森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.03.19
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森田先生の森田療法と我々の取り組んでいる森田理論学習の違いについて考えてみました。

森田先生は自宅を開放して神経症の人々の治療にあたられていました。
診察費も入院費も高い時代でした。薬物はほとんど使われていません。
自然療法とか自覚療法といわれていました。
基本的には実際の日常生活の様々な場面のなかで行われていました。
入院生には実践や実行のポイントを細かく、具体的に指導されていました。
妥協という事はなく、厳しいものでした。
一人の人に指導されるときは、他の人もその話を聞いているというようなやり方でした。

内容としては、行動・実践によってそれぞれに感じを発生させて、感じを高めて、やる気や意欲を持たせる。

その中で「かくあるべし」的な思考方法を、事実に基づいた事実本位の考え方も指導をされていますが、入院生にどの程度認知されていたのかは疑問だと思われます。
とにかく神経症で生活が通常に行われていない状態を脱出するというのが目的でした。
大正8年から始められた黎明期の森田療法はそういう方法をとられました。

その後昭和4年から形外会が始まります。形外会では理論的解説がなされております。
入院経験者は形外会や森田先生の書物、雑誌「神経質」等の学習によってしだいに理論的にも神経質者の本来の生き方を確立していったものと思われます。
ですから実践・実行による体得が先で、森田理論は後で補強されていったのです。
後を継がれた水谷啓二氏は啓心寮で同様の指導をされていました。

現在では入院森田療法はほとんど行われていません。
あっても薬物療法等と併用されています。
そういう状況の中で、我々は現在森田理論学習をおこなっています。
学習が先にあって行動・実践はその後に体験するという方法をとっています。

これはいい悪いとかいう問題ではありません。
指導者のいない状態ではそれしか方法が無いのです。

でも森田理論の学習から入るというのは気をつけないといけません。
我々は元々観念的、理知的です。観念で納得しないことには行動・実践に移れません。
学習から森田にアプローチするという事はますますその傾向を助長することになってしまいます。

そこで留まってしまうと行動・実践がすっぽり抜け落ちてしまうのです。
そういう状況極めて危険な兆候です。観念の空回りが起こります。
森田理論を忠実に理解しようとして、森田理論をこねまわすようになります。
思想の矛盾が起こり、葛藤や苦悩が発生します。
むしろ森田理論を学習しない方がよかったという状況に陥ります。

私は理論と実践は車の両輪だと思います。小さい車輪の時は両方とも小さい車輪でよいのです。
すると前に進めます。バランスが大事なのです。
ところが実践の車輪が小さくて、理論の車輪がとてつもなく大きいということになると大変です。
前に進もうとすると実践の車輪を支点にして、理論の車輪がその周りをたえず空回りするということになります。

学習するにあたってもう一つ付け加えることがあります。
理論は筋が通っているから理論なのです。
手あたりしだいに森田先生のキーワードを学習して納得するというのは、筋が通っていません。
実際には森田理論の学習にはあまり役立たないと思います。
ですから森田理論の基礎的学習が終わったあとは、森田理論の全体像(大きな4つの柱)をきちんと把握して、その深化と相互の関係を学習することがポイントとなると思います。
このプログで声を大にして説明しているとおりです。
さらに、それがある程度の段階に達すると、視線は理論から離れて、日常生活、仕事、家事、育児等に向いてこないといけません。
生活への応用なくして森田理論学習は考えられません。





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Last updated  2015.03.19 06:55:22
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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