日々、考察中。

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セイラさん。

ガンダム世代!

2004/10/29
 職場で友人たちと話しているときに、気づいてしまった。
 セイラさんである。
 ガンダムの話をしていて、の事である。アムロ・レイは「アムロ」。フラウ・ボウは、「フラウ・ボウ」。ミライ・ヤシマは、「ミライ」。ブライト・ノアでさえ、「ブライト」なのだ。それなのに、セイラ・マスだけは、「セイラさん」と“さん”を付けて呼ぶのである。
 周囲のガンダムを知っている人、数人に聞いてみた。「シャア・アズナブルの妹の名前は?」と。返ってきた答えは、「え?」であったり、「アルテイシア」であったりしたが、最終的に、「話の中で彼女のことを呼ぶときはなんと言う?」という質問に、返ってきた答えは、8人中7人が、「セイラさん」だったのである。
 何人かでその理由を考えてみたりもしたが、出てくる答えは、「お嬢様だから。」というものが大半だった。それならば、ミライ・ヤシマもヤシマ家のご令嬢なのである。この問題は難しい、と考えをめぐらせているところに新たな情報が舞い込んだ。
 「マチルダさんも“さん”を付ける。」
確かにそうである。マチルダ・アジャンを「マチルダ」と呼ぶ人は聞いたことがない。いるとするならば、婚約者であったウッディー大尉ぐらいのものか。
 新たに迷い込んできた情報が、この問題をさらに深みへと追いやるかと思ったとき、答えに近づく光明が見えたのである。それは他でもない。“マチルダさん”がヒントだったのだ。

 “さん”を付けて呼ぶ、セイラさんとマチルダさんは、機動戦士ガンダムの中で、そう呼ばれているのである。しかも、そのシーンが印象的であるのだ。
 わかりやすいのはマチルダ・アジャンの例である。
 ジェットストリーム・アタックからガンダムを救って散ったマチルダに対して、「マチルダさーん!」とアムロが叫ぶシーンは、かなりの視聴者の脳裏に焼きついていると推測される。アムロが、「マチルダさーん!」と叫んだ後、「マチ、ル、ダ、さ、ん」と途切れ途切れに口走ったことも、先の叫びと対照的なものであって、印象をより深くすると思われるのだ。
 この時点で、視聴者は“マチルダ・アジャンはマチルダさん”という方程式が成り立ったに違いないのだ。
 さて、セイラ・マスの場合はどうなのであろうか。
 ブライト・ノアやミライ・ヤシマやリュウ・ホセイは、「セイラ」と呼んでいた。では、「セイラ」と呼ばれている場面に印象に残っている場面はあるのか?答えは「ノー」である。
 「セイラさん」と呼ぶのは、アムロ・レイ、カイ・シデン、ハヤト・コバヤシ、フラウ・ボウなどであるが、どんな場面を思い出すのか?まず思い出すのは、セイラ・マスがモビルスーツや戦闘機などに乗っているときである。何回かそういう場面があるが、もっとも印象的なのはセイラ・マスがガンダムに乗ってホワイトベースを出たときだ。アムロ・レイはガンキャノンに乗って後追おうのだが、そのときにもコックピットのセイラ・マスを呼ぶのである。「セイラさん!」と。自身がガンダムのメインパイロットであるという強い意志を表面に出しつつ、セイラ・マスがあやつるガンダムに指示を与えるシーンである。
 そのほかにも、Gパーツ(映画ではコアブースター)などに乗る機会が多いセイラ・マスは、ホワイトベースを離れている場所で、「セイラさん」と呼ばれていることが多いのだ。日常であるホワイトベースの中で、ブライト・ノアやミライ・ヤシマに「セイラ」と呼ばれるときよりも、戦場内という印象的な場面で、幾度にもわたって「セイラさん」と呼ばれることは、視聴者の脳裏に焼きつきやすいと考えるのである。

 理論的な分析はこのあたりにしておいて、この後は私的な見方に頼った分析をしたいと思う。
 セイラ・マス、マチルダ・アジャンに共通する、「さん」を付ける呼び方。これは、容姿によるものが大きいと考えるのだ。
 これは1部で意見として出た、「お嬢様だから」に通ずるところもあると思うが、根本はまったく違う。ミライ・ヤシマがお嬢様であるということは書いたが、さらに、マチルダ・アジャンの家系がどのようなものかわからないのである。
セイラ・マス、マチルダ・アジャンに共通するもの。それは、端麗な容姿である。
前出のミライ・ヤシマは、お嬢様ではあるし男性からちやほやされっぱなしだが、容姿という点ではいかなるものか。一般的男性から見れば、「やぼったい」とか、「おばさんっぽい」という印象を持つのではないか。簡単に言えば、「かわいくない」という表現ができる。
では、フラウ・ボウはどうなのか。
フラウ・ボウの家は、至って普通の家である。これは第1話「ガンダム、大地に立つ」で、ある程度のディティールが描かれている。少なくとも、お嬢様ではない。では、かわいくないか?そんなことはない。フラウ・ボウはかわいいのである。(個人的な見地ではあるが)では、なぜ、「フラウさん」と呼ばれないのか?それは、彼女の持っている雰囲気に気品がないからである。
セイラ・マス、マチルダ・アジャンは、容姿端麗であり、気品があるのだ。その雰囲気に圧倒され、人は彼女らを「さん」付けで呼ぶ。
「さん」を付けられるガンダムの登場人物。それは、「気品があり、容姿端麗である」あかしなのである。


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