焼肉！
2003/9/8
一番カルビの割引券つき広告が、新聞チラシに入っていたのは数日前だった。週末は焼肉だ、ということになって、土曜日の夕方、早い時間を狙って向かった。時刻は午後６時だったが、普通は午後７時ぐらいから混みだす焼肉屋に行くのには、早い時間に間違いなかった。
道路は混んでいた。土曜の夕方という条件なら納得ができる混み具合だったが、一番カルビに近づくにつれて渋滞の度合いは強くなった。やっと駐車場に左折でき、左側の店舗内をのぞき見る。混んでいる。行列ができている。なんじゃこりゃあ、と言いつつ、帰途についた。時間をずらす作戦に出たのだ。
午後9時過ぎ。道路状況はGOOD。一番カルビは夕方よりかなり近かった。駐車場に入る。人。人。普段はいないはずの人が多数、駐車場に陣取っている。どうやら一番カルビの待ちらしい。僕は車をUターンさせた。
日曜日。起床は午前１０時半。洗濯をして家を出たのが正午過ぎ。この休みの間に３度目の一番カルビ。駐車場に入ったときに目に入ったのは、昨日の夕方と同じ行列。僕は、みたび車をUターンさせた。「おまえら、割引券があるときだけ焼肉を食いに来るな。」僕は、自分を含めたみんなに向かって、心の中で言った。
今度こそはと意を決し、昼食を軽く済ませて一番カルビに向かったのは午後４時半過ぎだった。この時間ならがらがらに違いない。ここまでくると、８割は意地だ。
駐車場内に人の姿は見当たらない。僕は勝利を確信した。最も奥の端っこに車をとめ、店内に入っていく。靴箱のところには１組の客。タッチの差で先を越された。しかし、向こうに見える店内は空いている席がある。よし。しかし、日曜のこの時間にしては脅威の客数である。午後５時前に７割の席が埋まっている焼肉屋がほかにあるだろうか。割引券の力、おそるべし。やっと焼き肉にありつけた僕だった。
僕的焼肉の食べ方の王道がある。
まず、４名の男子。プラスマイナス１名ぐらいが望ましい。それぞれに多少の好き嫌いがあったとしても、多くの種類が食べられるからである。また、メンバーは割勘が当然という意識のあるもので、財布の中身はそこそこに余裕のある者が望ましい。「金がないからここまで。」という者は、はじめから焼肉を食う資格がない。１名は下戸で車を出してくれるというのが理想のパターン。あるいは、パチンコ、スロットで大勝ちしている者がいてくれたら最高。
男子のみに絞ったのは、食べること飲むことに意識をおきたいからである。女の子が入ると、どうしても気を使わなければいけない部分が出てくる。がしがしと肉を焼いて食って、ごふごふとビールを飲みたいのである。通常、注文は３ラウンドとする。ビールのおかわりは注文のラウンド数に入らない。ビールは常時ON状態を保つために、なくなりそうな時は次の１杯を先取り注文することが望ましい。肉が焼けたという瞬間にビールが無い、という悲劇を生み出さないために。
１ラウンド目は塩系を中心に注文したい。塩タン、塩カルビはこのとき。網が汚れる前に塩味をレモンで。これ常識。２ラウンド目にやっとたれ系が幅を利かす。こうなってくると、ビールの速度も上がってくるから、おかわりのタイミングに注意。塩系も残っているし、追加注文ももちろんしているから、網の区域わけは確実に。味が混じってしまっては、それぞれの魅力半減である。２ラウンド目から３ラウンド目にかけて、内臓系も良い。内臓至高主義の僕としては、１ラウンド目から何らかの内臓があってほしいのだが、贅沢は言わない。内臓は苦手な人も多いから、注文量に気を配るべし。ミノ、ハツ、レバー。よだれがたれる。
３ラウンド目で胃が落ち着いてきて、ビールの勢いもやや弱まったところで、高級系食材を注文する。がつがつと食べる食材は最初に。ゆっくりと味わって食べる食材は、落ち着いてから。これ常識。極上カルビなどというメニューはこのタイミングで。
ほぼ満腹に近い状態でご飯ものに移行する。僕的には、焼肉で温まった体に、さらに熱いクッパはいらない。ここは、熱いは熱いでも、石焼きビビンパぐらいまででとどめるべきである。石焼きビビンパは混ぜるのが命。がしがしと混ぜる。好みの量の"おこげ"を作るのも忘れずに。店によっては"コチュジャン"を用意してくれているから、僕的にはたっぷりといれてから混ぜる。石焼きビビンパの中で、唯一混ぜ具合を気にするメニューがある。石焼きユッケビビンパである。せっかくの生肉なのだ。がしがし混ぜて火を通してしまったのではもったいない。石鍋に接触するのを極力避け、生の部分を守りつつ混ぜるのがよい。
石焼きビビンパもおいしいのだが、焼肉のあとの王道はノーマルなビビンパであると断言する。軽く冷えた金属の器に盛られたご飯と数種類のナムル。これに好みのもの。僕的にはユッケであり、キムチである。混ぜる、混ぜる。ひたすら混ぜる。金属のスプーンでひとすくい、ふたすくい。火照った体をゆっくりと沈める、焼肉のあとの逸品である。
さあ、やっとデザートだ。超満腹に近い腹に無理やり、とはならない。別腹である。好みはアイスクリーム系。体をクールダウン。気持ちもクールダウン。
会計であめをもらったら即なめて車へ。
いい気分で帰りましょう。
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