発した。街にアラブ人があふれ始める時間帯で、僕らが最初に行った、"チープなショッピングセンター"も、買い物客がたくさんいた。やはり、チープだけあって、欧米人はほとんど姿が見えない。日本人などは僕らしかいない。地元のアラブ人ご用達という感じだ。カラマスークとほとんど変わらない値段で売られているおみやげもあり、非常に興味深かった。しかし、胃袋を満たすようなところは無く、次のショッピングセンターを目指すことにした。次の目標は、通りの向かい側にあった。
 近くの交差点で向かい側に渡って、通り沿いに長い建物のこのショッピングセンターは、"バール・ジュマン"や、"ワフィ"などの高級で有名なショッピングセンターではなかったが、いろいろと店舗は入っており、それなりに見所があった。地下のフロアが食べ物関係になっていて、僕らの欲望は満たされそうだった。
 グランドフロアとファーストフロアに並ぶ店舗を見ていると、時刻は午後7時半近くなって、いいかげん空腹も限界となってきた。地下につながるエスカレーターに乗り、空腹の味方たちのいる場所へ移動する。ファーストフードからレストランまでそろっていた。僕らの目にとまったのはバイキングのお店で、サラダが14種類、メインディッシュが17種類、デザートが10種類、などと書いてあった。そして、15%オフ!と大きな幕が張られている。問題は、いくらの15%オフなのか、どこにも書いていないことだった。
 インド人風のおじさんがレジの近くでこっちを見ていた。僕が視線を合わせると、ニッと笑って近寄ってくる。「バイキング?」「イエース。」「ハウマッチ?」「カティクリ。」「ホワイ?」「カティクリ。」「はあ?」全く聞き取れない。これがアラブなまりの英語なのか。僕らが"わからない"という表情をしているのを読み取ったのか、インド人風おじさんは、レジから電卓を取り出した。そして、"39"と打って、×0.85とした。15%オフという事のようだ。アンサーは33ディルハム。「カティクリ。」とは、「サーティスリー。」だったのか。それにしても、約1000円である。この品揃えでこれは安い。僕らは即決して、あらわれたウェイターのにいちゃんに促されて席についた。
 サラダの目に付くものを皿にとって持って来た。とりあえず、それを平らげようと試みる。席には、1.5リットルの水がコップといっしょにおいてあった。まずは"ポテトサラダ具多目"という感じのものにフォークを向ける。口に入れた瞬間、想像と全く違う味で僕は"うっ"と唸ってしまった。すっぱいのだ。すぐにたち上がり、何サラダであるかを確かめに行った。そこには"チーズサラダ"と書かれていた。ポテトだと思った部分は全て酸味の強いチーズだったのだ。持って来たものを残すのは僕の趣味では無い。無理して全てを食べ、メインディッシュに向かった。中華、インディア、アラビックの肉魚料理がずらりと並んでいる。今度は何物なのかをちゃんと見てから皿に盛った。しかし、結局それらはどれもそこそこおいしく、サラダをしっかり吟味して、メインは全部ゲット、とすれば良かったという結果になった。
 それなりにいい感じになってきた胃袋だったが、バーベキューをこの程度で終わっては日本人の名が廃る。(?)僕は、メイン第2段を遂行した。先ほど全てを盛った中で、おいしかった3種類を集めた。中華、中華、カレーの3種類で、いかにも僕好みという感じの選択であった。
 よし、締めはデザートである。しかし、悲しい事におなかいっぱい寸前だ。プリンとスイカとババロアを食べれば、他に何もいらない。それだけでも十分な量を食べて、約1000円を支払い、大満足でレストランを後にした。

 帰り道はゆっくりのペースで歩くことにした。とにかく食べすぎなのだ。
 午後9時半ごろ、僕らは部屋に到着して、残り1日となったドバイでの計画を立てることとした。就寝は午後11時過ぎで、3日間でたまった疲れを癒すために明日の起床時間を9時とした。


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