常緑樹19 歯は歯茎に…


(平成14年4月号 2003/3/20)

骨粗しょう症のことを調べていたら、足や手だけじゃなく、歯や顎の骨ももろくなるという怖い話を聞いた。
良く噛んで食べることが大切と言われるが、顎の骨がスカスカになったらそれも無理。
今からでも遅くない、牛乳をどんどん飲まなきゃと本気で思う。そこから歯の生え方に話題が発展した。

恥ずかしながら我が編集部の見解では「歯は歯茎に生えている」のである。
歯茎はすなわち歯肉、それが筋肉のように硬くなったもの、それでも「肉」に違いないものに骨が生えている、または刺さっていると思っていた。
先日、ある歯科医師にそのことを質問したら驚くほどの勢いで驚かれた。

顎の骨に穴があり、そこに歯は埋まっている、と図解で説明を受けるとなる程と思うし、しゃれこうべが歯をガチガチ言わせているのも、そう言えば見たことがある。
しかしどうもしっくりこない。
いわゆる骨状のものに、歯が生えていたら気持ちが悪い。
入れ歯も赤っぽい肉状の歯茎に白い歯が生えており、それを自分の歯茎にくっつけているじゃないか?
このことを誰もが知っており、我が編集部だけが情けなくも非常識なのか、この頃は会う人ごとに「歯はどこに生えてる?」と質問している。

何故こんな恥ずかしい話をするかというと、普通は医師や歯科医師とじっくり話すことがない、ということを言いたいから。
歯科医院の椅子はまな板。口をあんぐり開けて、痛いのを我慢している。
歯ってどこに生えているのですか、などとは口が裂けても訊けない。
もし聞いたら痛くされそうだし、口が裂けそう。
先生は治療が終ればさっと手を洗いに行き、次の予約も受付の方とする。
少しぐらい冗談でも言ってよ、と思うが彼は忙しすぎるし、次の患者さんもいてすぐに退席しなければならない。

その歯科医師との話の中で、彼は知っているのだろうか、と共通の知り合いである医師の名前を挙げたら、当り前だよ、解剖をしているのだからもちろん知っている、との回答。
ちょっと待て、解剖なんて私たちはしない。
解剖しているから知っていると言うなら、普通解剖などすることのありえない私たちがそのことを知る機会がなくても不思議はないでしょう?

思い出してください。
まだ解剖をする前、歯が骨に生えていることを、あなたは知っていましたか。
いろんな世界があって、その世界の常識があって、そこにいる限りその常識に添って生きていくことで不自由はしない。
しかしそんなことばかりじゃないよね。
相手の立場、目線を知ることも大切。

それにしても知らなさすぎかなぁ、我が編集部は。
ちなみに我が高校生の娘は骨に生えているのを知っていた。
無知な父親です。

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