日々、考察中。

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雨!

雨!

2004/5/17
 梅雨が先走ったようなこのごろの空模様である。
 GWの終わり頃から振り始めた雨は、ほんの数日の晴れを挟んで降り続いている。せっかくの土日休みだった先週末も、土曜日の日中は晴れたものの暗くなってから雨が降りだし、日曜日はものの見事に終日雨だった。こうなってくると、土日の間にしか出来なく、しかも晴れていないと出来ない事がだんだんとたまってくるのだ。予報で晴れるとなっていた土曜日には、いくつもの予定があった。まずは、車のオイル交換。自分の手で行うから、寝転ぶ地面が乾いていないと不可能である。さらに、庭の草取り。雨が降った翌日が理想ではあるが、土日しか休みがないサラリーマンには贅沢な事は言えない。金曜日も晴れていたため少々地面は固くなっていたが、がしがしと草を抜いていったら、日曜日は筋肉痛だった。当然、朝1番の洗濯は終えて、白日の元にさらしておいたし、家の窓と言う窓は全て大開放中にしての事である。このチャンスに、しばらく洗濯していないマット類なども洗ってしまえ、と洗濯機を回したりしながらのオイル交換や草取りであるわけだ。そんなことをやっているとすぐに夕方は訪れて、曇り始めた空をうらみながら、洗濯物を取りこんだりする。ああ、掃除まで手回らなかったか、と悔やんでいると、辺りは暗くなってきて雨まで降り出すのだ。
 草取りも完璧に出来たかと言うとそうではなくて、始めてほんの数10分は、細かい草どもも全てきれいにとって行くのだが、途中で確実に嫌になる。その後は大きくて目立つ草だけをやっつけていって、庭の隅に出来た草の山を見て満足、終了。となるわけである。なんともいいかげんのように思えるであろうが、1人で庭の管理をするというのは大変な事なのだ。
 すっかり"雨"とは違う方向に話が進んでいってしまったが、"雨"について、僕には思い出があるのだ。それも、何とも不思議な思い出なのである。

 ずいぶん前の話になるが、僕が小学生の頃だったと思う。ずいぶん前であるだけにはっきりとした記憶がない事が悔しい。ある程度の記憶は残っているから、高学年であったと思う。その日は運動会だった。朝から完全なる快晴だった記憶がある。天気予報も晴れだったという記憶があるのは、その後に起こる不思議な出来事のおかげか。
 僕らの小学校は、過疎の町の小さな小学校で、全校生徒が100人を超える程度しかいなかった。運動会も規模が小さくなってしまうので、午前中を小学校の運動会、午後を地区の運動会というようにして、2部構成で行われていた。小学校の運動会が終わって昼食となり、午後1番始めの種目は、この辺りに古くから伝わる"雨乞い踊り"だったのだ。地区の保存会だかなんだかの人達が、頭に菅笠、背中に蓑を背負って登場してきた。小学生にはあまり興味の向かない演目であるのはしょうがないところだが、始まってしばらくしてグランドにいた全員が不思議な思いをする事になった。
 雨乞い踊りが始まってすぐ、快晴だった空に雲が湧き出したのだ。季節は秋口だったが、その雲は巨大な入道雲に見えて、夏のようだと感じた記憶がある。数分と経たぬうちに空は雲で多いつくされて、明るかった周囲はすっかり暗くなってしまった。
雨乞い踊りが終盤になったころであろうか。いきなり、大粒の雨が降り出したのである。グランドにいた人は、皆テントの下や校舎に雨宿りをし始め、雨乞い踊りを踊っていた人も傘や蓑を身につけていたが雨宿りを始めた。運動会は1時中断。僕らは雨宿りの中、曇った空を見上げていた。
雨が降り出して数分の事だった。空は急速に明るくなり始めて、雲はいなくなり、太陽が顔を出したのだ。もちろん雨は上がって、数分しか降らなかった雨はグランドを水浸しにするには至らず、以後の種目は問題なく出来たのだ。
雨乞い踊りで降り出した雨は、雨乞い踊りが終わって降り止んだのである。
20年以上経った今でも、その時の話をすると母親などは憶えているし、友人も「不思議だった。」と言う。だから、僕の想像力が創った話でないことは確かなのだ。
"雨乞い踊り"、恐るべし、である。



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