日々、考察中。

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アルファロメオ!

アルファロメオ!

2004/9/23
 アルファ熱が流行している。
 エボラ出血熱などのような、たちの悪い病気の事ではない。アルファロメオが欲しいという気持ちが燃え上がってしまった時に出る熱なのだ。ある意味、病気以上にたちの悪いものでもある。
 それというのも、ここ数日、友人Nが口を開けば、「アルファ、アルファ、147が欲しいー!」と叫んでいるからであり、しかも叫ぶ場所が世界の中心などではなく、僕の耳のすぐ横だからだ。おかげですっかり僕もアルファ熱におかされている。
 友人Nは妻子持ちで、現在こそトヨタのノアなどという、彼に全く似合わないような車に乗っているが、車が好きという事に関しては僕と同じで、やはりスポーツカーが好きなのだ。過去にはAW11に乗っていて、モーターのように回る4AGを背中が熱くなるくらい回していた時期もあったのだ。すっかり"大人"になったフリをして、落ち付いたように見せてはいたが、人間の本質というものは簡単に変えられるものではなくて、やんちゃな血がふつふつと沸きあがって、「アルファー!!」となったわけである。
 先にも書いたが、僕もその気持ちがわからないわけではなく、アルファロメオという車の持っている雰囲気は、当然嫌いではなく、触発されて、「アルファー!!」と叫んでしまっているのだ。
 落ちついた大人の雰囲気、踏めば踏んだだけ回るエンジン、普通に走るだけのためとは思えないハンドリング、流麗なスタイリング、ラテンの熱い血。欲しい。

 そんなわけで、僕とNはインターネットを使っていろいろな情報を探り始めた。
 いつのまにかNのパソコンの壁紙には、147のテールが張りついており、僕のパソコンのデスクトップには、147のカタログのPDFファイルがあった。僕がどこからか仕入れてきた147のスクリーンセーバーは、2人のパソコンで採用になって、JPEG画像保管用のファイルフォルダがデスクトップに出現した。全て147なのか、と思うかもしれないが、Nが好きなのが147で、僕は156を欲しいと思っていた。
 「問題は、普通に乗っていられる車かってことだよな。」
Nがもっともな疑問を投げかけた。イタリア車というブランドに対する疑問である。簡単に言えば、"何度も何度も壊れないか?"ということで、僕にとってもそれは重要な問題であった。
「最近のイタ車は大丈夫だって言うよ。」
僕は答えたが、確信はない。なぜならば、経験して得た意見ではないからである。
「ネットとかで見ると、最近は大丈夫って書いてあるなあ、確かに。」
「155あたりまではいろいろあったらしいけど、156あたりから世界的に車が丈夫な方向になってきてるでしょ。」
「そうだなあ。プジョーなら106ぐらいだよね。」
「そうそう。ルノーならサンクはよく壊れたって聞くけど、クリオからはいいって聞くし。フィアットなら、プントからかなあ。」
「確かに聞くなあ。でも、ドイツ車ならば日本車と変わらないくらいメンテナンスフリーって感じがするけど、イタ車やフランス車はどうなんだろうね。」
「Iさんがルーテシアに乗ってたじゃん。大丈夫っぽかったでしょ。」
「まあね。」
「大丈夫、大丈夫。買え!」
Nは周到な計画を立てていて、3年後に中古で147を買う予定だと言う。そのためにはまず、軽自動車を買って奥様に与えるのが必要であると言って、最近は軽自動車ディーラーを巡っている。新アルトが良いだの、ミラジーノが良いだの言って、ついには、「ミラジーノをミニ仕様にして乗ったら!」などと、本当にアルファを買うための布石であるのかどうかわからないような事を言っている。本末転倒にならなければよいが、とにかく奥様車を確保して、3年の内に頭金を貯めて、ノアを売って147を買うという作戦は立てているようだ。
 「誰か知り合いでアルファに乗ってないかなあ。メンテとか、壊れ具合とか聞きたいなあ。」
Nがそう言った時に、僕の頭の中に対象者が1人思い浮かんだ。元彼女のお兄さんである。彼は155に乗っていて、僕は1度実物を見ていた。問題は、現在全く連絡を取っていないことと、元彼女の兄という僕との間柄で、実質いろいろな事を聞くのは不可能であるということだ。僕は、もっとしっかり見ておいて、もっといろんな事を聞いておけばよかった、と後悔した。

 3年計画のNとは全く正反対の野望を持っているのは、僕だ。
 僕の頼りは、何かの拍子に得たお金にある。いわゆるギャンブルや宝くじ頼みである。確実ではないが、もし、なんとかなれば、欲しい車種の欲しいグレードが買えるのだ。夢は大きく!なのである。と言ったら、Nに怒られた。「夢ではなく、現実に買うぞ。」というのだ。
 お金の事はちゃんと考えなければいけないが、アルファに向かって行くのもいいかな、と考え始めた自分がいたのだった。


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