BONDS~絆~

BONDS~絆~

愛しい人◎洋介◎

ハート(白)


近頃彼女の様子がおかしい。
俺以外にも男がいるんじゃねぇの?そんな疑いまで思うようになってしまった。
高校時代の友達と飲み会してその帰りに会ったキャバ嬢。
マジでタイプだった。
女も俺をターゲットにしたらしく金目当てだったことは明白だったが彼女に対する不安から逃れたいとその女の懐へ手を入れた。
女の匂いは強烈でシャワーを浴びても落ちなかった。

翌日彼女が友達を連れて俺の大学に来た。若い。可愛い。俺の彼女。

「洋介」
名前を呼ばれるたびに意味もなく胸をときめかせていた。
彼女に初めて会った時今までにないくらい可憐で純粋だと思ってすぐにナンパしてしまった。
俺自身が受け身な性格だから彼女には受け身になって欲しくなかった。
それも彼女は理解してくれていた。本当は受け身なのに

「待ってて良い?」
と顔を赤らめて言った時なんかは最高潮に愛しく感じた。
その日サークルでの話が長引いた…他に話し合いが終った後この前のキャバ嬢から電話が来た。
酔った勢いでTEL番を教えてしまったらしい。

「今から会えない?」
と言われた。勿論断ったがそれでも女はぐちぐちと色々言って来てしまいには彼女知ってるんだから
、どうなっても良いの?まで言われた。
これには黙っていられなくなったからふざけんなって怒ったら女は場所と時間、来なかったら彼女を犯すとだけ言い電話を切った。
彼女を愛しく思う余りその言葉を本気で受け止めた俺は彼女にまだ話し合いが終らないと告げ帰らせた。
明日遊ぼうとだけ告げて。その時彼女を不安にさせてしまった。
あの女を抱いた時の残り香がまだあったらしいのだ。
勿論否定した。
彼女が帰宅したのを確認してから俺は別れを告げる為に女のいる所へ行った。
場所は予想通りホテルの部屋だった。
チャイムを鳴らすと白いバスローブを着た女が出迎えた。
胸の谷間が明らかに俺を誘っていた。

男はこういう時一人の女を愛してると言うのに本能が働いてしまうのだろうか。自分の体を恨んだ。

「本当に来てくれたんだね。凄く嬉しいよ!抱いてくれるよね」
脅迫めいた言葉を吐きながら女はバスローブを脱ぎ始め生まれたままの姿になり俺のGパンのベルトをカチャカチャと緩めてチャックを開けてトランクスを脱がし本能のまま露になったものをしゃぶり出した。その瞬間頭の中から何かが消えた。
もう止められなかった。
俺も夢中で那奈とは違う形の良い胸を掴みベッドで幾度と無く抱いて重なった。
もう止められない。
いつの間にか眠りに落ちて起きると女はもういなくて置き手紙だけがあった。


― 昨日は有難う。またしたい。今度はあなたの家に行きたい。彼女と別れてなんて言わないからお願い。私を本気にしたのはあなたが初めてよ。責任持ってね。また連絡します ―

不味い…。不味い方向に物事が進んでいたことにこの時知った。
ヤバいな。那奈に悪い。帰宅途中那奈から電話が来た。

「早退しちゃった」
可愛いな。
汚れてなくてマジで可愛い。やっぱ那奈が1番だよ。
今までに無いくらい那奈を愛しく思いその日は純粋に遊び純粋に俺の部屋へ入た。
やはり部屋は落ち着く。口が勝手に動く。

「明日休みだろ?泊まってくか?」
那奈は軽く返事をした。
嬉しいと思った瞬間この体に染み付く女の匂いや雰囲気を消すために風呂に入ることにした。
その間那奈は何をしていたのだろう。そういう考えが大半を占めていたのにも関わらず頭の隅では昨日の女との夜がふっと思い出され瞬時に頭がそれで一杯になった。
風呂から上がると那奈は補習あるから帰ると言った。仕方ないよな。
真面目な付き合いするって…何処がだよ。
その時俺には那奈より昨日の女の方が合ってるのかもしれないと思った。
すぐにその思いを消し去ろうとしたが妙に当たりに命中したのか消し去れなかった。
すると女から電話が来た。那奈に悟られまいと普通に話しているつもりだった。だが逆にさせていたみたいだ。電話が終った後那奈が俺と目を合わすこともなく一人で大丈夫と言い帰宅した。本当に入れ違いで女が家に来た。階段下に那奈がいた。涙をながしていた。すまないと思いつつこれでもう那奈を騙さなくても良いと少しの解放感に包まれた。俺は女を部屋に招き入れベッドで抱いた。那奈を忘れる為に強くキツク、ベッドが軋む程に。女は愛されていると勘違いしたのか声を荒げた。男の本能は怖いものだ…。その日はどんなに何度もきつく女を抱いても脱力感から抜け出すことは出来なかった。最高の女。サヨウナラ、愛しい人。サヨウナラ。


愛しい人◎利奈◎へ




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