あかずきんのバスケット

2006/10/04
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深夜のカフェは、文学散歩道

久しぶりに太宰の続きです。

「人間失格」は自分、つまり一人称で綴られています
この「自分」がいつのまにか読み手の自分に同化するのです

恥じの多い生涯を送ってきました

自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです

冒頭、いきなり、引きずりこまれます。

この危険な文章につかまって、しばらく身動きできなくなってしまいました


それで、どうやって太宰を抜け出たのかというと、ある日、何気なく


彼の短編「城の崎にて」に出合ってようやく、太宰を抜けたのでした

「城の崎にて」もまた変わった作品です。
第一、女が登場しない (笑)
登場するのは、自分と蜂、ねずみ、イモリなど、色気はありません・・・

山手線の電車に跳ね飛ばされ、怪我をした主人公が養生に城崎温泉で
過ごすのだが、これが、淡々と書かれています。

この短編も「自分」です

死んで動かない蜂と、死を逃れた自分との対比
これも生と死を考えさせる内容だが、すこし、こちらは達観的で温度が低い
物語の最後は、なにげなく投げた石がイモリにあたり、イモリはあっけなく
死んでしまう



この本を読んだとき、いままで、死がなにか特別美しいようなもので
あるような感覚も消えた・・・


それからは、「ばからしい」(しらかば を逆から読んで、ばからし とした)
と当時、揶揄された白樺派を読み飛ばしました

{白樺派と言われた作家たち、(武者小路実篤 / 志賀直哉 / 有島武郎ら)


鴎外などは、白樺派を「虚車」として冷笑しています


そんな風に言われていますが、志賀直哉の蜂などの小動物の描写は、
簡潔で生き生きと描かれていて、すばらしいです


虎斑の大きな肥った蜂が羽や触角を前足や後ろ足で丁寧に調えると
少し歩き回る奴もいたが、直ぐ細長い羽根を両方へしっかりと張って
ぶーんと飛び立つ



この簡潔な表現は、読んでいて、気持ちよいです




今夜のケーキはアールグレイの茶葉の入った、シフォンケーキ



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ふわふわで、軽い、白樺派のケーキ♪

生クリームとラズベリーを添えました。

甘い夜を







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Last updated  2006/10/05 02:05:53 AM
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